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動悸・不安

突然の動悸の原因は?すぐできる対処法と予防法を医師が解説

激しい運動をしたわけではないのに胸がドキドキする、寝ているときに動悸や息苦しさで目が覚める。急にこのような症状が起こると不安になりますよね。動悸の原因を知り、自分でできる対処法を身につけましょう。

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突然起こる動悸の原因は?

胸に手を当てなくてもドキドキしたり、ドクンドクンと心臓の拍動を感じたりする状態を「動悸」といいます。心臓の拍動が速く感じる場合や大きく感じる場合、拍動が一定でなく乱れていると感じる場合などがあります。いわゆる不整脈で動悸を感じることもあれば、正常な心臓の拍動を感じているだけのこともあります。

激しい運動をしたときや、緊張したときには誰でも脈が速くなります。しかし、運動や緊張をしていないのに動悸や息切れが起こる場合は注意が必要です。

何の前触れもなく急に動悸が起こると、不安になるもの。まずは動悸のメカニズムについてみていきましょう。どんなときに動悸が起こるのかを分かっていると、いざというときに慌てずに済みます。

動悸、息切れには自律神経が関係している

動悸・不安を感じる女性

心拍の働きに深く関係しているのが、自律神経です。自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、常にバランスを保ちながら、体のさまざまな機能をコントロールしています。

心身を緊張させたり興奮させたりするのが交感神経。緊張する場面や、運動をしたりすると交感神経が優位になります。心身が興奮状態になると、血圧の上昇や動悸、息切れなどが生じます。

一方、心や体を休ませるのが副交感神経です。休息や睡眠などによってリラックスした状態になると、副交感神経が優位になり、血圧は下がって動悸や息切れがある場合は治まります。

通常は、どちらかの自律神経が優位になることで心や体の機能を調節しています。しかし、何らかの原因でこの自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位な状態になってしまうと、安静時であっても突然動悸が起きてしまうのです。

自律神経が乱れる原因には、以下のようなものが考えられます。

ストレスや疲労

自律神経が乱れる原因として、ストレスや疲労があげられます。日々感じているストレスや、体や心の疲れが蓄積すると、常に交感神経が優位になり続けます。自律神経のバランスが崩れた状態が続くことで、ある日突然、緊張の糸が切れたように動悸が起こることがあります。ストレスが強ければ強いほど、不整脈は起こりやすくなります。

また、女性は閉経前後の約10年、動悸や息切れ、めまいなどの更年期症状があらわれやすくなります。これも女性ホルモンが低下し、自律神経が乱れたことによる不調と考えられます。

カフェインやアルコール、たばこなどの嗜好品

ビールを飲む女性

嗜好品にも注意が必要です。カフェインやアルコール、ニコチンには、交感神経を刺激して血圧を上げ、脈拍を速める作用があります。そのため、コーヒーや緑茶などのカフェインが入った飲料の飲み過ぎ、お酒、タバコなどの嗜好品の摂り過ぎは、動悸が起こりやすくなると考えられます。

すぐできる動悸の対処法

急な動悸が起きると「どうしよう…」と焦りますが、対処法を知っておくことで普段から安心して過ごすことができます。心臓がドクンドクンとしていつもと違うと感じたり、ドキドキして脈が速くなっていたりする場合は、次のような対処法を試してみてください。

ただし、胸の痛みや呼吸困難を伴う場合は、命に関わる危険性があるため、すぐに助けや救急車を呼びましょう。

ラクな姿勢で安静にする

ソファで休む女性

不安になって慌ててしまうと、ますます自律神経が乱れます。心拍が速くなり、動悸の悪化につながるため、まずは座ったりしゃがんだりして安静にしましょう。

自宅にいる場合や休む場所があるときは、横になってラクな姿勢をとります。手の位置が高すぎると心拍が上がって息苦しさが出やすくなるため、立っているときは手すりなど胸の高さくらいの物に腕を乗せて体を安定させます。

深呼吸をしてリラックスする

呼吸で自律神経を落ち着かせることもポイントです。動悸があらわれたら、大きく深呼吸をして体をリラックスさせましょう。深呼吸をするときは、次のようなポイントを意識してみてください。

