1. Top
  2. >暮らす
  3. >家事・生活のコツ
  4. >女性の自立をも助けるシアバター|岡崎優子さん アフリカ的健康生活のすすめ 最終回

女性の自立をも助けるシアバター|岡崎優子さん アフリカ的健康生活のすすめ 最終回

西荻窪でアフリカ雑貨店を営む岡崎優子さん。仕事や遊びで訪れて見聞きした現地の健康法を連載でお届けします。最終回となる今回は、近年、保湿クリームとして世界でも人気のシアバターについてご紹介。

この記事をシェアする

女性だけしか触れられないシアの木!?

保湿効果抜群の天然の油脂として、近年、日本でも注目の「シアバター」。常温では固形、肌に塗ると体温で溶けていく、まさにバターのようなクリームです。学名ではシアバターノキと呼ばれるアカテツ科の「シアの木」。その種子の中の「仁(じん)※」から採られた油脂がシアバターとなります。

※胚と、胚の栄養分である胚乳からなる部分

未精製シアバター
化学薬品を一切使わない、アフリカ産の無精製シアバターは、肌の潤いに一層よいとされています。

シアの木はアフリカ大陸の北緯5~10度、サバンナでも雨期のある湿潤地帯――西はセネガル、ギニア、マリ、コートジボアール、ガーナ、ブルキナファソ、ナイジェリアから、東はウガンダ、エチオピアまで、16カ国に自生しています。この一帯は「シアベルト」と呼ばれ、シアの木は貴重な油脂源。アフリカの新たなシアバター産業を支える地域として、世界から熱い視線が送られています。

樹高7メートルから、大きいもので25メートル。太さは1メートルくらいでしょうか。見た目も美しく、アカシアの木、バオバブの木と並ぶサバンナのシンボルの一つで、木陰には家畜をはじめとした動物たちが集まる憩いの場にもなっています。

樹齢は200~300年と長く、花が咲くまで15~20年、実をつけるまではさらに20年(!)かかるそう。古くから「聖なる木」「神秘の木」として崇められ、現地では女性しかシアの木に触れることができません。当然、実の収穫、圧搾、製造、販売を行うことができるのも女性だけ。収穫期の4~8月には、女性たちが落ちた実を拾い集め、大きな籠やタライに入れて頭に乗せ運ぶ姿をよく目にしました。
 
そんなことから近年、シアバター産業によって女性の地位や生活水準を向上させようと、ブルキナファソやガーナなどのシアベルト各国では、地元団体や国際機関、民間企業による支援プロジェクトが活発に行われています。

幅広い用途に使える万能薬

そもそもシアバターは民間療法の一つとして、傷や火傷、筋肉痛やリウマチの治療薬として使用されてきました。そのほか、かゆみ止め、白髪や脱毛予防など、幅広い用途で使用されることも。また、この地域は紫外線が強いこともあり、日焼けや乾燥から肌を守るために、天然保湿クリームとしても愛用されています。

さらには生まれたばかりの赤ちゃんの全身に塗ったり、割礼の儀式の止血と消毒に使われたりと、アフリカの伝統的生活の上では欠かせない必需品。もちろん食用油としても、燃料としても使われてきました。

世界的に知られるコスメティック・ブランドのロクシタンでもシアバターは販売されていますが、1989年の発売以来、ロングセラーを続ける商品の一つ。創業者のオリビエ・ボーサン氏は世界中を旅していた若かりし頃、アフリカに滞在した際、シアの木の存在を知ったと言います。そして、すぐさまその足でブルキナファソの村へ。そこでシアバターを収穫する女性たちの肌と髪の美しさに驚き、「シアバターを世界に届けたい。そして女性の自立を助けたい」という夢を抱いたのだそうです。

肌の美しいアフリカ人女性
シアバターのおかげか、赤ちゃんから大人まで輝くような美しい肌。

前回ご紹介したココナッツ、バオバブ、さらにはモロッコ南西部に生育するアルガンの木、南アフリカのマルラの木なども然り。アフリカではその土地に根を張る木々、その実から採取したオイルで厳しい環境から身を守ってきました。それが世界中で注目を集め、究極の美容コスメとして開発されて流通するように。アフリカの大地の恵みと古くから伝わる智慧が、私たちの生活の中にも少しずつ入り込み、浸透していく過程は、アフリカに魅せられた一人として、嬉しくもあります。

アフリカの民間療法の現場へ

シアバターの話とは少し離れますが、アフリカを旅し始めた90年代初頭、古くから現地に伝わる民間療法に興味を抱き、ウイッチドクターと呼ばれる医師を取材したことがあります。ウイッチドクターは呪術系と、薬草に精通する(あえて言うなら)実践系の2つに分かれ、それぞれ処方も違います。

呪術系は祈祷が行われるなど、民間信仰と深いつながりがあるのは周知のとおり。ただ、これが眉唾ものでもなく、現地の新聞では奇跡的に生還した人の話や、呪われて顔が異常に腫れてしまった人の話が写真付き報道されているのです。その如術から身を護るため、魔除け文化が発達、魔除けグッズがアフリカにはたくさんあります。

ダウの目
ケニアのスワヒリ族の魔除け。目のように2つ、船にも付けられることから、「ダウ(船)の目」と呼ばれています。
トンボ玉
西アフリカのトンボ玉。首や胸、額や手首を飾って、悪魔除けをします。
泥棒除けキーホルダー
マサイ族の人形キーホルダーは、「泥棒除け」と言われています。これを付けているとスリに遭わないのだとか……。

一方、薬草系のウイッチドクターは薬草や木々、それこそシアバターなどのオイルで治療を施します。木や草を燃やして、煙で体を燻すような治療もありました。しかも治療費は当時20円と格安。もちろん、現地の人にとっては妥当な価格で、現代医療よりもまずは民間療法での治療が先行するのも頷けます。

現地で「惚れ薬」なるものも売っていましたが、これは如術系なのか、薬草実践系なのか。「すごく効くのよ」と知人が教えてくれましたが、それを処方する現場を突き止められなかったのが悔やまれます。またいつか、続きを取材できればと思います。

6回にわたっての連載でしたが、アフリカが教えてくれる「からだにいいこと」をお伝えする機会をいただき、ありがとうございました。アフリカに興味を持っていただければ幸いです。

こちらの記事も読まれています

この記事をシェアする

Recommend Article Recommend Article オススメ記事

オススメ記事をもっと見る