更年期に起こるつらい症状「ホットフラッシュ」の改善方法って?
女性の多くが経験する更年期。「ホットフラッシュ」は更年期の代表的な症状です。体がカーッとなって汗がダラダラ止まらないといった症状がいつまで続くのか、不安ですよね。今回は、ホットフラッシュの原因や症状、改善方法について詳しく解説します。
目次
更年期の症状とは?
更年期とは、女性が閉経を迎える前後5年の期間(約10年間)をいいます。一般的には、個人差はありますが45歳から55歳を更年期と呼んでいます。
閉経によって女性ホルモンの一種であるエストロゲンが急激に減少することで、ホルモンのバランスが崩れ、心身にさまざまな不調があらわれます。
更年期に見られる心と体の主な症状は、倦怠感、めまい、耳鳴り、異常な汗、イライラ、不安感などです。なかには、ホットフラッシュのように自律神経の乱れからくる症状があります。
症状の程度は個人差が非常に大きく、つらい人では日常生活に支障が出ることもあります。この状態を「更年期障害」と呼びます。
更年期に起こるホットフラッシュとは?
ホットフラッシュは、更年期に起こる上半身ののぼせやほてり、発汗などをいいます。急にカーッと顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりします。
女性ホルモンの減少による自律神経の乱れのほか、ストレス、運動不足、寝不足などの生活環境が要因で起こると考えられています。
ホットフラッシュは更年期の代表的な症状の一つで、多くの女性が経験するといわれています。一方、症状の程度は人それぞれです。
ホットフラッシュの症状
ホットフラッシュの代表的な症状には、次のようなものがあります。
- 突然体がカーッと熱くなる
- 急に顔がほてって赤くなる
- 暑くないのに汗がダラダラ出て止まらない
45~55歳くらいでこのような症状がある人は、更年期に当てはまるかもしれません。
一度起こると2~4分間ほど熱感が続き、大量の汗をかいたり、脈拍が増加したりします。ほてりや発汗は、顔から頭や胸へと広がるため、顔だけでなく頭からも汗をかくことがあります。
困ったことに、ホットフラッシュはところかまわず突然起こります。通勤電車の中や買い物をしているとき、急に顔や頭から汗が吹き出てはずかしく感じるなど、多くの女性が悩む症状の一つです。
ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュの原因は、閉経により女性ホルモンの一種であるエストロゲンが激減して自律神経が乱れることです。そのため、自律神経が調節している血管の収縮や拡張がうまくいかなくなり、体温や発汗をコントロールできなくなります。
これにより、暑くなくても「暑い」と脳が勘違いをしてしまうため、ほてりや発汗といった症状が起こります。
ホットフラッシュはいつまで続く?
ホットフラッシュは一般的に、更年期といわれている約10年間の中では初期症状としてあらわれます。ホットフラッシュに限らず、更年期の体に起こる症状は、女性ホルモンの低下に体が慣れるまでの期間に多く見られる傾向があります。50代後半までには落ち着く人が多いようです。
ホットフラッシュの症状がいつまで続くかは、個人差が大きくはっきりと断言できません。ホットフラッシュの症状が始まる年齢や、症状の程度も人によって大きく違います。
症状が1~2年で落ち着く人もいれば、7~8年続く人もいます。ただし、ホットフラッシュの症状は、加齢とともに徐々に軽くなっていくケースが多いようです。
あまりに長引いたり、症状が重かったりする場合は、他の病気の可能性も考えられます。我慢せずに、念のため婦人科を受診してください。
自分でできるおすすめホットフラッシュの改善方法
ホットフラッシュは、対策さえ行えば症状を和らげることができます。自分でできるホットフラッシュの改善方法をご紹介します。
クールダウンする
ホットフラッシュで顔がほてったら、外から冷やすだけでもかなりラクになります。
ホットフラッシュ対策におすすめのアイテムは、携帯扇風機です。首掛けファンや手持ち扇風機で顔に風を当てることで、急に起こるほてりや発汗を和らげてくれます。
上半身が暑くなってしまったときは、首周りを冷やすのも効果的です。首の太い血管を冷やせば、体温を下げることができます。持ち運びに便利なクールタオルや保冷剤などを活用するとよいでしょう。
また、服の中で熱がこもると汗が引かなくなります。暑さを感じたら体温調節できるよう、メッシュ素材など通気性の良い服や、着脱しやすい服装がおすすめです。
