「スマホ老眼」の特徴は?見えづらさの原因と東洋医学のセルフケア|田中友也さん 季節の養生法
神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」の田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は、「スマホ老眼」がテーマ。見えづらさやショボショボ感など、目のトラブルを改善する方法を紹介します。
現代人に多い「スマホ老眼」の原因は?
スマホを見たあとに遠くを見ると景色がぼやける、夕方になると手元の文字が見えづらい、目のショボショボ感や疲労感が続く……。老眼ではないのにこうした症状が続く場合は、スマホの使いすぎによる「スマホ老眼」の可能性があります。
一般的な老眼は、加齢によって目の中の水晶体が硬くなり、ピントを調節する力が衰えることで、近くが見えづらくなります。
対してスマホ老眼の場合は、スマホを長時間見続けることで、ピントを調節する働きに負担がかかり、一時的に遠くや近くにピントが合いづらくなるなど、老眼に似た症状が起こることがあります。
・朝は大丈夫でも夜になるとピントが合いづらい
・スマホを長時間使うと症状が悪化する
・目を休めると元通りに見える
これがスマホ老眼の特徴です。
東洋医学では、目の不調は五臓のうち「肝」と深く関係していると考えられています。肝は“血(けつ/血液・栄養など)の貯蔵庫”とされ、目に十分な血を送ることで、視力や目の働きを保っています。
東洋医学には、「久視傷血(きゅうししょうけつ)」という考え方があります。これは、目を使い続けることは「血」を消耗させ、長時間スマホを見続けることで、目の疲れやかすみなどにつながることを意味しています。
長時間スマホを使用すると、血の不足だけでなく、目の周辺の筋肉や首や肩がこり固まり、「気(エネルギー)」や血の巡りも悪化。目のトラブルを助長する要因になっています。
「スマホ老眼」予防に! 東洋医学の5つのセルフケア
「老眼はまだ先」と思っている人も、スマホを使う時間が長ければスマホ老眼になることがあります。目をいたわる習慣を取り入れ、予防していきましょう。
「20-20-20ルール」で目を休める
スマホ老眼の基本の予防法は、目を休める時間をつくること。日常生活に取り入れたいのが「20-20-20ルール」。これは、20分デジタル機器を見たら、20フィート(約6m)離れた遠くのほうを、20秒見るという目のセルフケア。
近くを見る時間を減らし、短時間でも目を休めることで血の消耗を防ぎます。
画面を近くで見すぎる、暗い部屋でのスマホの使用もNG。目にとっては負担になるので避けましょう。

睡眠をおろそかにせず血を補い回復させる
東洋医学では、目は肝と深く関係し、血によって養われていると考える、とお伝えしました。中国最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」にも、「眠っている間に血が肝に戻り、その血によって目が養われる」と書かれています。
朝起きると目のショボショボ感がなく、すっきりクリアに見えるのは、睡眠によって目が休まり、血が養われ、気血の巡りも整ったから。
そのため昼間にスマホやパソコンなどで目をたくさん使ったら、夜はしっかり眠って目を休ませるのが大事。睡眠は、目にとっての“充電時間”のようなものです。見えづらさや目のかすみ、疲労感を感じたら、いつもより早く布団に入り、十分な睡眠をとりましょう。
“脱・スマホ”には散歩がおすすめ
電車の中でも、仕事の休憩中も、ソファでくつろぐときも……ついスマホを手に持ってしまっていませんか? 無意識でスマホを開き、ダラダラと見てしまう時間を減らすには、意識的に使わない時間を増やすことが大切です。
おすすめは散歩。スマホをバッグに入れて、遠くの景色や緑を眺めながら歩くと、ガチガチに固まった目の周辺の筋肉もゆるみます。ほかにも、目を閉じる、瞑想するなど、1日に数分でもいいので「これならできる」という“脱・スマホ習慣”を見つけましょう。
【食養生】レバーや赤身肉、黒豆などで目を健やかに
スマホ老眼が気になるときは、血を養うレバーや赤身肉、黒豆、黒ごま、クコの実などを食事に取り入れてみましょう。ブルーベリーなどのベリー類も、目の健康をサポートする食材としておすすめです。ピントが合いづらい、目が疲れやすいと感じたら、毎日の食事から目をいたわりましょう。
スマホ老眼におすすめの食べ物…黒米、黒豆、黒ゴマ、黒キクラゲ、ひじき、ブルーベリー、プルーン、レバー、クコの実、うずらの卵、アーモンド、にんじん、小松菜、パセリ、ぶどう、真いわし、イカ、うなぎ、すずき、タラ、まぐろ、ブリ、ムール貝、牡蠣、しじみ、オイスターソースなど
【ツボ押し】スマホ老眼には「攅竹(さんちく)・睛明(せいめい)・太陽(たいよう)」
目の周りには、スマホ老眼に効果的なツボが集中しています。「攅竹(さんちく)・睛明(せいめい)・太陽(たいよう)」の3つのツボを押すか、ツボを覆うようにホットタオルで温める方法も目がスッキリします。

攅竹(さんちく):眉頭のくぼんだ部分。
睛明(せいめい):目頭の少し上にあるくぼんだ部分。
太陽(たいよう):こめかみより下のややくぼんでいる部分。
押し方:どのツボも押しやすい指の腹で、気持ちいい程度の強さで押します(ただし、目に近い睛明は力強く押さないように注意)。蒸気の力で温める目元用の温熱グッズや、ホットタオルなどで温めるのもおすすめ。
今月の養生ポイント:程よい距離感でスマホと付き合おう
「老眼はまだ早いから大丈夫」「ただの目の疲れだろう」と、多くの人がスマホ老眼の症状を軽視しています。自分にとっては大したことのない目の症状でも、体にとっては無理をしているサインかもしれません。
文字が見えづらい、目がかすむなどの症状を感じたら、数日間の自分を振り返り、少し早めに寝る、目を休める、お風呂に入って目を温めるなど、疲れた目や首・肩を癒やしてあげてください。
仕事はもちろん、家族や友人との連絡、SNS、動画視聴など、スマホは現代人にとって生活に欠かせない存在です。一方で、使いすぎると、目だけでなく時には心まで疲弊させてしまうこともあります。
スマホを使い続けるとバッテリーが消耗するように、私たちもその間、血をたくさん消耗しています。明日もすっきりクリアな視界で過ごすために、スマホとは程よい距離感で付き合い、目の健康を守っていきましょう。
取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ
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