
生理の血の色が黒い理由は?血の色や期間から考えられる原因と対処法
生理の血(経血)が黒いときは、体の中で何が起きているのか気になるもの。問題がないケースもあれば、注意が必要なこともあります。黒くなる原因や病院に行くべき目安、自分できるケアについても紹介します。
目次
経血の色が変わる理由と黒くなる原因
生理の際に見られる経血の色は、さまざまな要因によって変化することがあります。なぜナプキンに付いた経血が黒っぽく見えるのか、いくつか考えられる理由を見てみましょう。
酸化による自然な変化
経血の色が黒っぽく見える主な理由の1つに、血液の酸化があります。経血は子宮の壁から剥がれた子宮内膜が血液などと混ざったもので、体外に排出されるまでに時間がかかると、空気に触れて酸化が進み、茶色や黒っぽい色になることがあります。
特に生理3日目以降になると経血量が少なくなり、血液がすぐに排出されず子宮や膣内に一時的にとどまることがあります。そのため、排出までの時間が長くなり、酸化による色の変化が起こりやすくなります。
こうした黒っぽい経血は、生理の始まりや終わりなど経血量が少ない時期に見られやすく、多くの場合は自然な現象として心配のないものです。
ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンのバランスが乱れることも、経血の色や量に影響を与えることがあります。
ホルモンバランスの乱れは、視床下部や下垂体、卵巣といったホルモン分泌に関わる器官の働きがうまくいかない場合などに起こり得ます。このようなホルモンの変動があると、子宮内膜が十分に発達しなかったり、剥がれるタイミングがずれたりして、経血の状態が変わることがあります。

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ストレスの影響

過度なストレスは、自律神経のバランスを崩し、女性ホルモンの分泌にも影響を与えることが知られています。
ストレスによってホルモン分泌が不安定になると、生理周期が乱れたり、経血の量や色が変化したりすることがあります。
年齢による変化(更年期など)
30代後半から40代にかけては、更年期そのものではありませんが、50代前後の更年期に向けて卵巣機能が徐々に変化し始める時期です。女性ホルモンの分泌がゆらぎ始めることで、生理周期の乱れや経血の量・色の変化が見られることがあります。
閉経が近づくと、生理の回数が減ったり、期間が短くなったり長くなったりと、さまざまな変化が現れることが一般的です。経血量が減り、排出に時間がかかることで、酸化した黒っぽい経血が見られるようになる場合もあります。
婦人科疾患の可能性
経血の色がいつもと違うときには、婦人科の病気が隠れている可能性も考えられます。たとえば、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮頸がん、子宮体がんといった病気が、経血の量や色の変化、生理周期の乱れといった症状を引き起こすことがあります。黒っぽい経血が続く場合や、他の気になる症状を伴う場合は、一度婦人科で相談してみることをおすすめします。
経血の色が示すサイン

経血の色は、単なる血液の色だけでなく、体の状態を示すサインになることがあります。経血の色や状態を観察することで、体の変化に気づくことができるかもしれません。
茶色・黒っぽい経血の意味
茶色や黒っぽい経血は、多くの場合、体外に排出されるまでに時間がかかり、酸化が進んだ古い血液。生理の始まりかけや終わりかけの、経血量が少ない時期によく見られます。生理不順の人に見られるケースも。
見た目が不安になるかもしれませんが、体の自然な変化であることがほとんどです。
ただし、茶色や黒っぽい出血がだらだらと長く続いたり、量が多かったりするようなら、ホルモンバランスの乱れや、まれに婦人科の病気が原因となっている可能性も考えられます。
明るい赤・鮮血のパターン
明るい赤色や鮮血の経血は、比較的短時間で体外に排出された新鮮な血液です。生理が始まってすぐの、経血量の多い時期によく見られます。生理の最初の数日であれば、健康な生理のサインと言えるでしょう。
しかし、生理ではない時期に鮮血の不正出血が続く場合や、生理の期間がいつもより長く、鮮血が大量に出続ける場合は、子宮筋腫などの病気が隠れていることもあります。
レバーのような塊が出る場合
生理中にレバーのような血の塊が出ることがあります。これは、剥がれ落ちた子宮内膜や経血が体内で固まったものです。経血量が多い日に見られることが多く、子宮が収縮して内膜や経血を押し出す過程で自然にできることがあります。
少量であれば問題ありませんが、塊が頻繁に出る場合や、塊の量が多い場合は、月経過多の可能性が考えられます。
子宮筋腫や子宮内膜症などが原因で経血量が増えていることもありますので、気になるときは婦人科医に相談してみることをおすすめします。
医療機関への受診を検討するケース

