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食養生_食事中の女性

食養生で一生健やかに!体と心を整える「東洋医学の食事の基本」|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は「東洋医学の食事の基本」を紹介。一生役立つ“食養生”を取り入れて、体と心を健康に保ちましょう!

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体と心を健康に保つ食事「6つのポイント」

東洋医学では、私たちの体は「気・血・水」で成り立っていると考えられています。「気」はエネルギー、「血」は血液など、「水」は体に流れる血液以外の正常な水分のこと。この“3本柱”がスムーズに体を巡っていることで健康が保たれています。

食事は「気・血・水」をつくるための基本。東洋医学では「体は食べた物でできている」とされ、口に入れるものが体と心の健康を左右しているといっても過言ではありません。健康になるための食事の基本としてご紹介したいのは次の6つです。

(1)地元の旬の食材を食べる
(2)四性(しせい)をバランスよく食べる
(3)五味(ごみ)をバランスよく食べる
(4)五色(ごしょく)をバランスよく食べる
(5)よく噛んで食べる
(6)腹八分目を守る

忙しい現代人は3食とも体にいい完璧な食事をとるのは難しいかもしれません。1食でもいいので、ご紹介するポイントを取り入れてみてください。

(1)地元の旬の食材を食べる

東洋医学の食養生の基本に「身土不二(しんどふじ)」という考え方があります。これは、「生まれ育った土地の食材のほうが体に合う」という意味。そのためできる限り国内でとれた食材を食べることをおすすめします。生まれ育った地元でとれた食材ならばさらに体がよろこぶでしょう。

また、旬の食材にはその季節を元気に乗り切るための働きが備わっています。夏野菜なら体を冷やして夏バテを予防する、冬野菜なら体を温めて潤すなど、「旬」を意識して食材を選ぶと、不調知らずの一年を過ごせるでしょう。

(2)四性(しせい)をバランスよく食べる

食養生_四性

2つ目のポイントは、「四性(しせい)」。食べ物が持っている「寒(かん)・涼(りょう)・温(おん)・熱(ねつ)」の4つの性質のことを表します。食べ物や漢方薬の原料となる生薬(しょうやく)には、体を温める「温熱性(おんねつせい)」と、体を冷やす「寒涼性(かんりょうせい)」のものが存在します。この4つの他に、冷やしも温めもしない「平性(へいせい)」があります。

食事は、この「四性」をバランスよくとることが大切。例えば、ヨーグルトやサラダ、寿司などの冷たい食べ物だけを食べること、反対にショウガや辛い料理など温めすぎる食べ物だけを食べることはおすすめしません。温熱性、寒涼性を偏ることなく食べましょう。

「平性」を含む「四性」ごとに食べ物を紹介しますので、食事の際に参考にしてみてください。

  • :ゴーヤ、すいか、バナナ、キウイフルーツ、わかめ、こんにゃく、カニなど
  • :小麦、セロリ、トマト、きゅうり、レタス、ほうれん草、ナス、大根、りんご、いちご、鴨肉、そばなど
  • :とうもろこし、大豆、じゃがいも、さつまいも、里芋、山芋、きくらげ、椎茸、キャベツなど
  • :シソ・ネギ・ショウガなどの薬味、かぼちゃ、にんじん、ニラ、タマネギ、栗、鶏肉、羊肉、鰻、鮭、エビ、酒、酢、黒糖など
  • :唐辛子、こしょう、山椒、八角、シナモン、クローブなど

(3)五味(ごみ)をバランスよく食べる

3つ目のポイントは「五味(ごみ)」を取り入れること。味には「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ)」の5つがあります。これら「五味」をバランスよく食事に取り入れることが健康な体をつくります。それぞれの働きと代表的な食べ物はこちらです。

