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矢野智之先生

乳房再建術の選択肢を増やし“見た目’’で苦しむ人を減らしたい┃ホームドクター(19)

乳房再建術のスペシャリストとして名高い矢野智之先生。幼少期に自身が経験した‘‘見た目”のコンプレックスをバネに、形成外科医として寄り添う優しいまなざしに宿る、再建にかける矢野先生の強い思いとは––。

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「からだにいいことホームドクター」とは?
「この健康法は自分に合っているのかな」「どうしてこんな不調が起きるんだろう」など、自分ではわからないけれど病院に行くほどではない“セルフケア以上、診療未満”のお悩みを、各科の名医と一緒に解決していく、健康応援プロジェクトです。

頭頸部再建から乳房再建の専門医へ

矢野智之先生

矢野先生が医師を目指し形成外科を専門にした理由は?

矢野先生 2度の入院経験とアトピー治療で、病院が身近だったことが医師を目指すきっかけです。1歳で受けた肺の手術は記憶がありませんが、幼稚園の年長のときに皮膚がんになるリスクがある腹部の大きなホクロを切除しました。このときに優しい看護師さんがたくさん褒めてくれて、病院が好きに(笑)。それとは別に、小学生時代はひどいアトピー体質だったこともあり、ひざやひじ、おでこからは浸出液が出ていて、同級生から冷やかされるなどつらい思いもしました。そんな幼少時代とも重なって、見た目のトラブルを治す医者になりたいと思うようになりました。医学部の5年生になって耳鼻科の実習をしたときに、がんの手術を受けて頬に大きな穴が開いたままの高齢女性の姿を見ることがありました。この記憶は強烈に残り、失った機能や体の一部を再建する「形成外科」こそ、私が取り組む仕事だと思い至りました。

乳房再建の技術取得のためにベルギーに留学されたそうですね。

矢野先生 形成外科医としてのキャリアの前半は、頭頸部がんに付随する再建術がメインでした。脳外科と耳鼻科と形成外科でチームを組み、長時間にわたる頭蓋底腫瘍(ずがいていしゅよう)の患者さんの手術にあたるなかで身につけた技術は、今も生きています。その後、移籍した横浜市立みなと赤十字病院で、乳腺外科の先生から乳房再建術の依頼をいただくように。次第に乳房再建の技術を磨きたいという思いが強くなり、医局を離れるタイミングで乳房再建術の先進国であるベルギーのゲント大学病院に留学。マイクロサージャリーという細い血管をつなげて移植する手技を学び、それが現在の私の診療の礎(いしずえ)になっています。

乳房再建を希望する女性は増えていますか?

矢野先生 乳房の再建術を希望する方は増えています。それでも、日本の乳房再建率は14%ほどで、米国や韓国の50%近い数値と比べるとかなり低いです※。特に地方ではニーズに追いつかない現状もあります。本来は、年齢やライフスタイルなどに応じてメリットとデメリットを示して、「人工乳房(インプラント)を用いた再建術」か「自家組織を用いた再建術」か患者さんが選べるのが理想です。しかし、形成外科医の技量によって、提供できる医療に差があるのも事実です。簡単ではありませんが、こうした地域や医療機関による医療格差を縮めたい。そして、再建後の見た目を美しくする「修正手術」は発展途上で、さらに高度な技術力が必要です。当院のような医療機関が、率先して取り組む分野として力を注ぎたいと思っています。

※出典:厚生労働省 第7回NOBオープンデータ

中華鍋を振るのが良い気分転換に

中華料理

中学生のころから中華鍋を振ってチャーハンを作っていた矢野先生。今はお得意の炒めものからプリン作りまで、料理を振る舞い、家族だんらんの機会にしているそう。

取材・文/江山彩 協力/ウィルウェイ
(からだにいいこと2024年4月号より)

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