「デリケートゾーンケア」で女性も社会も健康に!|SDGsにいいこと
かゆみやニオイ、乾燥など、デリケートゾーンの不調は、体の不調のサインかも。今回は頑張る女性の体と心、そして社会にやさしいデリケートゾーンケアブランドのお話です。
目次
国産素材のフェムケアブランド「明日 わたしは柿の木にのぼる」
忙しく働き、帰って食事、片付け、ああ洗濯もしないとなんて思っているうちにもう夜更け……慌ただしい毎日を送っていると、疲れて調子が悪いのは当たりまえという感覚に陥ってしまいませんか。そのまま頑張りすぎると、ある日突然、心身に限界がきてしまう可能性も。
「体のSOSを発見するために、毎日のデリケートゾーンケアが大切」と語るのは、フェムケアブランド『明日 わたしは柿の木にのぼる』の創設者、小林味愛さんです。
「1日10秒でもケアの時間を取ることで、自分の体調を客観的に見つめ、疲れやホルモンバランスの変化などをとらえる機会になります」と小林さんは語ります。
小林さんは、いわゆる「バリキャリ」として20代を過ごしました。
新卒で国家公務員、その後は民間のコンサルティング会社社員として、昼も夜もなく働く日々。そのなかで、生理不順やカンジダ膣炎といった不調に悩まされ続けたといいます。
しかし、「もう限界」と思って会社を辞めると、体調はたちまち改善してしまいました。
「そのときに、心身の状態とデリケートゾーンの健康ってすごく密接に関わっているんだと実感しました」(小林さん)
そんな小林さんが立ち上げた『明日 わたしは柿の木にのぼる』は、女性の体をいたわるデリケートゾーンケア製品のブランドです。生理中の不快感や、ムレによるかゆみ、ニオイなど、デリケートゾーンの悩みを抱える女性は年代問わず多いもの。更年期が近づくと、女性ホルモンの減少で乾燥しやすくなり、人によっては痛みを感じることもあります。
顔やボディと同じように、清潔に洗って、保湿をすること。ケアをとおして女性が健康になるために、製品はすべて国産の天然素材にこだわってつくられています。
柿の皮は宝だった。捨てられる皮を活かして地域の農業を支える
『明日 わたしは柿の木にのぼる』の製品開発は 、資源の廃棄を減らし、農家さんの収入増、地域農業の発展に繋がるサステナブルな仕組みにもなっています。原料となるのは、福島県北部、阿武隈川の恵みを受ける国見町で栽培された柿の皮です。
小林さんが福島と深く関わり始めたのは、わき目もふらず働いていた国家公務員時代でした。次第に、省庁よりももっと現場の近くで働きたいと感じて民間のコンサルティング会社に転職。全国で地域活性化の事業に携わり、福島にも度々訪れるようになりました。
「東日大震災からの復興業務やボランティアにも取り組むうち、福島という土地や人々の魅力に惹かれ、純粋に好きだと思うようになったんです」
その後、小林さんはコンサルを退職。地域商社「株式会社陽と人(ひとびと)」を設立し、地元農産品の流通や、それを活かした製品開発を始めます。
事業を進めるなかで、フェムケアブランドを立ち上げたのは自然な流れだったといいます。
「コンサル時代から、個人的に興味があってデリケートゾーンケア製品などをたくさん試していました。国内のものはほとんど使ったんじゃないかと思うくらい」と小林さん。しかし、天然素材でシンプルな、理想の製品とはなかなか出会えなかったそう。
小林さん自身は、幼い頃からアトピー性皮膚炎に悩まされ、刺激の強い成分の入ったコスメなどを使うことができませんでした。そこで、肌に優しいケアアイテムを探していたのです。
「大量生産なら、防腐剤を効かせて安全につくって売るのが一般的。シンプルな処方にするほど、生産・流通が難しくなります。でも私なら、素材のよさを活かしたモデルでやれると思ったんです」
目に留まったのは、古くから地元で石鹸や歯磨きなどとして用いられてきた柿の成分でした。
