
【座りながらダイエット】デスクワーク中にできるエクササイズ
デスクワーク中心の毎日で、運動不足になっていませんか? 座ったままでも体をじんわり動かせば、ダイエットに役立てることができます。正しい座り方や、仕事の合間にできる簡単な体操やストレッチを紹介します。
まずは正しい座り方の基本をおさらい
長時間のデスクワークでは、姿勢の崩れが体にさまざまな負担をかけることも。正しい座り方を意識すれば、ダイエットだけでなく、コリや不調の予防にもつながります。
まずは、理想的な姿勢やスタイルアップにつながる座り方、ぽっこりお腹につながる“避けたい姿勢”を見ていきましょう。
骨盤を立て、背中は背もたれに“添えるだけ”を意識

デスクワーク中は、骨盤を立てて背すじをすっと伸ばした状態で座るのが理想。
お尻は椅子の奥まで深く腰かけ、座骨(ざこつ)を座面にしっかり当てるように座りましょう。背中は背もたれに預けず、軽く添える程度にすると、骨盤が自然と立ちやすくなります。あごを軽く引くのもポイントです。
この姿勢をとると体幹の奥の筋肉を使うことができるうえに、背骨も自然な並びを保てるため、背骨の関節や椎間板などの組織にかかる圧力がうまく分散され、長時間座っていても腰を痛めにくくなります。
腰のカーブをより自然に保つために、クッションなどを活用するのもおすすめです。
ひざが90度になるよう椅子の高さを整える
自分に合った高さの椅子に座るのも、大切なポイントの1つ。
椅子に深く腰掛けたときに、ひざの角度はおよそ90度になるのがベスト。足の裏は、床にペタッとつけて座りましょう。足の裏が床について安定していると、良い姿勢が崩れにくく、体幹の筋肉も働きやすくなります。
さらに、ひざ裏と椅子の間には少し隙間が空くようにしておくと、血流が停滞するのを防ぐことができます。
かかとが浮いてしまったり、ひざが90度よりも深く曲がったりしてしまっている場合は、座面の高さを調整することでベストな姿勢に近づけましょう。
避けるべき姿勢

避けたい座り方の代表例が「脚を組む」姿勢です。
脚を組むとどうしても骨盤がゆがみやすくなり、腰や背中に余計な負担がかかってしまいます。脚が太くなる原因にもつながるうえに、深層の体幹筋が使われなくなるため、骨盤を立てて背すじをスッと伸ばした理想的な姿勢を長く取れなくなってしまい、筋力の低下から代謝が落ちてしまうことも考えられます。
また、体を片側に傾けたり、頬杖をついたりするのも、左右の筋肉のバランスを崩してしまう姿勢で、その崩れた状態(ゆがみ)が定着してしまいます。ゆがみの定着は、ダイエットの大敵です。
加えて注意したいのは、椅子に浅く座り、背中を丸めて背もたれにだらーっともたれかかるような「仙骨座り(ずっこけ座り)」。
この姿勢では骨盤が後ろに傾いてしまい、肋骨と骨盤の隙間が狭くなります。するとお腹の肉がぐっと前に押し出され、ぽっこりと突き出す原因になってしまうのです。また、この状態では浅い呼吸しかできず、呼吸で働く筋肉もどんどん弱くなっていきます。
姿勢が悪く呼吸が浅い状態が続くと、ボディラインが崩れるだけでなく、腰痛や肩コリ、慢性的な疲労などのリスクにつながります。日頃から正しい姿勢とゆったりとした深い呼吸を心がけましょう。
座ったままできるダイエットエクササイズ

デスクワーク中も、ちょっとした工夫で体を動かすことは可能です。座ったまま下半身を軽く動かすだけでも、運動不足をほんの少し解消できたり、ダイエットや代謝アップにつながったりします。
ここからは、座ったまま実践できるエクササイズ方法を紹介します。作業中のリフレッシュとしても効果を発揮するので、「疲れたな」「気分転換したいな」というときにも試してみて。
呼吸法を変える「ドローイン」で代謝をアップ
最初に紹介するのは、会社でもこっそり取り組みやすい「ドローイン」。座りながらでも、お腹をへこませ、呼吸を繰り返すことで、深層の体幹筋(インナーマッスル)を鍛えるエクササイズです。
<座ったままできる「ドローイン」のやり方>

