インフルエンザ変異株サブクレードKが流行中「今から始める免疫対策」
今年の冬、例年より早くインフルエンザの感染が拡大し、「サブクレードK」と呼ばれる変異ウイルスも登場。感染症に詳しい医師がすすめる、今からでもできる免疫対策で冬を元気に乗り越えましょう!
目次
インフルエンザ急拡大、原因とされる「サブクレードK」とは?

厚生労働省によると、現在国内で流行しているインフルエンザは、H3N2(A香港型)が主流で、重症化しやすい傾向にあるとしています。
また、例年より1カ月ほど早くインフルエンザの流行が始まっていますが、その原因として注目されているのが、イギリスで新たに見つかった「サブクレードK」という変異株。すでにイギリスやカナダで流行し、日本を含む北半球で広がっています。症状や重症度は従来と大きく変わらないものの、感染の拡大スピードが早いとされています。
サブクレードKは、既存ワクチンの効果が十分でない可能性も指摘されていますが、感染予防や重症化を防ぐためにはワクチン接種が大切です。
女性・子どもは特に早めのワクチンで備えて

家庭内では、子どもは学校から、大人は通勤電車や会社などから感染し、家族間でウイルスが拡散されやすい傾向にあります。とくに家庭内で子どもと接する時間が長い女性は、子どもからウイルスをもらいやすいので注意が必要です。インフルエンザの症状は、高熱や咳、強い寒気、関節・筋肉の痛み、全身倦怠感などですが、とくにA香港型では、子どもが異常行動を起こす事例も見られます。ワクチンは子どもと一緒に早めに接種しましょう。
これまでインフルエンザにかかったことがなくても、今後感染しないとは限りません。また、ワクチン接種前に一度インフルエンザにかかった場合でも、シーズン中に別のB型へ再感染する可能性もあります。治療後、ワクチン接種は効果や安全性を理解したうえで家族で検討してください。
インフルエンザかな?病院にいくタイミング・注意点
インフルエンザは、鼻水やのどの痛みといった風邪の症状よりも、筋肉痛や強い倦怠感など全身症状から始まることが多いのが特徴。
検査を受けるなら、症状が出てから8~10時間後のほうが反応が出やすく、理想的な受診タイミングとされています。ただし、インフルエンザ検査で陽性になるのは全体の60~70%程度に過ぎません。検査はあくまでも診断の補助のために行い、実際の医療現場では、症状や家族・職場での流行状況などを総合的に判断し、検査結果に関わらずインフルエンザとして治療を行うこともあります。
医療機関を受診した際、風邪やインフルエンザには効果がないにもかかわらず、抗生物質が処方されることがあります。しかし、不必要な抗生物質の使用は、薬が効きにくい“耐性菌”を増やしてしまう原因に。免疫力が弱い乳幼児や高齢者、免疫抑制剤を服用している人にとっては深刻な問題です。信頼できる医療機関を選ぶことも欠かせません。
感染症シーズンを乗り切る、免疫対策のポイント
ワクチン接種に加えて、必要なときにしっかり免疫システムが働く状態を保つことも、感染症予防の大切なポイントです。免疫力を支える睡眠・運動・食事を見直し、日々の生活習慣を整えることで感染症にかかりにくい体質に変えていくこともできますよ。
睡眠時間の量と質を見直す

睡眠時間が不足すると、慢性的な疲労や炎症を引き起こし、免疫機能が低下しやすくなります。朝は明るい光を浴びて体内時計をリセットし、夜はぬるめのお風呂でゆっくりリラックスしましょう。規則正しい生活を心がけることが、質の良い睡眠につながり、健康的な免疫維持にも役立ちます。
スタスタ歩きやHIIT、運動を取り入れる

免疫システムを健康に保つには、軽く息が上がり心拍数が少し早くなる程度の運動を、週に合計150分行うのが理想です。ただし、10~20分でも効果はあります。通勤時に少し早歩きしたり、家でHIIT(高強度インターバルトレーニング)を取り入れるのもおすすめ。血流が良くなることで、免疫細胞が活性化させ、炎症を抑える効果も期待できます。
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たんぱく質やタウリンなどの栄養をチャージ

たんぱく質やタウリンなど、免疫対策で意識したい栄養素を日常の食事に取り入れましょう。また、血糖値が高い状態が続くと免疫細胞の働きが低下し感染症にかかりやすくなることが分かっているので、血糖値のコントロールも、免疫力を守るためのポイントです。
・たんぱく質:たんぱく質は体内で分解され、新しい免疫細胞や抗体の材料として使われます。1日の摂取目安は体重1kgあたり1g。1日3食に分けてバランスよく摂りましょう。
・タウリン:アミノ酸の一種である「タウリン」は、免疫力の低下や加齢による健康リスクを防ぎます。イカ、牡蠣などの魚介類に多く含まれています。
・ビタミンB群・ビタミンD:白血球の生成をサポートする「ビタミンB群」と、骨や筋肉の健康だけでなく免疫の調整にも関わる「ビタミンD」は不足しないよう意識したい栄養素。ビタミンDは日光浴のほか、鮭やきのこ類、卵などの食品からも摂取できます。
【コラム】気になる、感染症トピックスを医師がチェック!
トピックスその1
最近の研究・調査で、歯みがき行動によって唾液のインフルエンザウイルスを不活化する力が高まることが明らかになりました。ウイルスの感染経路のひとつである口。毎日の丁寧な歯みがきで口腔内を清潔に保つことが、感染症予防にもつながります。さらに、ウイルス不活化能をもつさまざまな成分を含む唾液による口腔環境の維持は、歯周病や心疾患、糖尿病、認知症など全身疾患の予防にもつながります。
トピックスその2
紅茶ポリフェノールは、インフルエンザウイルスやコロナウイルスに対する効果が報告されています。マウス実験では生存率が100%保たれ、コロナウイルス研究でもウイルスを不活化する作用が確認されました。ただし、ワクチンほどの予防効果は期待できません。また、紅茶の飲みすぎは尿路結石やカフェインによる睡眠不足の原因になることもあるため、楽しむ程度にとどめるようにしましょう。
旅行先でもマスク・手洗い・咳エチケットを強化

年末年始の旅行は楽しみですが、感染症対策も忘れずに。人混みではマスクを着用すると呼吸器感染症を約3割予防できます。アルコール消毒だけでは不十分なので、石鹸での手洗いを徹底し、ウイルスを物理的に洗い落としましょう。手洗いは風邪の予防にもなり、約15%の効果が期待できます。また、咳は手のひらではなく、袖で口元を覆うことを意識しましょう。正しい手洗いや咳エチケットを改めて意識することが、免疫力アップにつながりますよ。
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