
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』|キュン死に一生アニメ第2回
食事や運動だけでなく心にも栄養を!ストレス発散必至の涙腺崩壊アニメをご紹介。第2回は、小学生時代の仲間が集まり、亡くなった友だちの願いを叶える青春アニメです。
泣ける“神アニメ“の決定版!
2011年にフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放映されたテレビシリーズが大ヒット。その後、劇場版が公開、ドラマ化、舞台化などもされている人気作品です。
物語は、かつて仲良しだった5人の高校生が、亡くしてしまった大切な友人のためにもう一度集まり、その願いを叶えようと力を合わせていく姿を描いています。それぞれの想いが絡まり、ぶつかりあう展開は涙なくして見られません。見終わったあと、何年経っても思い出しては優しい気持ちになって涙腺がゆるんでしまう。そんな作品です。
登場するのは、じんたん(宿海仁太)、めんま(本間芽衣子)、ゆきあつ(松雪集)、あなる(安城鳴子)、つるこ(鶴見知利子)、ぽっぽ(久川鉄道)の6人の若者たち。
仁太をリーダーとする彼らは、小学生の頃はいつも「秘密基地」で一緒にいた仲良し6人組でした。何でもできる、怖いものなんかない、と思っていた6人は、自分たちのことを「超平和バスターズ」と名付けていました。

無敵だった「超平和バスターズ」。しかし、夏のある日、6人は5人に減ってしまいます。メンバーの1人、芽衣子が川に転落して帰らぬ人となってしまったからです。彼女を失った5人は、それぞれに彼女への想いを抱えながら離れていきます。
物語はそれから5年後、彼らが中学を卒業して迎えた最初の夏から始まります。
なぜかじんたんの前に現れためんま。その理由とは
高校1年の夏休みも残りわずか。「めんま」を失ったあの日以来、色々な出来事を経て変わってしまった仁太は、家にひきこもってゲーム三昧の日々を送っていました。その仁太の前に現れたのは、成長した芽衣子でした。

他の人には見えない芽衣子を、仁太は最初は彼女に対する後ろめたさから見える幻想だと思いこもうとします。芽衣子が川に落ちたあの日、その直前に仁太はみんなの前で鳴子から「じんたんって、めんまのこと好きなんでしょ」と訊かれ、本心とは逆に「誰がこんなブス」とひどい言葉を放ってしまっていたのです。
「明日、あやまればいい」と思っていた仁太でしたが、その明日は永遠にやってこなかったのです。
しかし、5年ぶりに姿を見せた芽衣子は幻想ではなく、幽霊としてそこに存在したのです。あまりにリアルなその姿に、仁太はついには相手が本物の芽衣子であると信じるようになります。

芽衣子は、自分がすでに死んでしまったことは理解しています。ただ、自分がなぜふたたび仁太の前に出てきたのか、どうやらそこには何か「叶えてほしいお願い」があるようなのですが、彼女自身もそれが「超平和バスターズのみんなじゃないと叶えられないお願い」だということ以外はうまく思い出せません。
「めんまのお願い」とは何でしょう。そのお願いを見つけるために、「超平和バスターズ」のメンバーはふたたび集まることになります。
丹念に描かれたキャラクターそれぞれの想い
再会した「超平和バスターズ」の仲間たち。しかし、その関係性は以前とは大きく変わっています。
進学校に通う集は、すっかり冴えなくなったかつてのリーダーである仁太を露骨に見下し、その隣にいる知利子はクールな態度で心が読めません。仁太と同じ高校に通う鳴子は、仁太が気になりつつも、昔のようにあだ名では呼ばずに苗字で呼んでいます。ただ一人、態度が変わらないのが鉄道ですが、彼は何かの理由からか高校には行かず、アルバイトをしては世界を旅してまわっています。

変わってしまったかのような5人。けれど、物語が進むにつれ、実は全員が「あの日」から時が止まってしまっていることがわかってきます。
芽衣子がみんなの前からいなくなってしまったあの日。二度と戻らないその日にあった出来事を思い出しては葛藤する5人。実は仁太だけでなく、他のみんなも、あの日、自分があんなことを言わなければ、あそこで逃げなければ、といった想いを抱えて、自分を責めつづけていたのです。
隠していたそれぞれの想い、お互いを想う気持ちがぶつかりあう様は、この作品の大きな魅力となっています。
そして、なによりも胸に迫ってくるのが芽衣子の存在です。
体は成長していても心は小学生のまま。どこか儚げで人形のような愛らしい容姿。性格は無邪気にして陽気でともだち想い。天真爛漫を絵に描いた天使のような女の子です。
こんなに可愛くて、仁太やみんなのことが大好きな芽衣子なのに、その姿が見えるのは仁太だけ。
観ている側としては、そこがなんとももどかしく、どうにかして彼女をみんなの前に出してあげたい。もう一度言葉を交わすことができるようにしてあげたい。そう願わずにはいられないのです。
仲間たちの感情が炸裂する第8話
第1話から心をつかんで離さない本作。回を連ねていく間に高まっていく登場人物たちの想いが爆発する感動回が第8話『I wonder』です。
芽衣子が見えるという仁太の言葉を信じてくれているのは鉄道のみ。それでもなんとか仁太につきあってくれていた仲間たちですが、この回でついに仁太に対する不信感と、整理のつかない自分自身の気持ちから、怒りをあらわにします。
一触即発の仲間たち。やりとりを見ていた芽衣子は、そこにあった日記帳にペンを走らせ、みんながわかるように地面に落としてみせます。
今日は大きくなったみんなと
秘密基地であそびました。
ケンカはしちゃだめです。
超平和バスターズは
いっつも仲良しです。
風も吹かないのに日記帳が落ちるわけがない。
日記の字を見たみんなは呆然とします。
「めんまの字だ……これ」

目には映らないけれど、芽衣子はそこにいて、自分たちを見ている。それにやっと確信が持てた仲間たち。なんだかもう、嬉しいやらせつないやらで、溢れてくる涙を止めることができません。
舞台は埼玉県秩父市。旧秩父橋や市街の街並、武甲山など雰囲気満点の背景が物語を盛り上げてくれます。
作品は全11話。果たして「めんま=芽衣子」の願いごととは何なのか、5人はその願いを叶えることができるのでしょうか。最終回は大号泣必至。物語の1年後を描いた劇場版も必見です。
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