  • 肩の力を抜いてリラックスする
  • 鼻から吸った息を、口からゆっくりと吐き出す
  • 息を吐き切る

息を吐くことで副交感神経が優位になるため、しっかりと「吐き切る」ことを意識しましょう。緊張状態が和らいで次第に動悸が落ち着いてくるでしょう。

動悸を和らげるツボを押す

さまざまな不調や痛みに効果的なツボですが、動悸が起こったときにも有効です。以下のような動悸を和らげるツボを押してみましょう。

<動悸におすすめのツボ>

神門(しんもん):手のひら側の手首のシワの上、小指側のくぼみにあるツボ。
押し方:反対側の手で手首をつかんで支え、親指でツボを押します。

郄門(げきもん):手のひら側の手首とひじの中間地点にあるツボ。
押し方:反対側の手で腕をつかみ、親指の腹でツボを押します。

これらのツボを、息を吐きながら数回ゆっくりと押しましょう。強さは気持ちいいと感じる程度に。

動悸を落ち着かせるハーブティーを飲む

ハーブティー

動悸が起きたときは、ハーブティーを飲むこともおすすめです。ハーブには多くの種類がありますが、リラックス効果により動悸を落ち着かせてくれるものもあります。

<リラックス効果が期待できるハーブ>

ラベンダー、リンデン、オレンジフラワー、ローズ、ローズヒップ、チャイニーズアンゼリカ、ジャーマンカモミール、パッションフラワー、クチナシ、レモンバーム、オレンジブロッサム など

体が温まると、心の緊張もほぐれてよりリラックスできます。ハーブティーはホットで飲むといいでしょう。複数のハーブがブレンドされたティーバッグタイプを、自宅や会社に常備したり、マイボトルに入れて持ち歩いたりすれば、動悸が起きたときもすぐに飲めて便利です。

アロマオイルの香りをかぐ

ハーブティー同様に、リラックス効果のあるアロマオイルも有効です。心地よい精油の香りを嗅ぐだけで呼吸が深くなり、ドキドキした気持ちが落ち着くでしょう。

<リラックス効果が期待できる精油>

ラベンダー、マンダリン、スイートオレンジ、ジャスミン、イランイラン など

これらのアロマオイルを持ち歩き、動悸がしたときにティッシュペーパーやコットンに1~2滴程度落として香りを嗅ぐといいでしょう。

動悸を予防する方法

リラックス

ストレスや疲労など、体への負担が自律神経を乱れさせ、動悸につながるとお伝えしました。そのため動悸の対処法を覚えておくこはもちろん、それに加えて日頃から動悸を予防する生活を心がけることが大切です。

次のように、規則正しい生活を送ることで交感神経と副交感神経が働くべきタイミングで働き、自律神経のバランスが整います。

生活習慣を見直して自律神経を整える

自律神経を整えるにはまず、生活習慣の見直しが欠かせません。質のいい睡眠、3食規則正しい時間に摂る食事、適度な運動を心がけ、入浴で1日の疲れをリセットしましょう。

当たり前のように思える規則正しい生活が、自律神経を整える一番の近道になります。

質のいい睡眠を十分にとる

睡眠時間を十分に確保すること、質のいい睡眠をとることも、動悸の予防になります。人は寝ている間に「深い睡眠」と「浅い睡眠」を交互に繰り返しています。

深い睡眠は脳を休ませて、浅い睡眠は体を休ませる時間。また、深い睡眠のときは交感神経を休ませて副交感神経が優位になり、反対に浅い睡眠のときは副交感神経を休ませて交感神経を優位にします。

このように、睡眠中は「深い睡眠」と「浅い睡眠」の両方を十分にとることが大切。そのためには十分な時間も必要になります。深い睡眠と浅い睡眠を繰り返すことで、自律神経が整い、ダメージを受けた心身も回復します。