日々、愛情をこめて柿を育てる農家の方々。農業は国見町になくてはならない産業ですが、従事者の人口は減り続け、後継者不足は地域の深刻な問題です。
小林さんは、柿を無駄なく活用することで、柿農家さんの発展につなげられないかと考えました。
そこで、名産の「あんぽ柿」を作る際に捨てられる皮に注目。専門機関と研究を重ね、柿の皮を活かした製品が生まれたのです。
長いブランド名に込められたメッセージ
『明日 わたしは柿の木にのぼる』という、印象的なブランド名には、女性や社会へのメッセージが込められています。
「女性の社会進出が進んでいるのは素晴らしいことですが、まだまだ『女は家の仕事を』という観念や仕組みが変わっていない面もあります。そのなかで、仕事、子育て、家事とひとりで何役もの役割をこなす女性がとても多い」と小林さん。
ブランド名の『明日』は、そんな女性たちへの「明日でも大丈夫だよ」というメッセージ。そのあとの半角スペースは、心のゆとり、息継ぎする時間のイメージです。
「私自身がバリバリ働かなければともがいていたときに、『明日でも大丈夫だよ』と誰かに言ってほしかったという思いがあって。だから、このブランド名をとおして、もがいている女性たちに声をかけている気持ちです」
また、『わたしはのぼる』と言い切ることで、女性が自由に人生を歩んでいくという意志を表現しています。
思いを込めたブランド名ですが、設立当初は「長すぎておかしい」「文字数が多くて雑誌に載りにくい」など批判の声が多かったそう。それでもこの名前にしたのは、女性たち、そして女性のパートナーや家族、会社の上司などさまざまな人の目に少しでも留まりやすくしたいという思いからだったといいます。
デリケートゾーンケアは女性の特権! 自分をいたわる時間を大切に
ブランドの利用者からは、「ケアを変えただけですごく快適!」という声も。
「日本は欧米と比べて性教育が徹底されておらず、デリケートゾーンのケアも家庭ごとにまちまち。そんななかで不調をきたした方が、ケアを変えて快適になったと聞くと嬉しいです」と小林さん。
また、ブランド名の背景や、売り上げが農家さんに還元される仕組み、捨てられる資源を活かすことなど、社会的な部分に共感する声も寄せられるといいます。
「デリケートゾーンケアで自分の体調をチェックできるのは、女性の特権!」と小林さんは教えてくれました。「自分がいい状態じゃないと、周りにもやさしくできない。私も仕事で追い込まれていたときは、攻撃的でいつもイライラしていました。自分をいたわってケアすることが、結局は周囲にもプラスになるのです」
自分のケアに時間を割くなんてぜいたく、仕事も家事も完璧にこなさなくては、とつい身構えてしまいがちな私たち。しかし、社会に、環境に、周りの人にやさしくするには、まず自分にやさしくする時間をつくることが第一歩です。
女性に寄り添い、「肩の力を抜いていいんだよ」と感じさせてくれるブランドとの出会いでした。
今回紹介したのは:明日 わたしは柿の木にのぼる
明日 わたしは柿の木にのぼる
(あした わたしはかきのきにのぼる)
福島県産の柿の皮をはじめ、国産の天然素材を使ったデリケートゾーンケア製品のブランド。
URL:https://ashita-kaki.com/
価格(左から):フェミニンウォッシュ(大) 350ml ¥4,950/フェミニンミルク 30g
¥4,180/フェミニンミスト 30ml ¥4,180/フェミニンオイル 30ml ¥4,400/フェミニンウォッシュ(小) 50ml ¥3,190/フェミニンセラム 80ml ¥4,400
[ お問い合わせ先]
明日 わたしは柿の木にのぼる コンタクトフォーム
https://store.ashita-kaki.com/pages/contact
取材・文/松下梨花子