「疲労回復ワザ」22のコツ|すぐできる心と体の疲れ対処法
体がスッキリしない、何だか重だるい、疲れが取れない…。そんなときに気軽にできる、心や体に効くカンタン疲労回復ワザ。免疫力を応援し、若返りにも効果的な22の方法をご紹介します。
疲れと老化を防ぐカギは「 抗酸化」
疲れが長引くときは、体内で「抗酸化」がうまくできていないのかもしれません。
呼吸で体内に取り込まれた酸素がエネルギーを作るとき、「活性酸素」が生まれます。この活性酸素が増えすぎると細胞を酸化させ、組織を破壊して疲労感の原因に。
「活性酸素の働きを抑え、細胞を回復させる力が『抗酸化力』。抗酸化力が上がれば、細胞や臓器がしっかり働くようになり、疲れが取れやすくなります」と話すのは、医師の工藤孝文さん。
「老化の抑制や免疫力アップ、メンタルの安定にもつながります」
抗酸化作用を持つ「メラトニン」と、その材料「セロトニン」をしっかり分泌するのが疲労回復のカギと言います。
抗酸化力を応援する22のワザで、疲れ知らずでピカピカの心と体を目指しましょう!
「セロトニン」は幸せホルモンとも呼ばれ、脳の疲れや不安を取り去る働きがあります。ストレス社会に生きる現代人にとって、意識的に分泌させたいホルモンの1つ。日光を浴びたり、食習慣を改善したりなど、さまざまな方法で増やすことができます。
朝に作られたセロトニンは、約16時間かけて睡眠ホルモン「メラトニン」に変化。メラトニンには、筋肉や細胞の働きを下げる「活性酸素」を除去する働きがあります。傷ついた細胞を眠っている間に修復し、体の疲れを癒やしてくれます。
体の疲れに効く対処法
家事や仕事で体を動かした日は、しっかり体の疲れを取ってください。筋肉に溜まった疲労物質を取り除くには、何より良質な睡眠が大切。さらに体内の巡りを整えて、老廃物をきちんと排出できる体にしましょう。
睡眠時間は7時間確保が理想ですが、難しい日も。そんなときは細切れでもOK、日中の仮眠も合わせて7時間を目指して。ただし、起床時間はそろえるのがベター。
いびきは眠りが浅い証拠。呼吸が止まり命に関わることも。右を向いて寝ると気道が確保されていびきを防げます。胃のカーブにも沿うので、消化力もアップ!
日中の冷えには、足の裏にカイロを貼ってみて。足裏を通過するときに温まった血液が全身を巡り、体温も代謝もアップ。老廃物が流れ、疲労回復に。
足が冷えて眠れない夜は、靴下よりもレッグウォーマーを。睡眠の質を上げるには、体の奥の体温を下げます。レッグウォーマーなら足首はしっかり温めつつ、足先から余分な熱を逃がします。
寝る前に食べすぎると血流が胃腸に集中し、脳や筋肉に血液が巡らず、疲れが残る原因に。多少空腹を感じる程度のほうが血流が行き届くので、疲労回復に。
貧乏ゆすりでふくらはぎの筋肉を動かせば、全身の血巡りがUP、老廃物を流す効果があります。筋肉への刺激でセロトニンが分泌されるのでイライラ解消にも。
100円ショップでも手に入る「吹き戻し」を吹くと、自然に腹式呼吸に。副交感神経が優位になり寝つきがUP。腹式呼吸は日中の疲労回復にも効果あり。
歯磨きは、交感神経を刺激するので、スムーズに寝入るためにはNG。日々のルーティンは早めに終わらせて。
心の疲れに効く対処法
毎日を一生懸命生きていると、心がお疲れモードに。幸せホルモン「セロトニン」や愛情ホルモン「オキシトシン」の力でリラックスすれば、心の疲れも不安もスッキリ。
周囲に気を使っていると、無意識に緊張して肩に力が入りがち。肩コリは心も体も疲れさせ、悪循環を招きやすくなります。自分で揉む・ほぐすなど意識的にケアを。
「胸を張るとセロトニンが増える」「笑顔はチョコバー2,000個分の幸福度に相当する」など、海外の研究で実証済み。“元気な自分”を作れば、脳が「元気」と錯覚して回復へ。
マスクをしていると口元を動かす習慣がなくなりがち。マスクを外したときに早口言葉を。口元が大きく動き自然と口角が上がり、ポジティブな気分に。
朝一番で日光を浴びて体を動かすことで、体内でセロトニンが作られます。日照時間の短い冬は気分が落ち込みやすいので、起床後30分以内に太陽光を浴びる習慣を。
悲しみや感動で涙を流すとオキシトシンが分泌され、心の疲れが軽くなります。泣きたいときは我慢せず涙を流して。ただし、怒りの涙は逆効果なので注意!