睡眠のリズムを整えて質のいい睡眠をとるためには、以下の点に気を付けてみてください。

ストレッチ
  • 朝起きたら太陽の光を浴びる
  • 就寝30分~1時間以上前には、スマホやパソコンから離れる
  • 寝る前に軽いストレッチを行う
  • 温度や湿度、照明などの寝室環境を整える

太陽の光を浴びると体内時計がリセットされて交感神経優位になります。また、朝起きて太陽の光を浴びることで夜の時間帯に睡眠ホルモンの分泌が増え、スムーズな入眠につながります。

就寝前は副交感神経に切り替えるために、交感神経をオンにするスマホやパソコンを使わない、軽いストレッチをする、寝室環境を整えるなどを習慣にしてみてください。

質のいい睡眠は自律神経を整えます。自律神経が整うと、さらに良い睡眠リズムに。このような良いサイクルが自然と生まれ、動悸の予防につながります。

食生活を改善する

心身の健康を維持するためには、バランスのいい食事も欠かせません。決まった時間に食事を摂ると、胃腸が動き出し体温が上がります。そのため1日3食、規則正しく食事を摂ることも自律神経のバランスに関係しています。

とくに、自律神経を整えるためには、良い睡眠につながる次のような栄養素を摂るのがおすすめです。これ以外にもさまざまな食品から栄養を摂りましょう。

トリプトファン:大豆製品、乳製品、卵、ごま、ピーナッツ、バナナ など

トリプトファンは、日中は脳内で、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料になり、自律神経のバランスを整えてくれます。トリプトファンは夜になると睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンに変化し、スムーズな眠りを促します。トリプトファンは体内では合成されないため、食事から摂取する必要があります。

ビタミンB6カツオ、マグロ、レバー など

ビタミンB6は、トリプトファンと結びついてセロトニンを生成する働きがあります。良い睡眠をもたらし、自律神経を整えるために積極的に摂りたい栄養素です。

炭水化物:ごはん、パン、麺類、イモ類 など

糖はトリプトファンを脳まで効率よく運び、セロトニンの生成を支えてくれる働きがあります。

また、腸は自律神経とのつながりが深いため、腸内環境を整えることも効果的です。起床時にコップ1杯の水を飲む、乳酸菌や食物繊維を食事から摂るなど、腸を健康に保つ心がけを。

適度な運動を習慣にする

ストレッチ

運動をすると交感神経が優位になり、運動をしたあとはゆっくりと副交感神経が優位になります。このように、運動をすると直後に副交感神経を呼び戻すことができるため、交感神経と副交感神経のバランスを調節する機能がアップします。

また、運動はストレス発散効果もあり、ストレスによる自律神経の乱れを予防することにもつながります。リラックスして楽しみながら続けられる、ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの軽い運動を習慣にするのがおすすめです。

入浴でリラックス・疲労をためない

入浴で心身の疲れをリセットすることも有効です。入浴は体温を上げてスムーズな入眠を促すだけでなく、心も体もリラックスさせる効果があります。副交感神経に切り替え、ぐっすり眠るための手助けになるでしょう。

40℃のお湯に10分浸かる

40℃程度のぬるめのお風呂は、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせます。体に負担がかからないよう、入浴時間は10分程度を目安に。