  • 酸味:【働き】汗・血を止める、尿漏れ・下痢・つわり防止など 【食べ物】レモン、梅、山査子(さんざし)、お酢、トマト、いちご、みかんなど
  • 苦味:【働き】余分な熱を冷ます、湿気を取る、熱・炎症を鎮める、デトックス、便通改善など 【食べ物】ゴーヤ、緑茶、パセリ、ふき、銀杏、珈琲、どくだみなど
  • 甘味:【働き】血・気を補う、胃を元気にする、胃の緊張を取るなど 【食べ物】穀類、豆類、栗、かぼちゃ、じゃがいも、さつまいも、クコの実、玉子など
  • 辛味:【働き】汗をかいて発散させる(風邪を改善)、気・血の巡りを改善(頭痛・肩こり・冷え症改善)など 【食べ物】ネギ、ショウガ、ニラ、玉ねぎ、シソ、ミョウガ、唐辛子、香草類、ハーブ類など
  • 鹹味:【働き】固い物を柔らかくする(便秘改善、脂肪を流す)、下痢を促して不要なものを排出、体を潤す(ほてり改善)など 【食べ物】牡蠣、すっぽん、なまこ、イカ、タコ、カニ、貝類、昆布、わかめ、海苔、ひじきなど

(4)五色(ごしょく)をバランスよく食べる

4つ目のポイントは「食べ物の色」です。「青色(緑色)・赤色・黄色・白色・黒色」の五色を食事にバランスよく取り入れましょう。色を増やすことで複数の健康効果を得ることができます。それぞれの働きと代表的な食べ物を紹介します。

食養生_五色の食べ物
  • 青色(緑色):【働き】熱を冷ます、鎮静させる、血を補う、肝を補う 【食べ物】セロリ、ミント、緑茶、ほうれん草、春菊、三つ葉、レタスなど
  • 赤色:【働き】血を補う、血を巡らせる、滋養 【食べ物】クコの実、桑の実、なつめ、エビ、マグロ、鮭、イチゴ、ワインなど
  • 黄色:【働き】胃腸を元気にする 【食べ物】大豆、柑橘系フルーツ、雑穀、さつまいも、じゃがいも、とうもろこし、かぼちゃなど
  • 白色:【働き】肺を元気にする、乾燥から体を守る 【食べ物】大根、かぶ、ゆり根、はと麦、白きくらげ、えのきなど
  • 黒色:【働き】腎の働きを元気にする、滋養強壮、脳を元気にする、骨を強くする 【食べ物】牡蠣、海苔、昆布、黒ゴマ、黒豆、黒米、イカ墨など

(5)よく噛んで食べる

5つ目に大事なのが「よく噛んで食べる」こと。食べた物を消化・吸収する胃腸は、食事のたびに働きっぱなしです。そのためよく噛んで食べて胃腸の負担をできるだけ減らし、消化を助けることが大切。

胃腸は、免疫力を意味する「衛気(えき)」や「元気」をつくる源。また、「ストレスを感じると胃が痛む」など、メンタルとも関係が深い臓器です。健康な体と心を保つために、「よく噛む」習慣で胃腸に負担をかけない食べ方を心がけましょう。

(6)腹八分目を守る

最後は「腹八分目を守る」ことです。不調を感じることなく元気で過ごすためには、胃腸が健康であることが重要とお伝えしました。「よく噛む」ほかに自分でできるのは、食べ過ぎないこと。腹八分目の目安は、「食後に胃が苦しくない・体が重いと感じない・眠くない」の3つです。

「満腹にならないと気が済まない」という人は、きっと胃腸がお疲れ気味。満腹の一歩手前で止める食習慣を心がけると、プチ不調のない快適な体を手に入れることができるでしょう。

食養生_腹八分目

今月の養生ポイント:食事は病気を治す「薬」にもなる

中国にはその昔、「食医(しょくい)」という食事指導を行う医師がいました。日々の食事で病気の治療や予防を行う宮廷医で、今でいう管理栄養士のような役割です。他にも疫医(内科医)や瘍医(外科医)、動物の医師である獣医などがいましたが、食医はその中でもっとも権威ある立場だったと伝わっています。

また、東洋医学には「薬食同源(やくしょくどうげん)」という言葉があります。これは「食事が薬にもなる」という考え方。このように、「食べることは健康に生きることに直結する」というのが東洋医学の食養生の基本となっています。

体調不良のない快適な体、活力に満ちて若々しい体、疲れ知らずで病気を寄せ付けない体…。あなたの理想とする体が手に入るかどうかは、毎日の食事が左右します。ご紹介した食事の基本をぜひ今日から取り入れて、健やかな一年を過ごしましょう!

取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ

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