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疲れた女性

先延ばし癖が直らないのはなぜ?原因と5つの対処法を公認心理師が解説

なかなか直らない先延ばし癖に困っていませんか? 程度がひどいと、病気やADHDとの関連を気にする人もいます。自分の意志だけで直すのが難しい先延ばし癖の原因と、具体的な対処法を専門家に聞きました。

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先延ばし癖に見られる2つのパターン

「目の前のやるべきことから目をそらしてしまう」「早くやったほうが楽なのに、つい後回しにしがち」。そんな先延ばし癖に悩んでいませんか?

面倒なことを後回しにしてしまうのは、誰にでもあることです。でも、あとで痛い目をみて、「もっと早くやっておけばよかった!」と後悔することも。先延ばし癖によく見られる2つのパターンを解説します。

すぐにやるのが億劫

手帳を見る女性

手間がかかって面倒なことほど先延ばしにしやすいのは、人間の性質の一つです。「やったことがないから」「時間がないから」など言い訳をして、つい楽な方を優先してしまうことも。

例えば、次のような経験に心当たりはありませんか?

  • なんとなく面倒だと思って手続きを後回しにしていたけれど、やってみると簡単に終わらせることができた
  • 新しい仕事の手順を確認するのが面倒なので後回しにして、取り掛かるのが遅くなってしまった

いつもの習慣から外れたものや過去に経験がないことは、見通しが立てづらいため、おっくうに感じやすくなります。しかし、実際には早めに取り掛かった方が楽という場合も少なくありません。「分かっているけど、できないんだよな……」という人もいるのではないでしょうか。

他に魅力的な選択肢がある

やるべきことがあり「やらなければいけない」と分かっていても、他に魅力的な選択肢がある場合、目の前にあるほかの楽しみを優先して、やるべきことの優先順位を下げてしまいがちです。

下記のような状況で、つい先延ばし癖が出る人も多いのではないでしょうか。

  • 締め切りが迫っている仕事があるのに、自分が気になっている別の作業を優先してしまい、締め切り間際でいつも慌てる
  • 資格取得の勉強を始めるべきなのに、ついゲームに手が伸びてしまう
  • 仕事後にジョギングを習慣化しようと決めたのに、誘われた他の予定を優先し「明日から始めよう」と延期してしまう

目先に楽しいことがあれば、そちらを優先してしまうのは自然なことです。しかし、仕事や目標達成のためなどコントロールが必要な場面で先延ばしを続けると、長期的な成果を得ることが難しくなります。

先延ばし癖のデメリット

先延ばしをすると、短期的には“メリット”を得られることが多くなります。

例えば、ダイエットをしようとしているのに先延ばしにして大好きな甘いものを食べると、一時的な喜びは簡単に手に入ります。この「一時的な喜び」が、短期的に得られるメリットです。

しかし、目の前の喜びや楽しさを優先し、やるべきことや決めごとを先延ばしにすることで、長期的にみるといくつかのデメリットが生じます。

ダイエットを始められず先延ばしにした場合は、「なかなかヤセられない」「健康を維持できない」などが大きなデメリットとなります。

ほかにも、資格試験が迫っているときに勉強を先延ばしにして、ドラマを観るとしましょう。一時の楽しさを味わうことができ、短期的には「気分転換できた」というメリットを得られます。

しかし、先延ばしを重ねた結果、試験直前に勉強時間が足りなくなり「一夜漬けをするほど追い込まれた」「試験に落ちた」など、デメリットが生じるかもしれません。

期限ギリギリでつらい思いをする

仕事に追われる女性

仕事など期限があるものを先延ばしにすると、期限が迫ったときに痛い目にあう場合があります。仕事や大事な手続きを後回しにして、あとで苦い経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?

  • 残業や休日出勤が増える
  • 「もっと早くやっておけば……」と自分を責める
  • 同僚や上司に迷惑をかけてしまう
  • 他の予定を犠牲にするはめになる

先延ばしをしても期限が延びるわけではないので、一刻一刻迫る時間に焦りやストレスを抱えます。先延ばしにしていた過去の自分を責める気持ちも入り混じり、つらい思いをすることになってしまいます。

積み上げの成果がなかなか得られない

先延ばしにしがちな物事の多くは本来、成果や目的達成のためにコツコツとした積み上げが必要です。

例えば

  • 仕事
  • 勉強
  • ダイエット
  • 運動 など

先延ばし癖があると、効率よく仕事をするのは難しく、ダラダラと時間を費やしてしまうこともあるでしょう。後回しにしても仕事が減ることはないので、延ばせば延ばすほどデメリットが増えていきます。

また、ダイエットや運動は、継続してこそ成果が得られるもの。1日だけがんばっても筋肉が増えたり、脂肪が減ったりしないように、習慣化しなければ目に見えた変化は感じられません。思い立ったら先延ばしにせず、早めに行動することが大切です。

先延ばしによる罪悪感は厳しすぎる「マイルール」のせい?

