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夏野菜を食べる女性

旬の食材で涼しく!東洋医学的「夏野菜」の働きと食べ方のコツ|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は、「夏野菜の働きと食べ方」を紹介します。暑い夏を健康で乗り切るために、旬の野菜を上手に取り入れましょう!

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暑い時期に夏野菜を食べると良いのはなぜ?

夏に旬を迎える野菜といえば、きゅうりやなす、トマト、ゴーヤなどがあげられます。「旬の野菜は体にいい」と聞いたことはありませんか。東洋医学的に見ても、これらの夏野菜には暑い夏を健康に過ごすための良い働きがたくさんあります。

夏野菜の主な働き

夏野菜には主に、体の熱を冷まし、汗によって失われたうるおいを補う働きがあります。

  • 清熱(せいねつ)作用…体の余分な熱を取ってクールダウンさせる。
  • 解暑(げしょ)…暑さによるわずらわしさから体を解放させる。
  • 生津止渇(しょうつしかつ)…体をうるおして渇きを止める。
  • 利水・利湿・利尿…蒸し暑さの原因になる「湿」を、尿などで追い出す。
夏野菜と女性

夏は暑さによる心身のダメージだけでなく、汗も多くなり体力を消耗します。そのため東洋医学で健康の要とされる「気・血・水」のバランスが崩れて不調を引き起こしやすくなります。

それを未然に防ぎながら元気に過ごすために、きゅうりやなす、トマトなどの夏野菜で体をクールダウンさせて、うるおいを保つことが大切です。暑い時期に夏野菜を食べることは、東洋医学的にも理にかなっているのです。

涼性・寒性の性質を持った夏野菜が多い

東洋医学では食べ物それぞれに、温めたり冷ましたりする性質があると考えられています。最も体を温める食べ物を「熱性」、最も体を冷やす食べ物を「寒性」といって、下記のように5つの性質に分けられています。夏野菜はこの中で、「涼性」や「寒性」に当てはまるものが多くなります。

東洋医学の食べ物が持つ性質

暑い時期こそ食べたい! 「夏野菜」7選

体の熱を冷ます、うるおいを与えるなど、うれしい作用がいっぱいの夏野菜。次からおすすめの野菜とその働きをご紹介します。

きゅうり

水分の多いきゅうりは、体をクールダウンさせて「湿」を取り除き、うるおいを与えるといった作用があり、夏バテ予防に最適。便秘や肌トラブル改善にも有効です。

なす

なすには、血の巡りを改善し、体のかたまりを取って痛みを緩和する、血を冷まして深部から涼しくするといった作用があります。

トマト

トマトは、体をうるおして渇きを止める、暑さから体を解放するといった働きがあります。コロコロ便や口の渇きが続くとき、食欲が低下したときにも食べたい夏野菜です。

冬瓜

あっさりした味わいで食欲がないときに食べやすい冬瓜。熱を冷ますほか、余分な水を排出する利水作用があります。尿が出にくいとき、暑さで口の渇きを感じたときに食べると効果的。

ゴーヤ

暑さでイライラしたときに、それを和らげてくれる働きがあるゴーヤ。「清熱明目(せいねつめいもく)」といって、体をクールダウンさせて目のトラブルを取り除く働きもあります。

夏野菜と女性

しそ

薬味類も夏を元気に過ごすためにおすすめです。漢方薬にも使われるしそは、香りで邪気を発散させる、気巡りを改善する、解毒効果で胃腸を元気にするなど、さまざまな作用があります。

みょうが

しそと並んで夏の薬味の定番といえばみょうがです。お腹を温めて気分を高める、痛みを取る、咳を止めるなどの働きがあります。食欲アップのために取り入れたい食材です。

夏バテ・熱中症対策にも効果的な「夏の果物」6選

夏に旬を迎える果物も、体の熱を取る、暑さによる心の不快感を取り除くといったメリットがあります。東洋医学的にみて特におすすめなのが、体を冷やすスイカと、温めるもも。「なんだか調子が悪い…」となる前に、果物を毎日食べて元気な体をキープしましょう。

夏の果物

スイカ

体の熱を取る白虎湯(びゃっことう)という漢方薬があります。スイカは“天然の白虎湯”といわれるほど、クールダウン効果が高い果物。利尿作用のほか、猛暑によるイライラを和らげる働きも。

メロン

メロンは食欲がないときや、コロコロ便しか出ないとき、夏のむくみで手足がだるいときにおすすめ。暑さから体を解放し、体にうるおいを与えてくれます。

もも

冷やす性質を持つ果物が多い中、ももは体を温める性質を持っています。血の巡りを良くして腸をうるおす、気や血を補う、皮膚をうるおすなど、たくさんの作用があります。疲れやすいときにも◎。

レモン

体の熱を冷まして、消化不良を助ける働きがあるレモン。ムカムカして気分が悪いとき、食欲がないときに食べるとすっきりします。炭酸水や水に入れてもOKです。

パイナップル

レモンと同じく消化をサポートするパイナップル。暑さを和らげてうるおいを補う作用があります。食欲低下や熱中症予防にも食べたい果物です。

マンゴー

少し贅沢したいときにはマンゴーがおすすめ。香りによるリラックス効果は抜群。胃を養いうるおいを生む作用があり、胃腸のトラブルや口の渇きなどに効果的です。

夏野菜の効果的な食べ方は?

ここまで夏野菜と旬の果物の働きをご紹介しました。夏野菜の効果をさらに得るには、食べ方にもコツがあります。

  1. なるべく素材そのものを生かした調理法で、シンプルに食べる。
  2. 胃腸が弱い人は、火を通して食べる。
  3. 発汗を促す激辛料理はNG。濃すぎないやさしい味付けがベスト。

例えば、なすとトマトの炒め物、卵や豆腐を入れたゴーヤチャンプルー、薬味たっぷりのそうめんなど、1~3をおさえて夏野菜をたくさん食べてみましょう。そしておやつタイムには旬の果物を!

ゴーヤチャンプルーとそうめんとなすの炒め物

今月の養生ポイント:「はちみつレモン」で夏の体にうるおいチャージ!

東洋医学で「酸甘化陰(さんかんかいん)」という言葉があります。これは、「酸味と甘みを同時に持つものは体のうるおいを増やす」という意味。夏の暑さで汗が失われると、体は常にうるおい不足になり、プチ不調につながります。冷房の効いた部屋で過ごしていても知らず知らずのうちに汗が失われています。

そこで夏のドリンクとしておすすめしたいのが、酸味と甘みが合わさった「はちみつレモン」。レモンをはちみつに漬けて、シロップを炭酸水や水で割って飲んでみてください。うるおい補給もできるうえに、レモンの効果で消化促進や食欲増進にも効果的です。

そのほか、酸味と甘みを同時に持つ食べ物として、トマトやスイカ、ぶどうや梨も良いでしょう。夏になると体がだるい、疲れやすいという人こそ、体のうるおいチャージに気をつけてみてください。

取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ

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