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猫のポーズ(ヨガ)

「菱形筋ストレッチ」で肩コリを改善|自宅でできる3つの方法

背中側にある筋肉の「菱形筋(りょうけいきん)」が硬くなると、肩コリにつながります。理学療法士が、菱形筋が硬くなる原因や肩コリを改善する方法、簡単にできるストレッチなどをくわしくご紹介します。

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菱形筋(りょうけいきん)とは?

私たちがふだん感じている肩甲骨周りや肩のコリは、「菱形筋(りょうけいきん)」という筋肉が関係しています。菱形筋とは、背骨から肩甲骨の内側にかけてつながっている、背中側にある筋肉のことです。

菱形筋は、下部にある大きな四角形の「大菱形筋(だいりょうけいきん)」と、上部にある細くて小さな「小菱形筋(しょうりょうけいきん)」の2つに分かれています。

菱形筋

背中側の表層にある「僧帽筋(そうぼうきん)」という大きな筋肉と、深い部分にある「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」という縦に走る筋肉に挟まれて存在しています。このように菱形筋は、2つの大きな筋肉の間にある、小さな筋肉です。

菱形筋の役割は?

菱形筋は小さな筋肉ですが、体を動かすために重要な役割を担っています。日常生活の中でどのような働きがあるのかを見ていきましょう。

肩甲骨を「引き寄せる・離す」働きがある

菱形筋は、肩甲骨を内側に引き寄せる動きをするときに収縮します。反対に背骨から遠ざかるように外側に離すときには緩みます。このように肩甲骨を「引き寄せる」動きと「離す」動きをするときに、菱形筋が使われています。

日常やスポーツでの役割

日常生活では、背筋を伸ばして胸を張ったり、物を引っ張ったりするときに菱形筋が働きます。また、物を持つときや運ぶときに手前に引く動作をするときにも働きます。

引っ張ったり持ったりするときは、腕の筋肉だけでなく、菱形筋などの背中側の筋肉も同時に働いているのです。

さらにスポーツでは、テニスでラケットを後ろに引く動作や、弓を引く動作、ボートを漕ぐ動作など、肩甲骨を背骨側に引き寄せるときに働いています。

菱形筋の痛みの原因は?

肩こりを感じる女性

菱形筋のある背中の部分に、痛みやコリを感じる人も多いでしょう。ここからは、菱形筋の痛みの原因についてくわしく解説します。痛みやコリの原因をまず知ることで、肩コリの改善や予防につながります。

スマホ操作、デスクワーク

菱形筋の痛みの原因は、日常生活にひそんでいます。その中でも多くの人に当てはまるのが、スマホ操作やデスクワークの時間が長くなっていること。

スマホやパソコンを操作をしている間は、肩甲骨をほとんど動かさずに指先だけを動かしています。筋肉は、動かさない時間が長くなると血流が悪化。その結果、菱形筋の周辺に痛みがあらわれます。

手書き作業

それ以外にも、肩甲骨を動かさずに指先だけを使う作業は菱形筋の痛みの原因につながります。代表的なのが手書き作業。この場合も肩甲骨を動かさずに作業が続くため、菱形筋周辺の血流が悪化。

短時間なら問題はありませんが、1時間以上が続く場合は注意が必要です。同じ体勢が続かないようにこまめに休憩をとりながら行うことで、菱形筋の痛みやコリを予防しましょう。

猫背の姿勢が続く

猫背の女性

猫背の姿勢になることも菱形筋の痛みがあらわれやすくなります。背中が丸まると、肩甲骨が外側に引っ張られた状態になり、菱形筋は長く引き伸ばされ緊張状態が高まります。

これも短時間ならば大きな問題にはなりませんが、猫背の姿勢が長く続くことで筋肉が凝り固まり、血流が悪化します。その結果、痛みやコリに。

肩甲骨を背骨に向かって寄せたときに、肩甲骨の間が詰まる感覚がある人は、菱形筋が凝っている証拠です。

菱形筋の硬さは肩コリの原因になる

菱形筋は、その上に重なる僧帽筋などの大きな筋肉と比較すると小さな筋肉です。大きさは小さいですが、実は菱形筋が肩コリの原因になっているケースも多くみられます。

菱形筋は背骨から肩甲骨の内側につながっているため、血流が悪化して硬くなると、肩や背中にだるさや重い感覚があらわれます。さらに硬くなると、痛みの引き金になるシコリが形成されます。このシコリは凝っている場所以外にも痛みを派生させるのです。

また、菱形筋が伸びた状態で固まる猫背の姿勢では、肩甲骨が外側に開いたまま動きにくくなっています。そのため菱形筋以外の肩甲骨周辺の筋肉も凝り固まりやすくなります。

背中や肩、首にかけての痛み、コリを感じる場合は、固まった菱形筋をほぐすことで症状が軽減する効果が期待できます。

菱形筋の痛みやコリを和らげる3つの方法

ストレッチする女性

菱形筋の痛みやコリの原因は、血流の悪化による筋肉の硬さにあるとお伝えしました。続いて菱形筋の硬さを改善するために、効果が期待できる3つの方法を紹介します。

ストレッチ

菱形筋の硬さを改善するためにまず有効なのがストレッチです。筋肉に対して適度にストレッチをすることで血流がアップ。筋肉に触れずとも痛みやコリを改善することができます。