落ち込む女性

先延ばしにはデメリットがありますが、「ギリギリでも毎回うまくやれている」など現状の生活や仕事に問題がないのであれば、今の状態があなたにとって適切なペース配分なのかもしれません。

「すぐにやらなければ!」「なんでもテキパキ行うべき!」と気負いすぎる人は、厳しすぎるマイルールに囚われている可能性も。この状態を「過剰適応」といいます。すぐやることを徹底しすぎても疲れてしまうので、自分に合わせたバランスが大切です。

とはいえ、もしも先延ばしにした未来でしわ寄せに苦しむことが不安だったり、実際に先延ばし癖のせいで困った経験があったりするならば、先延ばし癖を直す行動をとってみましょう。

先延ばし癖につながりやすい行動

めんどうなこと・おっくうなことは、つい先延ばしにしたくなるもの。ここでは、先延ばし癖が出てしまいやすい行動について解説します。

期日を決めず、意志に頼る

締め切りや期限がないと、「やらなければ」というプレッシャーが薄くつい先延ばしにしやすくなります。

  • 締め切りがない仕事やタスク
  • いつまでにと決まっていない目標
  • 日程が決まっていない約束
  • 時間があるときにやるよう頼まれたこと

やるべきことや叶えたいことがあっても、意志の力でどうにかできると思うのは失敗のもとです。短期的なメリットにひかれるのは人間の自然な心理なので、自分の意志だけでは解決できないことも。

つい後回しにすることを繰り返していると、自分の中で先延ばしするのが当たり前になり、癖が直りにくくなります。

面倒なことから距離をとる

だらだら過ごす女性

時間や手間がかかることから距離をとる癖がある人は、先延ばし癖が出やすいので要注意です。

  • 面倒だからあとでやろう
  • 今は気分じゃないから、暇なときにやろう

このような考え方のパターンが癖になり、いつの間にか後回しにする行動自体も習慣になっていませんか?

すぐにやるのが面倒だと思うことは、いつかやらなければいけないのであれば、後回しにしたところで手間は変わりません。むしろ先延ばししたことにより、面倒やストレスが増えている可能性も。だったら早めに片付けておいたほうが、気が楽になるはずです。

先延ばし癖は「ADHD」と関係がある?

「自分の先延ばし癖は人よりひどい気がする……」。このように先延ばし癖を自覚して直したいと思っている人の中には、病気やADHDとの関連を気にする人もいます。

ADHDとは不注意や多動などが特徴の発達障害で、近年は大人になってから診断を受ける人も増えています。

ADHDの症状がいくつもある中で、結果として先延ばし癖として現れている可能性はゼロではありません。しかし、先延ばしをよくしてしまうというだけでADHDと判断するのは、かなり難しいことです。

普段の自分の生活を振り返ってみて、先延ばしにより生活に支障が出るなど、自分での対処が難しい方は、医療機関で相談してみることをおすすめします。

先延ばし癖を直すと積み上げの成果が得やすくなる

先延ばし癖を改善することで、コツコツと積み上げができるようになるため、次のメリットがあります。

やるべきことを計画通り進められる

やるべきことに早めに取り掛かることができれば、計画通りスムーズにものごとを進められるようになります。

早めにものごとを進めれば万が一のアクシデントに備えられたり、やることリストがすっきりして気持ちが軽くなったりと、メンタルにも余裕が生まれます。

積み重ねの成果が出やすくなる

体重計にのりガッツポーズする女性

多くの人が特に面倒に感じて後回しにしがちな、運動や勉強。どちらも長期の努力が必要なものです。先延ばし癖を改善して早く始めることができれば、結果が出るのも早くなります。

勉強であれば、試験で結果が出たりスキルアップできたりするはず。また、運動であれば理想の体型や健康を手に入れることができます。自分を律する必要がありますが、どちらもお金では買えない、大きな価値があるものです。

