疲れがとれないのはなぜ?慢性疲労に効果的な「脳を癒やす回復法」
眠れない、寝ても疲れがとれない、やる気が出ない……。その原因は脳にあるかもしれません。そのカギを握るのが、ご紹介する3つの物質。「脳を癒やす回復法」で、慢性的な疲れを改善させましょう。
目次
“脳疲労”を改善すれば体も心も元気になる
「いくら休んでもとれない疲れの原因は脳疲労。脳を癒やせば元気を取り戻すことができますよ」と、医師で脳生理学者の有田秀穂さん。現代人にとって欠かせないスマホやパソコンが脳を興奮させ、不眠や心の不調を引き起こしていると言います。
「朝からスマホを見て、職場では長時間のパソコン作業。帰宅して家事が一段落したらスマホをいじり、寝る直前まで見ている…。思い当たる人も多いのでは? 液晶画面を見ているときの脳は興奮状態。長く続けると脳は疲れ、判断力が落ちたりストレスを感じやすくなります」
こうした生活では、脳内物質の「セロトニン」が減少してしまうとも。
「セロトニンには自律神経を整えたり心を安定させる働きがあります。太陽の光を浴びることやウォーキングなどのリズム運動で分泌されますが、デジタル三昧の生活ではセロトニンが減少。すると、自律神経失調症やうつ病のリスクが高まります」
慢性的な疲れを改善するには、セロトニンを始めとする脳内物質をきちんと分泌させることが大事。
「寝る前のスマホをやめ、無理のない程度に体を動かす習慣をつけましょう。それだけで“疲れない体”になれますよ」
とれない疲れのメカニズム
たっぷり寝たのにとれない疲れ。それには脳の興奮や覚醒が関係しています。
スマホやパソコンで大脳が興奮状態に
日常的にスマホやパソコンを見ることで、大脳が興奮状態に。膨大な情報や刺激的なコンテンツのせいで、脳の興奮が長時間続いてしまいます。画面から出るブルーライトも脳を刺激します。
ブルーライトで夜もリラックスできずよく眠れなくなる
大脳は脳の中の覚醒にかかわる部分とも結び付いています。大脳が興奮すると覚醒レベルが上がり、休息モードに切り替わりません。その結果、不眠や睡眠の質の低下につながります。
脳が疲れてメンタルが低空飛行
脳を酷使し続けると、頭がボーッとしてスムーズに働かなくなります。疲れをとるために眠ろうとしても寝つけず、気分の落ち込みや無気力といったメンタル不調につながっていきます。
朝から疲れきって気分が落ち込む
脳疲労からメンタル不調に陥った結果、眠れない、寝ても疲れがとれない、気分が落ち込むといった慢性疲労状態になります。一時の寝だめや栄養補給では追いつかないため、“脳を癒やす回復法”が必要。
ヘトヘトなあなたを救う! 脳を癒やす「疲れとり三銃士」
脳の中で、あなたの疲れを改善するために働く心強い味方を紹介。3人の活動を応援すれば、“とれない疲れ”が改善します!
ネガティブを消してやる気を回復「セロトニン」
脳を目覚めさせてポジティブにする「疲れ取り三銃士」のリーダー。自律神経に作用し、オンとオフの切り替えを担当。日光浴や適度な運動により分泌。
そのほかの特技
・痛みをとる
・顔や姿勢をシャキッとさせる
ストレス反応を抑え心身を癒やす「オキシトシン」
ストレスを受けたときに体内で出る物質「コルチゾール」を減らす働きを持つ。他人との触れ合いやおしゃべりのほか、ペットをなでても分泌される。
そのほかの特技
・血圧を安定させる
・治癒力を高める
快眠をもたらしアンチエイジングも「メラトニン」
夜になるとセロトニンから作られるメラトニン、別名「睡眠ホルモン」。寝つきを良くして、夜中や早朝に目覚めるのを防ぐ。活性酸素を除去して老化を防ぐ働きも。
そのほかの特技
・体内時計を正常に保つ
・免疫力を上げる
「疲れとり三銃士」を増やすセルフケア
疲れとり三銃士の「セロトニン」「オキシトシン」「メラトニン」を増やすためのテクニックをまとめました。取り入れやすい方法を試してみてくださいね。
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イラスト/鈴木七代
(からだにいいこと2022年10月号より)
[ 監修者 ]