- 椅子に浅く腰かけて背すじを伸ばす。両足の裏は、床にしっかりとつける。
- 息をゆっくり吐きながらお腹をできるだけへこませる。
- その状態をキープしながら、胸での呼吸を続ける。おへそを背中に近づけるようなイメージで、おへその下あたりが硬くなり力が入っているのを感じながら行う。
- 数十秒キープしたら、お腹をゆるめ、ゆったりと自然な呼吸を2~3回繰り返す。
最初は10秒程度から始め、慣れてきたら時間や回数を増やしていきましょう。毎日コツコツ続ければ、ウエストの引き締めや姿勢の改善、さらには内臓の活性化による腸内環境の改善も期待できます。
簡単にできて、オフィスでもバレない方法なので、ぜひやってみて。

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。…
下腹部・お腹まわりを引き締めるエクササイズ
引き締まったお腹を手に入れたいなら、「片足上げ」がおすすめ。おへその下あたりのお腹に意識を向けて行うのがポイントです。
腰から太ももの付け根にかけてついている大きな筋肉「腸腰筋(ちょうようきん)」を刺激するため、基礎代謝の向上も期待できます。
<「片足上げ」のやり方>

- 椅子に浅く腰かけて背すじを伸ばし、お腹をへこませ下腹部を意識する。
- 片足を床から10cmほど持ち上げ、10~15秒間キープする。背すじが曲がったり、腰が反ったりしないよう注意。
- ゆっくり下ろしたら、反対側の足も同様に行う。左右交互に5~10セット繰り返す。
骨盤まわりを動かして代謝を促進
骨盤まわりの筋肉がこわばっていると、血行が悪くなったり、代謝が落ちたりする原因に。骨盤を前後にゆっくり傾ける運動を取り入れてみましょう。
小さな動きでも、お腹まわりとお股(骨盤の底)の筋肉を意識して行うことで、姿勢の土台を整えるのに役立ちます。慣れるまでは難しいかもしれませんが、徐々に感覚をつかんでみて。
<「骨盤ゆらし」のやり方>
- 椅子に浅く腰かけて背すじを伸ばす。足とひざの幅はこぶし1つか2つ分くらい開け、足裏はしっかりと床につける。
- 座ったままでお腹をグッと前に突き出し、お尻を後ろに突き出して、骨盤を前に傾ける。膣と肛門はきゅっと締め上げるイメージ。
- 次に、ゆっくりとおへそを引き込み、尾てい骨が座面につくまで体を傾けて、骨盤を後ろに倒す。膣と肛門は上に引き上げるイメージ。呼吸が止まらないよう気をつけながら、5~10回繰り返す。
股関節をほぐす運動でむくみ改善
長時間同じ姿勢でいると、股関節がこわばって下半身がむくみやすくなります。そんなときは、股関節を優しくほぐす運動を試してみて。
股関節の詰まりがとれれば、ぽっこりお腹が改善しやすくなり、むくみも軽減。股関節が柔軟になることで、ヒップアップ効果も期待できます。ただし、痛みを感じるときは無理をしないこと。
<「股関節ほぐし」のやり方>

