
「セクササイズ」って何?セックスがダイエットになる効果と実践法
「セクササイズ」という言葉をご存知ですか? これは、セックスをエクササイズとして捉え、ダイエットや美容、健康効果を目指すもの。カロリー消費以外にも、心身に嬉しい変化をもたらしてくれると注目されています。
目次
「セクササイズ」って何?

セクササイズとは、「セックス」と「エクササイズ」を組み合わせた造語。性行為を運動の1つと考え、カロリー消費や筋力アップといった身体的な効果と、それに伴う美容や健康面へのメリットを期待する方法です。
実際のところ、セックスは全身運動の1つと言える側面があります。日常生活に運動を取り入れるのが難しいと感じている人にとって、パートナーとの時間を活用できるセクササイズは、楽しく続けやすい方法かもしれません。
セックスによるカロリー消費
厚生労働省の『身体活動のメッツ(METs)表』(PDF)では、性行動における運動強度を下記のように定めています。
- 性行動(積極的:きつい労力):2.8メッツ
- 性行動(全般:ほどほどの労力):1.8メッツ
- 性行動(受動的:楽な労力、キスをする、抱きしめる):1.3メッツ
「メッツ」は運動強度を示す単位で、座って安静にしている状態を「1メッツ」としています。普通に歩くのが3.0メッツのため、セックスはウォーキングと同程度の運動強度だと言えます。
これをもとに性行為におけるカロリー消費を計算すると、時間や体重によって個人差があるものの、1回あたり数十キロカロリーから100キロカロリー程度消費されると考えられます。
ジョギングや筋トレといった本格的な運動に比べると消費カロリーは少ないものの、心拍数が上がり血行が促進されるため、代謝アップにつながる可能性も期待できます。
体位ごとの運動効果
セクササイズでは、体位によって使う筋肉や運動量が変わります。
ここでは、特定の筋肉にアプローチしやすい体位とその効果を紹介します。全身をバランス良く鍛えたい場合は、いろいろな体位を試してみるのも良いかもしれません。
体勢や動きに個人差はありますが、意識的に筋肉を使うことで、より効果的な「セクササイズ」に。無理のない範囲で取り入れてみてください。
内もも・背中痩せを見込める「正常位」

仰向けの体勢では、自然と内ももや骨盤まわりに力が入りやすく、脚の引き締め効果が期待できます。特に、女性が内ももで挟みこむように力を入れると引き締め効果が向上すると考えられます。
軽く腰を浮かせると、背中や体幹の筋肉を刺激することもできるため、“ながらトレーニング”の1つとして捉えてみては。
二の腕が引き締まる「後背位」

両手と両ひざをつく後背位(バック)の体位では、女性は腕で体重を支えるため、二の腕のシェイプアップにつながる可能性があります。
腰まわりを安定させることで、普段は鍛えづらい骨盤底筋など、インナーマッスルのトレーニングになることも。骨盤のゆがみを整えることにもつながるので、ぜひ意識してみて。
お腹痩せが期待できる「騎乗位」

パートナーの上でバランスを取る体位は、女性が動きの主導権を握りやすいため、自分のペースで負荷を調整できます。シェイプアップに向いている体勢の1つです。
腰を回したり、上下に動いたりすれば、腹筋や太ももの筋肉をしっかりと使うことができ、お腹痩せや下半身のシェイプアップにつながる可能性が期待できます。特に太ももには大きな筋肉があるため、太ももを意識して動かせば、全身の代謝アップも期待できるでしょう。
セクササイズで期待できるその他の効果
セクササイズがもたらす効果は、カロリー消費や筋力アップだけではありません。パートナーとのスキンシップを通じて得られる快感や満足感のほかにも、副次的な効果がいくつかあると言われています。
幸福感が得られる

パートナーとの親密なスキンシップは、愛情や絆を深める貴重な機会。性的な快感を得られるだけでなく、触れ合うことによる安心感や多幸感が「幸せホルモン」の分泌を促します。するとストレスの軽減や心の安定にもつながり、精神的な健康を保つうえ大切な役割を果たします。
また、2週間毎日性交渉を行った人では、そうでない人と比べてストレスに対する血圧反応が安定しやすいという調査報告もあります(※1)。
※1:Biological Psychology, 2006年、doi:10.1016/j.biopsycho.2005.03.005
肌がキレイになる

セクササイズによって心拍数が上がり血行が促進されると、肌の細胞に酸素や栄養が行きわたりやすくなり、肌のターンオーバーをサポートする可能性があります。
また、パートナーとの性行為で幸せを感じると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」「ドーパミン」の分泌量が増加。すると自律神経のバランスが整い、肌のターンオーバーが正常化することで、肌質の改善につながると考えられます。
免疫力アップ

セクササイズによって得られるリラックス効果や幸福感は、自律神経のバランスを整えることに役立ち、結果的に免疫力の向上につながると言えるでしょう。また、性行為によって血行が良くなると、免疫細胞が体内を効率的に巡るのを助け、免疫機能の維持や向上をサポートすることが考えられます。
また、性行為のある女性は、月経周期における免疫状態が安定しやすいという研究もあります(※2)。免疫バランスにかかわるサイトカインや抗体の変動が穏やかになる傾向があり、体の調子を整えるうえで良い影響があると指摘されています。
※2:Fertility and Sterility, 2015年、doi:10.1016/j.fertnstert.2015.07.113
睡眠の質がアップする

さまざまな研究や調査により、「性行為の後には睡眠の質が良くなる」ということが明らかになってきています。セックスによる適度な疲労感やリラックス効果は、スムーズな入眠を促し、睡眠の質を高めてくれると考えられます。
また、オーガズムに達すると分泌される「オキシトシン」「プロラクチン」「エンドルフィン」は、いずれも副交感神経を高め、リラックスさせてくれる働きを持つホルモン。心身の緊張をほぐし、より深い眠りに導いてくれるでしょう。
なお、こうした睡眠改善効果は、特にオーガズムを伴う性行為で顕著だとする報告もあります。パートナーとの関係性や心の状態も大きく影響するため、自分たちにとって心地よいスタイルで取り入れてくださいね。
セクササイズでキレイになろう!

セックスの延長上にある「セクササイズ」は、単にカロリーを消費するだけではありません。体位を工夫することで特定の筋肉を鍛えて引き締めるほか、性行為によって分泌されるホルモンの働きで美肌や免疫力アップが見込めるなど、女性にとってうれしい効果が数多く期待できます。心の安定や幸福感を得られるのも、大きなメリットの1つです。
もちろん、パートナーあってのことですから、無理に「しよう」と意気込むものではありません。でも、愛情を育みつつ、楽しく“キレイ”を目指す方法の1つとして捉えてみてくださいね。
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