喉の違和感や詰まる感じはストレスが原因。今すぐできる6つの対処法|田中友也さん 季節の養生法
神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は「喉の違和感」がテーマ。喉が詰まる感じがするときにすぐできる対処法や、症状を和らげるツボをお聞きしました。
目次
喉の違和感や詰まる感じ。原因はストレスによる“気”の滞り
女性が感じるさまざまなプチ不調の中で、悩んでいる人が多いのが、喉の違和感です。風邪をひいたわけでもないのに、次のような喉の症状を感じることはありませんか。
- 喉が詰まった感じがする
- 喉に何かが引っかかった感じがする
- 飲み込みづらい
- 呼吸がしづらい
- 咳をしても違和感が取れない
- 喉がイガイガ、ヒリヒリする
東洋医学ではこのような症状を、梅干しの種が喉に詰まる感じをあらわして「梅核気(ばいかくき)」と呼びます。原因はストレスによる気(エネルギー)の滞り。気の巡りが悪くなることを気滞(きたい)と言い、仕事でプレッシャーがかかる時期・時間帯や、忙しい日々が続きストレスが溜まったときに、喉の違和感や詰まりがあらわれることがあります。
更年期世代も喉の違和感や詰まる感じがあらわれやすい
東洋医学では、「気(エネルギー)・血(血液)・水(うるおい)」の3つのバランスが取れていることが健康とされます。更年期にさしかかるとこれらのバランスが乱れて、体調が不安定になり、気が滞る「気滞」が起こりやすくなります。そのため喉の違和感や詰まった感じは、更年期世代の女性にも多くあらわれます。
喉の違和感や詰まる感じを和らげる6つの対処法
喉の違和感や詰まる感じの原因は、ストレスです。気の滞りをスムーズにする食養生やセルフケアを取り入れて、心と体をリラックスさせることが大切。今日からできる6つの対処法をご紹介します。
(1)気を巡らせる香りのいい食べ物を摂る
柑橘系フルーツや香草といった香りのいい食べ物は、気の流れをスムーズにする働きがあります。デザートや料理のトッピングで食事に取り入れてみましょう。
香りのいい食べ物…レモン、オレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系フルーツ、パクチー、パセリ、クレソン、セロリ、ミント、しそ、みょうが、ハーブティーなど
(2)自分が好きな香りを嗅ぐ
いい香りがすると自然と呼吸が深くなりますよね。気滞を改善するには、自分が心地いいと感じる香りを嗅ぐことも効果的です。ハーブティーを飲むときは、「こっちの香りのほうが好き」と感じるほうを選んでみてください。
(3)体の横を伸ばす
人間の体には、エネルギーの通り道である「経絡(けいらく)」があるとされています。12本ある経絡のうち、体の横側を通る経絡には、気の巡りをスムーズにするに働きがあります。喉の違和感や詰まった感じが気になったら、体側を伸ばす運動をやってみましょう。
(4)深呼吸で滞りを追い出す
喉の詰まりを感じているときは、ストレスが溜まっている証拠。呼吸が浅くなって酸素が体に巡らなくなり、ますます気が滞りやすくなります。喉の違和感があらわれたら、大きく深呼吸をしてみてください。ふ~っと口から滞りを追い出すイメージで息を吐くのがポイントです。
(5)手でわき腹をさする
わき腹は、気の巡りに関係している「肝(かん)」の経絡の終わりになる場所で、喉の違和感や詰まりがあるときはここが硬くなっています。わき腹に手を当てて、両手で上下にさすりほぐすことで、気の巡りが改善。喉の違和感対策におすすめの方法です。
(6)ブラッシングで頭をゆるめる
髪をブラッシングすることも気の滞り改善に効果的。気は全身にバランス良く巡ることが理想的ですが、ストレスが溜まると上にあがり頭部で停滞。ブラッシングで頭部をゆるめ、気を下ろして巡らせることで、喉の詰まり感を和らげます。
喉の違和感や詰まる感じに効果的なツボ
喉の違和感や詰まった感じがあると、一日中それが気になって仕方ないですよね。そんなときに試して欲しいのがツボ押しです。ストレスを感じているときや、症状があらわれないように予防するためにもおすすめです。
太衝(たいしょう)
太衝(たいしょう):足の甲の親指と人差し指の骨の間を、上に向けて指を滑らせて、指が骨と当たり、止まるところのへこんだ場所。
押し方:親指の腹を当てて、ズーンと響く強さで押します。
行間(こうかん)
行間(こうかん):足の親指と人差し指の間の付け根のくぼみ部分。
押し方:足の親指と人差し指を指でつまんで広げて刺激します。
合谷(ごうごく)
合谷(ごうごく):親指と人差し指の骨の付け根が合わさった、V字になったくぼみ。
押し方:反対の手の親指で人差し指側に押し込み、ズーンと響く強さで押します。
今月の養生ポイント:気の巡りをスムーズにする“気まま散歩”を習慣に
女性に多い喉の違和感や詰まった感じは、ストレスによる気の滞りが原因です。気の巡りを常にスムーズにしておくことで、症状があらわれにくくなり、プチ不調のない快適な体を目指せます。
そのための習慣としておすすめしたいのが散歩です。東洋医学で、「気ままに散歩する」という意味の「逍遥(しょうよう)」という言葉があります。「何時までここに行かなくちゃ」「待ち合わせに間に合うように家を出ないと」など、ふだんは目的や時間にしばられて行動していますよね。
たまにはそれをやめて、目的を持たずにゆるりと外を歩いてみませんか。空を眺めたり、草花を見たりして、目的地を決めずに気ままに散歩をする。すると歩いているうちに呼吸が深くなり、ストレスがスーッと消えていくはずです。気持ちのいい陽気を感じながら、誰にも気を遣うことのない散歩時間を過ごしてみてくださいね。
イラスト/植松しんこ
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