記事の後半で、自宅で簡単にできる効果的なストレッチをご紹介していますので、肩コリがつらい人は参考にしてみてください。

筋力トレーニング

強い疲労を感じない程度に行うことができれば、筋力トレーニングも有効です。血流が良くなることで筋肉の硬さを改善する効果が期待できます。

しかし、筋力トレーニングは過度に行うと、逆に筋肉が硬くなってしまうので注意しましょう。

【やり方】

  1. イスに座った状態で背筋を伸ばす。前ならえをして、手のひらを下に向ける。
  2. 肩の高さをキープしてひじを水平に保ったまま、腕を背中の方向に引く。
  3. 肩甲骨が背骨に近づき、菱形筋に力が入るのが感じたら1に戻る。
  4. これを5~10回繰り返す。

2~3セットで十分効果が期待できます。菱形筋が固まっている状態でトレーニングをやりすぎると、筋肉痛が出る可能性があります。痛みや強い疲れを感じない範囲で行いましょう。

マッサージ

テニスボール

固まった菱形筋をほぐすのに即効性が期待できるのがマッサージです。マッサージで固まった筋肉の繊維をほぐすことができます。

【やり方】
用意するもの:靴下、テニスボール1個

  1. 長めの靴下にテニスボールを1個入れる。
  2. 壁際に立ち、壁と背中の間に1を入れる。
  3. 菱形筋にやさしく当てて、「イタ気持ちいい」と感じる程度で5~10秒程度キープ。
  4. 少し緩めてまた5~10秒マッサージ。これを数回繰り返す。

肩コリにも効果的! 菱形筋ストレッチ3選

ストレッチする女性

つらい肩コリを改善するには、菱形筋をほぐすストレッチが効果的です。ガチガチに固まった肩甲骨周りの筋肉を伸ばして、痛みから解放されましょう。ここでは自宅で簡単にできる菱形筋ストレッチのやり方を3つ紹介します。

座ってできるストレッチ

まずは座ってできる菱形筋ストレッチ。仕事や家事の合間など、すきま時間にも取り入れやすいストレッチです。簡単にできるので、ぜひ試してみてください。

【やり方】

  1. イスに座り、両手を組む。
  2. 両手をグーっと前方に伸ばして肩甲骨を背骨から引き離す。肩甲骨と背骨の間が伸びるのを感じる。
  3. 伸びている感覚のまま10秒キープ。少し緩めてまた10秒伸ばす。
  4. これを3セット、合計30秒程度行う。

寝ながらできるストレッチ

寝ながらできる菱形筋のストレッチを紹介します。夜寝る前や朝起きたときの習慣にすることで、肩コリを改善するだけでなく、予防にもつながります。

【やり方】

  1. 仰向けになり、右腕を外側に開いて手のひらを上に向ける。
  2. 右側に寝返りを打ち、左手を床につける。
  3. 右肩から背中まで伸びるのを感じたら、そのままキープ。
  4. 肩から肩甲骨のストレッチをじジワ~っと気持ちよく感じたらゆるめる。これを3セット行う。

四つ這いでできるストレッチ

四つ這いの菱形筋ストレッチ

四つ這いでできるストレッチは、菱形筋だけでなく背中周りの筋肉も同時に柔軟になります。肩コリは血流の悪化だけでなく自律神経の乱れによる緊張も関係しています。

四つ這いで行うストレッチは、自律神経の通り道でもある背骨の硬さもほぐします。背骨周りも同時にケアして、肩コリを改善・予防しましょう。

【やり方】

  1. 四つ這いになり息を吸い、吐きながら背中を丸くする。おへそを背中に引き込む。
  2. 息を吸いながら、背中を反らす。おへそを床に近づけて、目線は斜め上を見上げる。
  3. これを5~10回繰り返し、2〜3セット行う。
肩こりが解消された女性

まとめ:肩コリは「菱形筋ストレッチ」で改善・予防を

菱形筋とは、背中側にある、小さくても重要な働きをしている筋肉です。慢性的な肩コリの原因となっているケースが多く、快適な体で過ごすためには菱形筋を柔らかく保つことが大切です。

菱形筋をほぐす方法は、ご紹介したようにマッサージ、筋力トレーニング、ストレッチがありますが、自宅で簡単にできる方法としてはストレッチがおすすめです。

ストレッチは毎日の習慣にして、継続することで効果がアップします。仕事の合間や寝る前など、1日の中でこまめに取り入れて、菱形筋をケアしてあげましょう。

少しずつ菱形筋がほぐれていくと、肩甲骨周りや肩周辺の血流が改善して、痛みやコリが楽に。硬さが強くストレッチがむずかしい場合は、ご紹介したテニスボールのマッサージを優先してください。筋肉を柔らかくしてから行うと、ストレッチの効果が感じられやすくなります。

また、菱形筋の痛みやコリは、日常生活によって影響を受けます。同じ姿勢を長時間続けない、休憩する時間をつくるなど、“休むこと”も忘れずに過ごしましょう。

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