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霜田先生サムネ

人生の伴走者としてパーキンソン病患者を支える|名医図鑑#4

「銀座内科・神経内科クリニック」は脳神経とアンチエイジングを専門とするクリニックです。「患者さんの人生の伴走者でありたい」という院長の霜田里絵先生に、診療ポリシーをおうかがいしました。(取材日 2025年3月19日)

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「心」から「脳」へ興味を持つように

霜田里絵先生
日本神経学会専門医、日本内科学会認定医、日本抗加齢医学会専門医・アメリカ抗加齢医学会認定専門医。順天堂大学医学部卒業後、都内の病院で神経内科医として経験を積み、2005年に銀座内科・神経内科クリニックを開業。脳に関わる疾患の診療の他、アンチエイジングの相談にも乗っている。

医師を目指したきっかけを教えてください

幼い頃から父に「女性でも一生続けられる仕事を持ちなさい」「国家資格を取りなさい」と言われて育ったことが大きいですね。私は本を読むのが好きで、思春期に心がモヤモヤした時など心理学や精神分析の本が心の支えになっていたんです。自分が興味のある分野と国家資格が結び付いて、精神科医になりたいと思うようになり、医学部へ入りました。

心ではなく、脳神経内科を専門にした理由は?

医学部で勉強するうちに「心」よりも「脳」に興味を持つようになったんです。大学院では神経学を学び、パーキンソン病の研究で博士号を取得しました。都内の病院で神経内科医として経験を積んだ後、アメリカでアンチエイジングを学び、2005年、銀座にクリニックを開業しました。

クリニックの特長を教えてください

「身体脳」と「こころ脳」、双方を健康にするお手伝いをしていているところでしょうか。脳は二重構造になっているんです。まず「身体脳」は寝たり起きたり、食べたり、体を動かすなど、体の機能を制御しています、一方「こころ脳」は感情や思考、自己のアイデンティティを司っています。どちらかに不調があると、心身共に健康な状態とはいえません。なんとなく元気が出ない、イライラする、自然と涙が出てる、といった症状があるときは、脳からのSOSの可能性があります。

どのような症状の方が受診されるのでしょうか

頭痛やめまいをはじめ、「パーキンソン病」や「線維筋痛症」の方も多いですね。パーキンソン病は、脳の特定の領域が変性して進行する神経変性疾患で、筋肉のふるえやこわばりの他、動作が鈍くなったり、バランス感覚の低下などの症状が現れます。線維筋痛症は全身に原因不明の痛みを感じる病気です。頭痛やめまいは、ある程度、通院していただくことで症状が改善されることが多いですが、これらの病気は根気よく治療を続けていく必要があります。

病と闘いながら強く生きる姿に胸を打たれる

銀座イメージ
都内近郊からもアクセスのよい銀座に開業して、今年で20年。

診察で大切にしていることを教えてください

患者さんお一人おひとりの話に耳を傾けることでしょうか。パーキンソン病などの慢性疾患の場合、月1回の診察が何年も続いていきます。そうすると、患者さんのご家族のお話をうかがう機会も多いんですね。例えば「来月娘の結婚式があって、バージンロードを歩くのが心配だ」というお悩みに、一緒にどう歩くか考えたり。また、思い切って海外旅行へ行くに際して、飛行機の中を含め薬をいつどのように内服したら良いかをアドバイスすることもあります。患者さんの人生の伴走者として、一緒に時間を共有させていただけるのは私の楽しみでもあります。

記憶に残っている患者さんは?

パーキンソン病の方で、映画を企画制作、総指揮された方がいるんです。『いまダンスをするのは誰だ?』というタイトルで。ご自身の実話をもとに、若年性パーキンソン病と診断された主人公がダンスを通じて自身の生き方を見つめ直していくというお話です。ロサンゼルス日本映画祭で最高賞まで獲ったんですよ。物静かな方でしたが、突然「映画を作ります」って宣言されて、その行動力には驚き、とても感動しましたね。パーキンソン病だったり、交通事故で脳に後遺症が残ってしまった方だったり、自分よりもずっと若い方が病と闘いながら生きていく姿には、毎回胸を打たれます。

「診療が好き」と自覚しました

これからの展望は?

開業から20周年の節目にこれまでの年月を振り返ってみたら、特に目標を立てず、ただただ毎日こなすことで精いっぱいだったと気づいてしまったんです(笑)。でも同時に「私ってすごく診療が好きなんだ!」ということを初めて自覚できました。これからも求められる限り診療を続けていきたので、培ってきた経験値を生かしつつ、常に知識を刷新していかなくてはと思っています。人間の脳はまだまだ未知の部分が多く、勉強しがいがありますね。

ご自身のケアのために取り入れていることは?

パーソナルトレーニングは14年続けています。おかげでずっと、病気知らずです。脳や心、そしてアンチエイジングにおいて、運動はとても大切なんです。自主トレは苦手ですが、トレーナーさんから叱咤激励を受けることで、モチベーションがアップするんですよね。

読書の時間も大切です。大きな悩みがある時でも、小説を読んでいるとすごく心が落ち着きます。それと、一生懸命がんばったら気分転換に旅行に出かけて、心身のバランスを保つことも元気でいる秘訣です。

銀座内科・神経内科クリニック

銀座内科・神経内科クリニック
東京都中央区銀座6丁目12-10 龍岡ビル2階
アクセス:銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」A3出口より徒歩5分
電話:03-6253-8786
診療時間:10:30〜13:30、15:00〜18:00
第2〜5水曜午後、日・祝休
http://www.ginzanaika.com/

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