先延ばし癖を直すための5つの方法

先延ばし癖を直すには、できるだけモチベーションに依存しない仕組みを作ることが成功のカギ。目の前に魅力的な選択肢があるとやるべきことを後回しにしてしまう可能性が高いので、自分のやる気や意志を過信せず、やらなければいけない状況を自ら作り出しましょう。

次から具体的な方法を解説します。人によって合う方法が違うため、色々試して自分がやりやすいものを見つけてくださいね。

1.友人や家族と約束する

友人や家族とやるべきことを約束し、短期的なメリットやデメリットを調整する方法です。結果的に、先延ばしにすることで得られるメリットが減るので、「やったほうがいい」と判断しやすくなります。

例えば「今日からウォーキングをする」と家族に宣言し、守れなかったら好きな番組が視聴できないなどの決め事をしてみては。ウォーキングをしなければ別のことをする時間は得られるものの、見たかった番組を視聴することができず、結果としてメリットは小さくなってしまいます。すると、「だったらウォーキングをして、好きな番組も見られるようにしよう」などと思考を切り替えやすくなるはずです。

2.SNSで宣言する

笑顔でスマホを持つ女性

TwitterやInstagramなどのSNSで宣言し、やらざるを得ない状況を自分で作るのも、先延ばし癖を直すために効果的です。

例えば、ダイエットで食事管理に取り組みたいのについ後回しにしてしまうという場合、レコーディングダイエットとして1カ月間SNSに食事をアップすると宣言してみましょう。

SNSのフォロワーと自分との間には、一種の信頼関係があります。宣言したら、この信頼を損なわないよう、食事管理を行っている証拠をSNSに投稿して見せなければなりません。

SNSは自分が発信することで、いいねやコメントをもらうことができます。それが楽しみになれば、先延ばしにせず続けやすくなります。

3.仕事は期限や予定を先に入れる

仕事での先延ばし癖は、期日を設けることで「早くやるべき」と自分に気づかせることができます。

例えば、次のように期限を設けることで逆算して自分のやるべきことを洗い出してみましょう。特に締切が決まっていないタスクでも、自分の中で定めた期日を宣言しておくことが大切です。

  • ミーティングの日程を先に決める
  • メールでスケジュールを宣言して先方に送る
  • 上司やチームと内部の締切を共有する

仕事を前倒しで行えば、フィードバックを受ける余裕もでき、よりよい成果が得られたり、評価が上がったりすることもあるかもしれません。

先延ばし癖を直すには、自分の中での期日を少し早めに設定したり、タスクやスケジュールをある程度こまめに刻んだりといった方法が有効なこともあります。ただし、徹底的に刻みすぎるとかえってつらくなることも。自分に合ったペース配分を見つけましょう。

4.行動のパターンを決める

先延ばしにしがちな行動は、毎日の行動や楽しみな時間の前に取り入れると習慣化させやすく取り組むことができます。

次のように、他の行動とセットでパターン化してみましょう。

  • 帰宅前に1時間カフェで資格の勉強をする
  • 録画したドラマを観る前に30分読書をする
  • 歯を磨く前に50回スクワットをする

先延ばしにしがちなことも、ルーティーンとして定着させていくことで、次第に面倒くささを感じづらくなりますよ。

カフェで勉強する女性

5.行動のハードルを下げる

面倒だと思って後回しにしていることも、一歩踏み出すと意外とスムーズに進む場合があります。はじめの一歩のハードルを徹底的に下げることで、先延ばしを防いでみましょう。

例えば勉強を習慣化したいのであれば行動のハードルを下げ、机に座ることだけ徹底します。疲れて勉強をする気が起きなかったとしても、机に座るだけなら続けることができます。

直前までイヤだと思っていても、机に座ってみると、「せっかくだから1ページ進めてみよう」と気持ちが乗ることもあるはずです。

まとめ:先延ばし癖を直すカギは意志に頼らない仕組みづくり

誰しも目の前の楽しみを選んで、面倒なことややるべきことを先延ばしにしてしまうことがあります。しかし先延ばし癖を続けてばかりでは、目標を達成したり、期待以上の成果を得たりすることはできません。

先延ばし癖を直したいと思ったら、自分の意志やモチベーションに依存しない仕組みをつくることがポイント。やらざるを得ない状況を作って早めに進めれば、案外スムーズに進みストレスが減ることもあります。

先延ばしを防ぐために、なんでもすぐにやる、こまめに期限を切る仕組みを作るのもよいですが、徹底的にやりすぎるとしんどくなって続かない可能性も。自分の状況と性格にあった適度なバランスを見つけて先延ばし癖を改善してみましょう。

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