生理の経血の色や生理不順など、体の変化に不安を感じる場合は、一人で悩まず医療機関を受診することも大切です。気になる症状があれば、ためらわずに婦人科に相談しましょう。
黒い血が続く場合
生理の始まりや終盤に少量見られる黒っぽい経血は、多くの場合心配ありません。
しかし、生理期間中に黒い血がずっと続いたり、生理ではないのに黒い血が出たりするようであれば、婦人科の病気が隠れている可能性も考えられます。このような症状があれば、一度婦人科に相談してみてください。
少量の出血が長く続く場合
生理が終わったはずなのに、少量の出血がだらだらと長く続く場合や、生理の後半になっても塊のようなものが混じる場合は、注意が必要です。
ホルモンバランスの乱れの他、子宮内膜ポリープや子宮筋腫といった病気が原因となっている可能性も考えられます。不正出血の可能性もあるので、婦人科を受診して原因を調べてもらうことが大切です。
月経周期や期間に異常がある場合

生理周期がいつもと比べて大幅にずれる、生理の期間が極端に短いまたは長いなど、月経周期や期間に明らかな異常が見られる場合は、ホルモンバランスの乱れや婦人科の病気が原因となっている可能性があります。
正常な月経周期は25日から38日とされています。前の生理の初日から、次の生理の初日までの間隔が7日以上ずれるような場合は、生理のリズムが乱れているサインと考えられます。この範囲を大きく超える場合は、一度婦人科に相談してみましょう。
不正出血が見られる場合
生理期間以外に出血が見られることを不正出血といいます。不正出血は、排卵期出血のような心配のないものもある一方、ホルモンバランスの乱れや、婦人科系の病気が原因で起こることもあります。
出血の色や量はさまざまで、鮮血や茶色、黒っぽい色の場合も。不正出血が続く、出血量が多い、痛みを伴うといった症状があれば、原因を特定するためにも婦人科を受診しましょう。特に、閉経後に不正出血が見られたときには、注意が必要です。
また、妊娠中の場合は、切迫流産や子宮外妊娠など、重大な異常のサインである可能性もあるため、自己判断せず、できるだけ早く産婦人科を受診することが大切です。
不正出血は、体からのサインであることも多いため、軽視せず、変化に気づいたら早めの対処を心がけましょう。
生理痛が重たい

日常生活に支障が出るほどの重い生理痛がある場合、月経困難症の可能性があります。
月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因となっている場合と、特に病気が見つからない場合があります。いずれも治療で症状を軽減させることができるので、痛みを我慢せずに、婦人科で相談し適切な治療を受けましょう。
気分が非常に落ち込む

生理前にイライラしたり、気分が落ち込んだりといった精神的な不調が強く現れる場合を、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)と言います。これらの症状にもホルモンバランスの変動が関わっていると考えられています。
日常生活に支障が出る場合は、婦人科や精神科で相談することで、症状をやわらげる方法が見つかることがあります。
その他の気になる症状がある場合
経血の色や生理周期の異常に加え、おりものの臭いや色の変化、発熱、下腹部痛、性交時の痛みなど、他にも気になる症状がある場合は、何か病気が隠れているサインかもしれません。
どんな些細なことでも、不安な症状があれば早めに婦人科に相談しましょう。
生理不順へのセルフケア

生理不順の原因が病気以外にある場合、日々の生活習慣を見直すことで改善が期待できることもあります。まずは自分でできるケアを取り入れてみましょう。
生活習慣の見直し

バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動は、女性ホルモンのバランスを整えるうえで非常に大切です。
無理なダイエットや睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、生理不順の原因となることがあります。規則正しい生活を心がけることで、体のリズムが整い、生理周期の改善につながる場合があります。
ストレスの軽減
過度なストレスは、生理不順の大きな原因の1つです。
ストレスを全くなくすことは難しいかもしれませんが、自分なりのストレス解消法を見つけることが近道。
リラックスできる時間を作ったり、趣味に没頭したり、軽い運動を取り入れたりするのも良い方法です。アロマセラピーなども、心身のリラックスをサポートしてくれますよ。

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基礎体温の記録

基礎体温を毎日記録することで、自分の体のリズムを知ることができます。
低温期と高温期の二相性になっているか、排卵は起きているかなどを把握する手がかりになります。
基礎体温の記録は、生理不順の原因を探る場合や、医療機関を受診した際に役立ちます。毎朝同じ時間に測るように習慣づけるのがおすすめです。
体からのサインを見逃さないで

生理の血の色が黒っぽいことは、多くの場合、経血が酸化した自然な変化であり、心配いりません。しかし、経血の色や量、生理周期の乱れ、その他の症状が気になるときは、体の不調や病気のサインである可能性も考えられます。
自分の生理の様子を日頃から観察し、いつもと違うと感じた場合は、一人で抱え込まずに婦人科に相談することが重要です。適切な診断とアドバイスを受けることで、安心して過ごせるようになります。
また、規則正しい生活やストレスケアといったセルフケアも、生理周期を整えるために役立ちますよ。
[ 監修者 ]

- 沢岻美奈子女性医療クリニック
- https://takushiminako.com/
- 沢岻美奈子女性医療クリニックInstagram
- https://www.instagram.com/takumina_clinic/
- ポッドキャスト「女性と更年期の話」
- https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%A8%E6%9B%B4%E5%B9%B4%E6%9C%9F%E3%81%AE%E8%A9%B1/id1776519822
- YouTube「8時だヨ更年期全員集合」
- https://www.youtube.com/@8jidayokounenkizeninsyugo