- 椅子に浅く腰かけて背すじを伸ばす。足裏はしっかりと床につける。
- 右足首を左ひざに乗せ、右手は右ひざに添え、左手は右足首を固定するように持つ。
- 右手で、右ひざを下方向へと10秒間押し下げる。反対側も同様に行う。
“こっそり”できる下半身痩せトレーニング
仕事中でも周囲に気づかれにくい、さりげないトレーニングもあります。
たとえば、椅子に深く座った状態で良い姿勢をとり、両ひざと足首をそろえ、内ももの「内転筋」に力を入れてひざを閉じたりゆるめたりするだけでも、太ももの内側に効きます。力を入れるときには、お股の「骨盤底筋」を引き上げるようにするとより効果的です。
また、ふくらはぎを引き締めたいなら、机の下で「カーフレイズ」を繰り返すのも一手です。負荷の強い動きではないものの、ふくらはぎの奥深くにある「ヒラメ筋」を刺激することができるため、むくみ対策にも効果が期待できます。
<「カーフレイズ」のやり方>
- 椅子に浅く腰かけて背すじを伸ばす。足裏はしっかりと床につける。
- つま先を地面につけたまま、かかとをゆっくりと床から離し、1秒キープする。
- ゆっくりとかかとを下ろす。スピードアップしないよう意識しながら、10~20回繰り返す。
気分転換にも! 仕事の合間にできるストレッチ・マッサージ

長時間のデスクワークが続くと、首・肩コリや腰の痛みなど、体のあちこちに負担が集中。忙しいときこそ、合間の時間にちょっとしたストレッチやマッサージを習慣づけましょう。
ストレッチだけで劇的なダイエット効果を得るのは難しいものの、全身をほぐせば自然と正しい姿勢がとりやすくなり、結果的にボディラインが整いやすくなると考えられます。
体の緊張をゆるめて血行を促せば、気持ちもリフレッシュできるため、作業効率のアップにもつながりますよ。
腕から首にかけてのストレッチ
首や肩まわりは、長時間同じ姿勢でいると特にこりやすい部分。デスクワークをしている社会人にとっては宿命とも言える悩みです。
つらいコリをほぐしたいなら、椅子に深く座ったまま、片手を頭に添えてゆっくりと首を横に倒すストレッチがおすすめです。反対側の腕は力を抜いて下ろし、首すじがじんわりと伸びるのを感じましょう。
また、両手を組んで上へ伸ばして左右に倒すストレッチも、肩甲骨まわりや呼吸に使う筋肉をほぐすのに効果的です。ゆっくり呼吸を繰り返しながら、数回繰り返してみてくださいね。
前腕のストレッチ

キーボードやマウスの操作で酷使しやすい前腕も、デスクワークの合間にケアしたい部位。簡単なストレッチで、気持ちよくほぐすことができます。
片方の腕を前に伸ばしたら手のひらを下に向けて、もう一方の手で指先を手前に引くと、前腕の外側がグッと伸びます。次に手のひらを上に向けて同様に引けば、内側の筋肉にもアプローチ可能。腕の疲労軽減や腱鞘炎の予防にもつながるので、試してみて。
太ももの裏側のストレッチ
座っている時間が長いと、太ももの裏側にある筋肉「ハムストリングス」が硬くなりがちです。そのままでいると、スムーズに立ち上がりにくくなってしまいます。また、ハムストリングスが硬いと立ったときの姿勢が崩れやすくなってしまい、ぽっこりお腹や腰が張りやすい原因になります。
太もも裏のストレッチは、こうした問題を解決し、ダイエットに適した体づくりの土台を整えるのに役立ちます。
椅子に浅く腰かけた状態で片脚を前に伸ばし、かかとを床につけます。つま先を上に向けたまま、背すじを伸ばして上体をゆっくり前に倒していきましょう。太ももの裏がじんわりと伸びている感覚があれば、それで十分です。左右交互に行い、ハムストリングスをゆっくり伸ばしてみて。
お腹まわりのマッサージ
お腹まわりを優しくマッサージすると、腸の動きが促され、便秘の改善や代謝アップにもつながるとされています。おへそのまわりを、手のひらで「の」の字を描くように優しくなでるだけで、腸の活発化を促すことができます。
お腹が張っているときや、少しリラックスしたいときに取り入れてみて。ただし、食後すぐや体調がすぐれないときは避けましょう。
お尻のストレッチ
長時間座っていると、お尻の筋肉も硬くなりがち。そのままにしておくと、下半身のむくみや腰痛につながることがあります。
お尻の大きな筋肉「大臀筋」のストレッチは、次のような手順で行ってみて。
<「大臀筋ストレッチ」のやり方>

