
日焼けがかゆくて寝られない!?原因と対策を解説。薬は使っていい?
日焼けをした後、肌がムズムズとかゆくなり、ひどいときには寝つけないほどの不快感に悩まされることがあります。つらいかゆみを少しでも和らげてぐっすり眠るために、正しいケアを知っておきましょう。
目次
日焼けでかゆみが生じる理由

日焼けは、医学的には「日光皮膚炎」と呼ばれます。皮膚の炎症の一種で、軽いやけどに近い状態です。
日焼けによるかゆみは、主に紫外線によって肌に炎症が起こり、バリア機能が低下することで生じます。肌が外部からの刺激に敏感になるために、かゆみを感じやすくなるのです。
紫外線によって皮膚の炎症が起こる

日焼けは、太陽光に含まれる紫外線が引き起こす皮膚の炎症です。紫外線には「UV-A」「UV-B」の2種類があり、それぞれ異なるタイプの日焼けを引き起こします。
- サンバーン: UV-Bによる赤み・炎症・ヒリヒリ・かゆみ
- サンタン: UV-Aによるメラニン生成・肌の黒化
このうち、UV-Bによる「サンバーン」になるとかゆくなったり、ヒリヒリと痛んだりするほか、場合によっては水ぶくれが生じることも。こうした炎症反応そのものが、かゆみを引き起こす原因の1つとなります。
肌のバリア機能が低下する

肌のバリア機能とは、肌の表面にある「角層」が外からの刺激(ホコリや雑菌など)を防いだり、肌内部の水分を保ったりする働きのこと。この機能が低下すると、肌は乾燥しやすくなり、ほんのわずかな刺激にも敏感に反応してしまいます。
日焼けしてダメージを負った肌は、必要な水分量をキープできず、バリア機能が弱まった状態。服のこすれや汗といった些細なことが刺激となり、かゆみをさらに悪化させるのです。
日焼けのかゆみが強いときの応急処置
日焼けによるかゆみは手強く、ときには寝付けないほどの激しさになることも。まずは応急処置で肌をいたわり、かゆみを取り除きましょう。
肌の状態を確認し、優しく冷やしてからしっかり保湿するのが、かゆみを抑える近道です。
まずは皮膚の状態を確認する

かゆみを感じたら、まずは日焼けした肌の状態をよく確認すること。赤みの強さやヒリヒリ感、水ぶくれの有無などをチェックします。背中など見えづらい箇所は手鏡を活用したり、家族に見てもらったりするのも一手です。
赤みやかゆみ、軽い痛み以外の症状がないのであれば、基本的には自分で対処してOK。一方、もし日焼けした部位全般に水ぶくれができていたり、強い痛みを感じたりするときは、重度の日焼けの可能性も。その場合は皮膚科を受診し、治療を受けることをおすすめします。
日焼けした肌を優しく冷やす

日焼けした肌は、軽いやけどと似た状態。まずは丁寧に冷やして、ほてりやかゆみを落ち着かせましょう。
冷たい水で濡らしたタオルや、タオルに包んだ保冷剤を患部にそっと当てて冷やすのが効果的。広い範囲を冷やしたいときは、ぬるめのシャワーを浴びてもOKです。
一方、いち早く冷やしたいからと氷を直接肌に当てたり、冷却ジェルシートなどを貼ったりすると、かえって刺激を与えてしまうおそれも。あくまで「優しく冷やす」ことが大切です。
しっかりと保湿する

日焼け後の肌はバリア機能が弱まり、乾燥しやすくなっています。乾燥はかゆみを悪化させる原因になるため、冷やしてほてりを取った後はしっかり保湿を行いましょう。
まずは化粧水で水分を与え、その上から乳液やクリーム、ワセリンなどで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。敏感になっている肌には、できるだけ低刺激の保湿剤を使うのがおすすめです。
保湿剤を塗るときも、余計な刺激を与えるのはNG。肌をこすらないよう、手のひらで優しく押さえながらなじませてください。
市販薬を使用する際の注意点
かゆみが強くてつらいときには、市販薬を使うのも選択肢の1つ。かゆみ止めに有効な成分を含む医薬品が市販されているので、肌の状態に合ったものを選びましょう。
使う前には、使用上の注意をよく読んで、正しく使うことが大切です。特に顔や目の周りなど、デリケートな部位に使いたい場合は、その場所に使っても問題がないか説明書で確認するようにしてください。
また、市販薬を何日か使っても症状が改善しないときは、皮膚科で相談しましょう。
かゆみがあるときにしてはいけないこと
日焼けによるかゆみがあるときは、以下のような行為はできるだけ控えること。
- かゆい部分をかく
- 熱いお風呂につかる
- 刺激の強い化粧品や美容液などを使う
- シートマスクを使う
日焼けでかゆみがあるとき、いちばん避けたいのは“かきむしる”ことです。かくと肌が傷つき、バリア機能がさらに低下して炎症が悪化してしまうおそれがあります。
また、かくと肌の内側で「ヒスタミン」というかゆみ物質が放出。かゆみがもっとひどくなる悪循環に陥るリスクがあります。
加えて、刺激の強い化粧品や熱いお風呂は、肌を乾燥させる一因に。これも、かゆみの悪化につながりかねません。美白美容液やシートマスクも、成分が刺激になることがあるため、かゆみが続いているうちは使わないのが無難です。