体温を下げるアイテムを携帯しておけば、急に汗が出たときにも対処できます。
呼吸を整える
ホットフラッシュが起きたら、焦らずゆっくりと深呼吸しましょう。呼吸を整えることでリラックスできるほか、自律神経を整えることもできます。ホットフラッシュは自律神経の乱れから起こる症状なので、呼吸を整えるとほてりもおさまることがあります。
このとき、深く腹式呼吸をするのがポイントです。腹式呼吸を行うときは、吸うよりも息をしっかり“吐く”ことが大切です。口からゆっくりと息を吐き切ったところで、鼻から息を吸い込みましょう。
呼吸を整えることで副交感神経が優位になると、ホットフラッシュが楽になることがあります。試してみてくださいね。
ストレスをできるだけ減らす
自律神経のバランスは、心の状態に大きく左右されます。ストレスを減らせるよう、生活や習慣を見直すことが大切です。
更年期にさしかかる年代は、仕事や家族、親の問題など、人生でさまざまな転機が訪れる時期。ホルモンバランスの変化に加え、ストレスなどによる心の問題から、自律神経のコントロールがうまくいかなくなることも珍しくありません。
あまり悩みを深刻に考えすぎないようにしましょう。おおらかな気持ちを持ち、ストレスをためない生活をすることが大切です。趣味などの時間を作って心に余裕を持つこともおすすめです。
冷えを防ぐ
ホットフラッシュでは、顔や上半身はカーっと熱くなるけれど、手足は冷えているといった悩みが多くあります。これもホットフラッシュの特徴の一つです。
暑いからといって全身を冷やすのはよくありません。体の冷えは血流が悪くなり、肩こりや腰痛、むくみなど体の不調の原因になります。
特に、手足は冷やさないようにしましょう。日頃から軽い運動をして血流を良くするなど、冷えを予防する生活を心がけてください。
薬によるホットフラッシュの改善方法
ホットフラッシュの改善方法として、ホルモン療法や漢方薬による治療があります。症状がつらいときは迷わず婦人科へ行きましょう。
「ほてりがひどく夜に目が覚めて眠れない」「大汗が頻繁に出てつらい」など、生活に支障が出てきたら受診することをおすすめします。次からは、薬を使った治療法をご紹介します。
ホルモン療法
ホルモン療法は、減少したエストロゲンを補充する療法です。ホットフラッシュを含む更年期症状の改善が期待されます。
ホルモン療法で使う薬には、貼り薬、ジェル状の塗り薬、飲み薬の3種類があります。
貼り薬と塗り薬は、皮膚から吸収されて血管に入るため、飲み薬よりも内臓に負担がかからず副作用が少ないというメリットがあります。飲み薬は簡単に摂取しやすく、皮膚の痛みやかぶれなどの心配がないのがメリットです。
こうした薬でホルモンを補うと、自律神経のバランスが整い血管の収縮や拡張の働きが改善します。特にホットフラッシュの症状である、のぼせやほてり、発汗に高い効果を発揮します。ただし、副作用として性器からの不正出血や乳房の張り、胃のむかつきなどがあらわれることがあります。
ホルモン療法は、副作用が出ることもありますが、ホットフラッシュの症状を抑える効果が高い治療法です。
漢方薬
東洋医学では、自律神経と関係のある「肝」が乱れたり、加齢や女性ホルモンの減少によって「腎」の働きが低下したりすることでホットフラッシュが起こりやすくなると考えられています。
更年期に使用される漢方として、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などがあります。ホットフラッシュによく使われる漢方は「加味逍遥散」や「桂枝茯苓丸」です。
漢方は、症状や体質によって選び方が変わります。薬局でも買えますが、症状にあったものを病院で処方してもらうことで、より高い効果が期待できます。
副作用が少ないと思われがちな漢方ですが、人によっては思わぬ副作用が出ることもあります。気になる症状が出たら、医師や薬剤師に相談しましょう。
まとめ:更年期によるホットフラッシュの改善方法
更年期障害のホットフラッシュは、誰にでも起こるものです。必ず終わりがくるので、あまり悩まずにストレスをためない生活を心がけましょう。
症状は人によって違いますが、つらくなったら婦人科のクリニックで相談することをおすすめします。さまざまな改善方法があるので、自分に合った治療法で無理なく更年期を乗り切りましょう。
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