家族や親友など、大切な人と電話で話すと、心の疲れが取れてリラックスできます。このときぬいぐるみを抱きしめれば、オキシトシンがたっぷり分泌され、癒やし効果アップ!
頭の疲れに効く対処法
いくら寝ても疲れがスッキリ取れないときは、脳が疲れているのかも。
スマホやPCなど、大量の情報にさらされる現代人は脳疲労に悩まされがち。ときには頭を使わず、ひたすらボーッとする時間を作るのも大切です。
「おしゃべり」は、女性にとって何よりのストレス発散になり、頭の疲れを取り去るもの。話し相手がいないときは、気持ちを込めて歌ったり、音読をして。
青色が目に入ると、脳はセロトニンを分泌。見るだけでリラックスできるので、文房具などにおすすめ。青色は食欲を抑えるので、ダイエット中なら食器にも。
悩みすぎて脳が疲れ切って限界を感じたら、いったん「自分は死んだ!」と思ってみて。荒療治に思えますが、ものごとを一歩引いて考えられるようになるので、一気に冷静に。
現代人はあまり体を動かさず、頭ばかりが疲れがち。この状態は心身の大きなストレスに。デスクワークで疲れた日は30分ほどしっかり体を動かすと、セロトニンが分泌され頭がスッキリ。
大量の情報に囲まれた現代人は、常にフルで脳を使っている状態。なんでも自分の好きなことに集中すれば、仕事や悩みから頭を切り替えられます。
「寝る前のスマホはダメ」と言われても、守るのは大変。夜間モードに設定してブルーライトをカットすれば、睡眠中に脳の疲れが取れやすくなります。
仕事や悩みごとで煮詰まったら、利き手でない手で歯を磨いて。脳が刺激を受けてリフレッシュすれば、新たなアイデアが湧いてくるかも!?
周りの声を聞かず、テレビをボーッと眺めているときは、自分の気持ちとゆったり向き合う「マインドフルネス」に近い状態。1人の時間がほしい日におすすめ。
「抗酸化」にはこんな効果も!
老化を防ぐ
活性酸素により細胞がサビつくと、老化が早まるだけでなく、動脈硬化をはじめさまざまな病気の原因に。抗酸化物質によりサビつきを抑えれば、老化のスピードを下げられます。
免疫力を上げる
体の酸化は“サビ”のようなもの。酸化が進むと体中の臓器がサビつき、免疫力もダウン。セロトニンとメラトニンがしっかり働けば、ストレスによる免疫力の低下も抑え、抵抗力アップ!
疲れに効く食べ物
身近な食べ物にも、疲労回復を促す成分が多く含まれています。抗疲労・抗酸化の効果を持つ食材を取り入れ、さらなる疲労回復を目指して!
漢方の一種としても使われるシナモンは、万能薬ともいうべき存在。飲みものや料理に一ふり加えるだけで、滋養強壮の効果があります。
鶏むね肉に豊富に含まれる「イミダペプチド」は、抗酸化作用や疲労回復作用を持つ栄養素。毎日食べれば、疲れにくい体質に近づきます。
鮭の赤色は「アスタキサンチン」という色素によるもの。この色素には超強力な抗酸化作用があります。疲労回復に加え、シミやシワの抑制にも◎。
卵もご飯も、セロトニンの材料に適した“良質なタンパク質”をたっぷり含む食材。消化も良い卵かけご飯は、とっておきの「疲労回復食」なのです。
レモンに含まれるクエン酸には、高い疲労回復効果が。ビタミンCが豊富なので美肌効果も期待できます。手軽に作れるレモン水を常備すると◎。
原料のホップには疲労回復効果に加え、女性ホルモンに近い作用が。ビールでもOKですが、飲みすぎると寝つきが悪くなるので注意して。
くるみに含まれる「オメガ3系脂肪酸」には、疲れを取る働きが。脂肪を分解する効果もあるので、ダイエット中にも心強い存在です。
牛乳には、セロトニンの原料となるアミノ酸「トリプトファン」が含まれます。朝飲めば、夜にはメラトニンに変化し、質の高い眠りにつながります。
毎日元気に過ごせたら、体も心も若返って病気知らずに。上手に生活の中に取り入れて疲れを癒やしましょう!
イラスト/あらいぴろよ
(からだにいいこと2021年2月号より)