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日焼けのかゆみで病院を受診しても良い?

「日焼けくらいで病院に行くなんて……」と思う人もいるかもしれませんが、日焼けは皮膚が炎症を起こした状態。セルフケアをしてもかゆみが引かなかったり、眠れないほどつらかったりするときは、皮膚科を受診することをおすすめします。特に、広い範囲に赤みや痛みがある場合や、水ぶくれができている場合は早めの受診が必要です。
また、短時間の日光浴でもかゆみや発疹が出るのであれば、日焼けではなく「光線過敏症(日光アレルギー)」の可能性もあります。これは、免疫が日光に対して過剰に反応してしまうせいで起こる炎症で、体質によるもののほか、特定の薬や食品などが原因で起こるケースもあります。
かゆみや炎症が強いときは自己判断せず、医師による適切な診断と薬の処方を受けましょう。
日焼けによるかゆみを予防するために

らい日焼けのかゆみを防ぐためには、予防が何より大切。日ごろから紫外線対策を意識して、肌をしっかり守りましょう。
日焼け止めなどのアイテムを上手に活用すれば、肌へのダメージを軽減でき、かゆみのリスクを軽減できます。
しっかりと紫外線対策を行う

紫外線から肌を守ることは、日焼けによるかゆみを防ぐ第1歩。外出時には日傘や帽子のほか、サングラスやUVカットの服なども活用し、肌の露出をできるだけ減らしましょう。また、紫外線が最も強くなる午前10時~午後2時は、できれば外出を控えるのがおすすめです。
紫外線の強さは、季節や場所によって変わります。特に夏場や海・山などのレジャー時に強い紫外線を長時間浴び続けると、かゆみをはじめ炎症が起こるリスクが高まります。いつも以上に念入りな対策を行って。
最近では、薬局でもさまざまな紫外線対策グッズが手に入ります。状況や好みに合わせて選びましょう。

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使用場面に合った日焼け止めを選ぶ

日焼け止めは、毎日の紫外線対策に欠かせないアイテムです。日常生活用なのか、レジャーやスポーツ向けなのかによって、SPFやPAの表示を確認し、適したものを選びましょう。日常生活であればSPF20~30・PA+++程度のもので十分ですし、日差しの強い屋外で長時間活用する場合にはSPF50+・PA++++の日焼け止めが欠かせません。
肌が敏感な方は、紫外線吸収剤を含まない「ノンケミカルタイプ」の日焼け止めを選ぶと良いでしょう。
また、日焼け止めは汗や摩擦で落ちやすいものです。「強力な日焼け止めを塗ったから大丈夫」ではなく、こまめに塗り直すのを意識しましょう。特に水辺や屋外スポーツなどではウォータープルーフタイプを選び、より頻繁に塗り直すことを忘れずに。
まとめ

日焼けによるかゆみは、紫外線によって肌が炎症を起こし、バリア機能が低下することで生じます。かゆみが強いと眠れないほどつらく感じることもありますが、適切な応急処置やスキンケアを行えば、症状を和らげられます。
まずは、日焼けした部分を優しく冷やし、よく保湿しましょう。市販薬を使う場合は、使用方法や注意点をよく確認し、肌の状態に合ったものを選んで。それでも症状が改善しないのであれば、早めに皮膚科を受診することが重要です。
日焼けによるかゆみを防ぎたいなら、日ごろから紫外線対策をしっかりと行うことが欠かせません。肌を守るための習慣を身につけて、夏の紫外線にも負けない健やかな素肌を保ちましょう。
[ 監修者 ]