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飲み合わせに注意したい「薬とサプリ」の意外な関係

栄養に関する研究で世界をリードするDSM社の“ビタミン博士”こと乾泰地さんが、栄養が関わる不調について教えてくれる連載。第6回のテーマは「薬とサプリ」。知っておくと安心な薬とサプリの関係をご紹介します。

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薬を飲むときは栄養を多めに摂ろう

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薬は病気に対する治療として飲むもの。しかし、あまり知られていませんが、飲む薬によっては体内の栄養バランスが影響を受け、栄養が不足することもあります。

必要な量をしっかり体内にキープできているかどうかは、健康な体づくりに直結します。薬によって、一部の栄養が不足する場合は、食べ物やサプリで積極的に補うことが大切です。

もちろん、薬を飲んでいる人が新しくサプリを飲む場合、またその逆の場合でも、「何を摂ってよいのか」「何を摂ったらいけないのか」をかかりつけの医師や薬剤師に相談をしましょう。

注意したい「5つの薬と栄養」の組み合わせ

どんな薬を飲むときに、何の栄養素が影響を受けやすいのか。注意すべき「薬と栄養の組み合わせ」をご紹介します。便秘やピルなど、女性にとって身近な薬もあるので、当てはまる人はチェックを!

(1)「便秘薬」とビタミンC・B群

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「便秘薬」は、「ビタミンC」「ビタミンB群」といった「水溶性ビタミン」が失われがちになります。その理由は、便秘薬によって体外に出てしまう水分が増えるから。

食べ物を食べると、栄養のほとんどは小腸で吸収されます。一方大腸では、水分が吸収され、残りが便として排出されます。便秘が起こる理由の一つに、便が大腸内に長時間留まり、水分が必要以上に吸収されて硬くなった状態であることがあげられます。

便秘薬にはさまざまな種類がありますが、ビタミンC・B群が失われるのは、硬くなった便に水分を与えてやわらかくし、お通じを良くするタイプ。このタイプは、「酸化マグネシウム」や「水酸化マグネシウム」などを使ったマグネシウム系の薬です。便に水分を与えるため、体内の水分を腸に集めることで便をやわらかくします(※1)。

水溶性ビタミンは体内の水分中にキープされているので、これによって失われる可能性が高くなります。便秘薬を飲む際は、ビタミンCとビタミンB群をいつもより多めに摂取することを心がけましょう。

(2)「ピル」とビタミンB群・葉酸

生理による不調をやわらげる効果もある、経口避妊薬の「ピル」を飲むと、特に「ビタミンB群」「葉酸」が不足しがちに。また、ピルを飲むと「トリプトファン」というアミノ酸の代謝がやや遅くなります。その結果トリプトファンと共に体内で働くビタミンB6の吸収が、阻害されるという研究報告も出ています(※2)。

また、ピルは葉酸の吸収を妨げることや、血中でビタミンB12と結合するタンパク質が減少し、ビタミンB12が不足しがちになることも(※2)。

ビタミンB群不足は、疲労を感じやすくなる他、皮膚・爪・髪の毛の健康も左右します。「ピル」を飲む際はビタミンB群や葉酸を多く含む食べ物を摂るとよいでしょう。

(3)鎮痛剤の「アスピリン」とビタミンC

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非ステロイド系の鎮痛薬「アスピリン」は、頭痛だけでなく生理痛で飲む人も多い薬です。アスピリンを飲むと、体内の「ビタミンC」が減ってしまいます。実際に、アスピリンは小腸でのビタミンCの吸収を阻害するという報告があります(※2)。

その理由はまだ研究途中ですが、アスピリンを摂っている人は血の中のビタミンC濃度が低いということが分かっています。鎮痛剤をよく飲む人は、サプリや食べ物でビタミンCを多めに摂ることを心がけましょう。

(4)更年期障害の薬とビタミンB群・ビタミンD・カルシウム・葉酸

更年期障害の治療でホルモン治療薬を飲んでいる人は、「ビタミンB群」の不足に注意が必要です。ホルモン治療薬が栄養の代謝に及ぼす影響について、くわしくはまだ分かっていません。

また、2型糖尿病の治療に用いられる「メトホルミン」という薬によって、ビタミンB6・B12が不足することがあります(※2)。

さらに、更年期のメンタル不調で「抗うつ薬」を処方されることがありますが、抗うつ薬により「カルシウム」「葉酸」「ビタミンD」を減らすということも分かっています(※2)。

丈夫な骨を作るカルシウムやビタミンD、DNAを合成する葉酸など、どれも体には欠かせない栄養素。更年期障害の治療でホルモン治療薬を飲んでいる人は、これらの摂取をお忘れなく。

(5)胃薬とビタミンB12・亜鉛・鉄分

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胃薬などの“胃酸の分泌を抑える薬”を飲んでいるなら、「ビタミンB12」「亜鉛」「鉄分」をたくさん摂っておきましょう。胃酸を抑えることにより、食べ物の消化吸収が悪くなります。胃酸が少ないことが栄養の吸収に関わる動きを邪魔してしまうため、ある特定の栄養の吸収が悪くなるのです。

ビタミンB12は、唾液から分泌されるたんぱく質と胃の中で結合することで吸収されます。このたんぱく質は、胃酸の力が弱いと、ビタミンB12とうまく結合できません。亜鉛も同じです(※2)。

ビタミンB12が不足すると、体のだるさや疲れを感じやすくなります。胃薬を飲んでいるときは、亜鉛、鉄分とともにビタミンB12を多く含む食事を意識しましょう。

薬は必ず水かぬるま湯で!

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このように、薬は栄養の過不足に大きく関わることも。ちなみに、飲み薬の注意書には「水かぬるま湯で飲んでください」と書いてありますよね。それは、アルコールやカフェイン、オレンジジュースの酸、牛乳のたんぱく質などが、薬の効き目や作用に影響したり、副作用を及ぼす可能性があるから。一緒に摂る栄養素によって、反対に薬に悪影響を及ぼすこともあります。

病気の治療には欠かせない薬ですが、服用によっては栄養が不足してしまうことも知っておきましょう。自分が飲んでいる薬やサプリについて気になる人は、かかりつけの医師や薬剤師に相談を。

出典/
※1… Izzo, AA, Gaginella, TS and Capasso, F (1996). “The osmotic and intrinsic mechanisms of the pharmacological laxative action of oral high doses of magnesium sulphate. Importance of the release of digestive polypeptides and nitric oxide.” Magnes Res 9(2): 133-138.

※2… Mohn, ES, Kern, HJ, Saltzman, E, Mitmesser, SH and McKay, DL (2018). “Evidence of Drug–Nutrient Interactions with Chronic Use of Commonly Prescribed Medications: An Update.” Pharmaceutics 10(1): 36.

イラスト/斉藤明子

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