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コーヒー発祥の地エチオピアの誇り高き文化|岡崎優子さん アフリカ的健康生活のすすめ3

西荻窪でアフリカ雑貨店を営む岡崎優子さん。仕事や遊びで訪れて見聞きした現地の健康法を連載でお届けします。第3回は世界的な産地としても名高い、コーヒーにまつわるエピソードをご紹介!

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疲労回復のために食されていたコーヒー

世界各地で愛飲されるコーヒーですが、東アフリカにはコーヒー発祥の地、エチオピア(モカ)をはじめ、ケニア、タンザニア(キリマンジャロ)、ルワンダなど、日本にも多くのファンを持つ生産地があります。なかでもエチオピアはアラビカ種コーヒーの原産地であるほか、60系統にもおよぶコーヒーの遺伝的多様性が確認され、世界的にも注目されています。

エチオピアにはコーヒー豆専門の市場もあり、多種多様の豆が並びます。

コーヒーの木は紀元前からエチオピアの原生林に生息していたと思われますが、人類によって発見されたのは3世紀ごろ。カファ地方のヤギ飼い・カルディとヤギがその赤い実を食べて元気になって踊りだしたという伝説から、地名のカファに由来してコーヒーと名付けられという説もあります。

その当時は、赤い実を発酵させて水と混ぜ、疲労回復の薬として飲んでいたとか。9~10世紀になると、胃の薬として葉や生豆を煎じて飲む習慣も生まれました。

今のようにコーヒー豆を煎って飲むようになったのは13世紀ごろから。原産地のカファ地方では煎ったコーヒー豆をそのまま食べたり、生豆をバターで煎って塩味をつけたり、粉にしてバターなどの動物性の油と混ぜ、疲労回復のために食したりしていました。

本格的にコーヒーの木の栽培が始まったのは16世紀ごろ。19世紀前半には輸出したとの記録もあります。ところが、エチオピアで飲用の習慣は意外にも新しく、19世紀に入ってから。これは長い間、コーヒーはイスラム教徒の飲み物とされ、エチオピア正教では飲用を禁じていたからだと言われています。

現在、コーヒーを飲む習慣はエチオピア国内に広く浸透し、生産量の半分近くは国内で消費されます。ほかのアフリカ諸国では、生産量のほとんどが輸出にあてられ、国内の一般家庭ではインスタントコーヒーを飲んでいることからも、エチオピアにとってコーヒーは身近な存在だと言えるでしょう。

プロポーズにも使われるコーヒー

そんなコーヒーの歴史を有するエチオピアには、日本の茶道にも通じる、コーヒー道があります。エチオピアでは「コーヒー・セレモニー」と呼ばれ、客人などをもてなすための一連の作法を称します。もちろん客人だけでなく、家族や仲間と一緒に飲むときもコーヒーが用意され、この伝統的な作法で供されます。

エチオピアでは訪れた先々でコーヒーが出されますが、コーヒーの呼び方は地域や部族によっても異なります。80以上の部族を有するエチオピアだけに、根付いているコーヒー文化や習慣もそれぞれ。冠婚葬祭をはじめ、人生の節目などに行う儀式で、コーヒーが使われることもしばしばあります。

大人数にもふるまえるように用意された大量の茶器。

中でも、エチオピアの南西部には、コーヒーを使って結婚を申し込む習慣を持つ部族がいます。夫となる青年の父親が相手の家にコーヒーの生豆を夜のうちに置き、プロポーズの意思を表明。妻となる女性の母親がコーヒーを持ってきたのは誰かと尋ね、そこから結婚の交渉ごとが始まるのだとか。

その豆でコーヒーを淹れ、家族みんなで飲んだ後、娘の父親が青年の財力や人柄を確認。NGであれば「さっきのコーヒーは水だった」と断り文句を添えて破断に。OKであれば、再びコーヒーを淹れ、みんなでお祝いをします。

茶道にも通じるコーヒー・セレモニー

では、エチオピアで日常的によく行われる伝統的なコーヒー・セレモニーについてご紹介しましょう。

コーヒー・セレモニーは、まず乳香を焚き、生のコーヒー豆を水で洗うこところから始まります。洗った豆を茶色になるまで煎った後、杵と臼で粉状に砕き、ジャバナと呼ばれるポットに入った湯の中にその粉を入れて煮立て、数分置いた後にその上澄みを小さなカップに注いでいきます。

セレモニーで炊かれる乳香。甘い香りで客人をもてなします。

3杯飲むのが正式な飲み方で、1杯目は健康のため、2杯目は愛のため、3杯目は恩恵・祝福のため、といった意味があります。一般的には砂糖を入れて飲みますが、地方や部族によっては塩やバターを入れる人も。エチオピアコーヒーには酸味があるので、塩を少し加えることで中和され、バランスの取れた味になるのでしょう。

最後に、カレーなどにも入れるティナダムと呼ばれるハーブを1枚カップに入れます。この葉は薬としての効能もあり、具合が悪い時や、鼻がムズムズするときはこのハーブを鼻の中に入れるとよいのだそう。もちろん食べても美味しく、元気になるからとよく勧められました。

また、茶道と同じく、お茶菓子も用意されます。一般的にはポップコーンや穀物のスナックなどが供されます。

この一連のコーヒー・セレモニーを仕切るのは女性の仕事。スムーズに行うことが、女性の身だしなみの一つとされています。このセレモニーを正式に頭から行うと、2時間はあっという間。そのゆったりとした時間の中で、家族や友人たちと話す習慣が、エチオピアでは古くから、日常的にあるそうです。

コーヒー・セレモニーの作法は女性の身だしなみのひとつ。

ちなみにケニアやタンザニアの海岸地方では、ジンジャーと砂糖をたっぷり入れたコーヒーを小さなカップに入れて飲みます。夜になると専門のコーヒー・スタンドがオープン。夜風で冷えた身体を温め、風邪や喉にきくと言われていました。何よりも、そのコーヒー1杯で、夜な夜なおしゃべりが続きます。

コーヒーは健康にいいだけでなく、コミュニケーションを円滑にしていく効能がある、ということなのでしょう。エチオピアのコーヒー・セレモニーは都内のエチオピアン・レストランでも体験することができます。

「HAPA HAPA」店内にも、可愛らしいジャバナや茶器が並ぶコーナーを設けています。

※参考文献:『エチオピアコーヒー伝説』(アフリカ理解プロジェクト刊)

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