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痛くない治療で患者の負担を減らす「医療用麻薬」の効果とは?

がんの治療中に使われる痛み止め『医療用麻薬』は、使用をためらっている人が多いのだとか。治療の効果を高め、医療中のQOLを高める『医療用麻薬』についてご紹介します。

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治療の成功率に関わる『医療用麻薬』

日本人の2人に1人が、一生のうちにがんと診断されるといわれます(国立がん研究センターがん情報サービス 2018より)。がんになると、がんそのものによる痛みとともに、がんの治療に伴って痛みが生じる場合や、がん以外の病気による痛みなどが起こります。

それらの痛みを軽減するためのひとつとして使われるのが『医療用麻薬』です。

『医療用麻薬』で痛みを軽減することによって、食事をとることができたり、よく眠れるようになったり、楽しいことを楽しいと感じられたり、様々プラスなことがあります。このプラス面が、治療の成功率を上げることになります。また、がん患者さんが今もまだたくさんいるのだそうです。

しかも治療薬は日進月歩で進化を遂げていて、『医療用麻薬』についても注射だけでなく経口剤、坐薬、貼り薬などが登場し、現在はバランスの良い疼痛治療が行われています。

しかし、『医療用麻薬』への誤解や認識不足から、痛みによる苦痛を抱えてQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)も満たされずにガマンをしている患者さんが、いまもまだたくさんいるのだそうです。

グラフ1 医療用麻薬の使用に対する意識 

「麻薬」という言葉から受ける偏見や誤解

なぜ『医療用麻薬』を使わず、痛みをガマンしている人がいるのか? という疑問から、塩野義製薬が主催するセミナーに編集部が出席しました。

塩野義製薬は、約30年前に“持続性がん疼痛治療薬”=『医療用麻薬』を発売して以来、がんの患者さんの苦痛を減らすことに尽力してきた企業です。

セミナー風景1

がん患者さんが痛みをガマンしてしまう要因の一つが、1987年から始まった“薬物乱用防止『ダメ。ゼッタイ。』普及運動”の影響。

日本では医療用麻薬と、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動で指す違法薬物が混同されていることが医療用麻薬に対する誤解や偏見の認識につながっているのではないかと、湘南大学・薬学部長の鈴木勉さんが教えてくれました。

しかも、ここ15年ほどの『医療用麻薬』に対する意識調査でも、その認識に大きな変化は見られないそうです。

グラフ2 医療用麻薬に対する意識 

この問題を解決するには、「子どもの頃から理解を身につけることも大切」と、日本医科大学・消化器外科の山田岳史さん。『医療用麻薬』を「最後の手段だと思う」という意見に対しては、

「『医療用麻薬』を使っている途中で、これまでの量では痛みを抑えられなくなることもあります。しかし、それは薬が効かなくなったのではなく、痛み自体が強まったか、使っている『医療用麻薬』では効きにくい痛みが加わったことが考えられます。『医療用麻薬』は決して最後の手段ではないのです」と話します。

例えば、痛みでがんが見つかることも珍しくなく、がんと診断されたばかりの時から、『医療用麻薬』などの痛み止めを積極的に使っている人は多いそうです。その方々は、痛みを軽減させながら治療を継続。そして、治療がうまくいけば『医療用麻薬』の量を減らしたり、やめることもあるのだそうです。

さらに鈴木さんは「『医療用麻薬』は、痛みがある人に対して医師が適切に使えば、麻薬中毒になることはほとんど報告されていません」と言います。

自分ががん患者になった時にはQOL向上を

セミナー出演者

全国がん患者団体連合会の桜井なおみ理事は、「がん患者には4つの痛みが生じます」と話します。

「まず、がんと共にどう生きるかという社会問題。医療情報・治療方法を選択しなければならないという体への問題。それと共に不安などの心の問題。魂の痛みである尊厳の問題。それらと自分自身で向き合っていかなければならないのです」

そんな中で、さらに痛みをガマンするーー。

自分ががん患者になったら…。家族ががんになったら…。

「痛みを取り、日常生活動作を保つことは、むしろ延命につながるかもしれない」という山田さんの言葉を忘れずに、もしも自分ががんになったら、病気を治しながら、治療中のQOLも上げていきたいものです。

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