入浴は就寝1~2時間前に

人間は体の深部体温が下がることで眠りにつきます。就寝1~2時間前に入浴すると、寝る頃には体温が下がって副交感神経が優位になり、スムーズな入眠に。

自律神経のバランスを整えて動悸を予防するためにも、できるだけシャワーで済ませず、湯船につかる習慣を持ちましょう。

カフェインやアルコールを控える

ハーブティー

カフェインやアルコールの過剰摂取は、自律神経を刺激して動悸につながるだけでなく、睡眠にも悪影響を及ぼします。

健康な成人であっても、カフェインは、コーヒーを1日4~5杯程度まで、アルコールの場合は、ビール500ml程度までにとどめましょう。

動悸を防ぐためにも、コーヒーをやめてハーブティーにする、週2日以上休肝日をつくるなど、カフェインやアルコールを過剰にとらない工夫を。

禁煙する

たばこに含まれるニコチンは、自律神経を刺激して動悸を引き起こすします。それだけでなく、さまざまな病気の原因になるため、禁煙をおすすめします。

どうしてもやめられない人は、禁煙外来の受診を。禁煙補助薬を用いることで、自力で禁煙するよりも、無理なく禁煙成功率を高めることができます。

頻繁に起こる動悸は病気の可能性も

自律神経を整えることで改善に向かう動悸の症状ですが、次のような場合は、病気が隠れている可能性もあります。

  • 対処法を実践してもなかなか動悸が治まらない
  • 安静にしていても脈拍が100回/分を超える
  • めまいや息切れなど、ほかの症状を伴う

このような症状がみられたら、早めに病院やクリニックを受診しましょう。考えられる病気と受診科を以下にまとめました。

動悸・不安を感じる女性

心疾患(不整脈、狭心症、心筋梗塞など):めまいや息切れを伴う動悸は心臓由来の場合が多いため、早めに循環器内科を受診してください。

更年期障害:動悸のほかに、ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、その他体や心の症状がある場合は、女性ホルモン低下による更年期障害かもしれません。婦人科へ相談しましょう。

精神疾患(自律神経失調症、うつ病、適応障害、パニック障害、過換気症候群など):イライラや不安感が強い、やる気が起きないなど、精神疾患が考えられる場合は、心療内科へ。

貧血または低血糖症:貧血や低血糖でも動悸のような症状があらわれることがあります。偏食や過度のダイエットなどで食生活が乱れている可能性があるため、内科を受診しましょう。

バセドウ病:体重が減る、手指が震える、首や喉元あたりに腫れがあるといった症状は、バセドウ病が疑われます。内分泌内科や耳鼻咽喉科の受診を。

動悸対策には漢方もおすすめ

動悸に悩む方には、漢方薬もおすすめです。動悸の原因として、「ホルモンバランスの乱れ」「ストレスや疲労などによる自律神経の乱れ」「血行不良」などが考えられます。

動悸の改善には、「ホルモンのバランスを整える」「自律神経を整えて血圧や心拍を正常にする」「ストレスを軽減して精神が原因の動悸を抑える」「血流を改善して血圧や心拍を安定させる」などの働きをもつ生薬が漢方薬として使われます。

漢方は、体質そのものに働きかけて、もともと体に備わっている治癒力を高めることを得意としています。漢方で体質を変えていけば、根本から動悸の改善が目指せるでしょう。

柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

神経の高ぶりを鎮めて、動悸を改善します。不安やイライラ、不眠のある方に。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

体の水分代謝を促して、動悸や神経質などを改善します。立ちくらみやめまいを感じる方に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

気や血(けつ)の流れを整えて、動悸やめまいなどを改善します。貧血症状や冷えのある方に。

漢方を選ぶときの注意点

漢方薬の効果を十分に得るためには、その漢方薬が自分の症状や体質に合っているかが重要になります。自分に合っていなければ、効果が得られないだけでなく、副作用が起こることもあります。

漢方薬にはさまざまな種類があり、自分に合ったものを見極めることは難しいため、始める際は専門家に相談しましょう。

最近では、オンラインで自分の体質や状態に合う漢方薬を選んでくれる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスもあります。気になる方は試してみてはいかがでしょうか。

まとめ:動悸の対処法を身につけ、生活習慣を整えて予防を

動悸の原因と対処法についてご紹介しました。動悸が起こる原因は自律神経にあります。動悸が起こったときは、まずはラクな姿勢をとり安静にすること。そして大きく深呼吸することで交感神経をしずめて、気持ちを落ち着かせましょう。まずはこの対処法を覚えておくと、動悸が起こったときにパニックにならずに済みます。

また、動悸が起こらないようにするには、睡眠や食事、運動などの生活習慣を見直して自律神経を整えることが重要です。交感神経を高ぶらせるカフェインやアルコール、喫煙は控えましょう。

動悸が頻繁に起こったり、めまいや息切れなどのほかの症状を伴ったりする場合は、別の病気が疑われる可能性もあります。セルフケアももちろん大切ですが、つらいときは自分で判断せずに、早めに医療機関を受診してください。

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