- 椅子に浅く腰かけて背すじを伸ばす。足裏はしっかりと床につける。
- 右足首を左太ももに乗せる。
- 背すじをまっすぐに保ったまま、上体をゆっくりと前に倒す。右側のお尻が伸びているのを感じたら30秒間キープする。反対側も同様に行う。
ふくらはぎのマッサージ
座りっぱなしでふくらはぎが重く感じるときは、リンパの流れが滞っているサインかも。仕事の合間に、ふくらはぎを軽くマッサージしてみましょう。
ふくらはぎの裏側や内側に反対の脚のひざ頭を当て、押すように揉みほぐすだけでも、筋肉の緊張がほぐれて血流が促されます。左右まんべんなく行い、リンパの巡りを促してみて。
デスクワーク中に意識したい「痩せる習慣」
毎日のデスクワークの中でも、ちょっとした習慣を意識するだけで、消費カロリーを増やしたり、無駄な間食を防いだりすることができます。
特別な時間や道具を必要とせず、日常の延長で取り入れられるからこそ、無理なく続けられるのがポイント。小さな積み重ねで、長期的に“痩せ体質”を目指しましょう。
こまめに立ち上がる

座りっぱなしでいる時間が長くなると、血流やリンパの流れが停滞。代謝の低下やむくみによってダイエットに良くない影響を与えるだけでなく、肩コリなどの不調を引き起こしたり、生活習慣病のリスクを高めたりするとも言われています。
まずは「座りっぱなしにならない」という意識づけが大切。できれば30分に一度を目安に立ち上がり、軽く歩いたり、ストレッチをしたりするよう心がけましょう。電話をするときは立って話す、コピー機までの移動をこまめに行うなど、日常動作の中に「立ち上がる」動きを紐づけることも有効です。
少しでも活動量を増やせば、消費カロリーのアップにもつながります。
白湯で体を温める

デスクワークのお供にコーヒーやお茶が欠かせない人は、その飲み物を白湯に切り替え、こまめに少しずつ口にするようにしてみてください。
体を内側から温めることで血行が良くなり、冷えの予防や基礎代謝の維持に役立ちます。また、内臓が元気になるため消化が活発になったり、老廃物の排出が促進されたりすることも期待できます。
季節を問わず、手足の冷えが気になる方には特におすすめです。

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。…
ガムを噛む
仕事中に「なんとなく口寂しい」「何か食べたい」と感じることはありませんか? ガムを噛むと満腹中枢が刺激され、食欲が自然と落ち着くことがあります。どうしてもお腹が空いてしまったときに備え、デスクに常備しておくと良いでしょう。
噛む動作によって顔まわりの筋肉を動かすため、リフレッシュ効果や軽い表情筋トレーニングにもつながります。
仕事と食事をきちんと区切る

忙しい人ほど、仕事をしながらお菓子を食べたり、パソコンを見ながらカップ麺を流し込んだり……といった“ながら食べ”を行いがち。しかしこれは、ダイエット成功のためには避けるべき悪習慣の1つです。
仕事をしながら食べると、何をどれくらい食べているかということへ意識が向かないため“量”を気にすることができず、つい食べすぎてしまう原因に。また、味わわずに飲み込んでしまうことで満足感が得られず、お菓子に伸ばした手が止まらなくなることも。
食べる時間は「休憩」と割り切り、食事やおやつの時間を存分に楽しんでリフレッシュしましょう。
まとめ
デスクワークが中心の毎日でも、座り方に気をつけたり、仕事の合間に座ったままこっそりとできるエクササイズやストレッチを取り入れたりすると、ダイエットに前向きに取り組むことができます。
今回紹介した内容の中で「これならできそう」と思えることがあれば、少しずつ取り入れてみて。最初は小さな一歩でも、それを積み重ねていけば、姿勢を保つための体幹の筋肉が適切に働くことで良い姿勢が維持され、体の調子や気分に少しずつ変化が現れます。同時に食生活も心がけることで“痩せる”という目標に徐々に近づけます。
今日からできる「座りながらダイエット」で、体も心も健やかな毎日を目指していきましょう!