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バナナ

万能食材!? 生活を支える東アフリカのバナナ|岡崎優子さん アフリカ的健康生活のすすめ2

西荻窪でアフリカ雑貨店を営む岡崎優子さん。仕事や遊びで訪れて見聞きした現地の健康法を連載でお届けします。第2回は東アフリカでよく食される、バナナにまつわるエピソード!

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栽培の手間いらず!? 自生も多いバナナ畑

バナナ

バナナが日本に初めて輸入されたのは、日清戦争後の1903年。その後、1963年に輸入が自由化されるまで、バナナは希少品かつ憧れの果物でした。それが今やひと房100~200円!身近な果物となりました。

アフリカにとってもバナナは日常生活に欠かせない存在。その歴史は古く、紀元前に遡ります。それこそ実を食べる以外にも、茎や葉などを乾燥させて繊維状にし、カゴやバッグなどの工芸品も作られてきました。

さらには日本をはじめとした先進国の援助もあり、紙や繊布を製造するシステムの開発も進められています。

近年、日本でもバナナは栽培、出荷されるようになりましたが、なかなか育ちにくく、ほぼ輸入に頼っているのが実情。一方、アフリカでは「何の手入れをしなくても育つ」と、自生のものも多く、「怠け者の味方」と、ケニアの友人は嬉しそうにバナナ愛を語ってくれました。

バナナの皮で作った工芸品
バナナの皮で作られた工芸品は、筆者が経営するアフリカ雑貨店「HAPA HAPA」でも大人気。

ウガンダではバナナが主食

しかも、果物として食す生食用以外に料理用のバナナがあり、東アフリカではこれらを使った料理を「マトケ」と呼んでいます。特にウガンダでは主食とされ、「ごはん」が米飯と食事を表わす言葉である日本と同じく、「マトケ」は食べ物全般を表す言葉として使われます。

ウガンダを旅していると、青々した料理用バナナの房を山のように積んだトラックや自転車をたくさん目にします。1本30センチくらいありそうな、見るからに固そうなバナナで、匂いも青臭く、果物というよりは野菜。皮も包丁がなければ剥けません。

調理法は蒸したり、煮たり、揚げたりとさまざま。果物のバナナと違って甘さはなく、食感はジャガイモに似ています。

その摂取量はかなりのもので、ウガンダの人の体の半分以上がバナナでできているんじゃないかと思うほど。実際、料理用バナナは生食用よりデンプン、繊維質、ビタミンAなどが豊富に含まれているそうで、育ち盛りの子どもを抱えた家庭にとっては、ありがたい食材の一つです。

バナナの山積み
料理用のバナナが大量に山積みされたバイク。畑から市場や家庭に運ばれます。

イスラム教徒も飲酒が許された「バナナ・ビール」

もちろん、生食用バナナもそのまま食べますが、発酵させ、アルコール飲料として飲む習慣もあります。これはウガンダに限らず、ケニア、タンザニア、ルワンダなど、東アフリカ全般にわたって。その呼び方は各国・各部族それぞれですが、「バナナ・ビール」「バナナ・ワイン」と称して、外国人の私たちに勧めてくれます。

主に儀式や客人の接待用に造られているそうで、アルコールの飲酒が禁じられているイスラム教徒の村でも、このバナナ・ビールだけは例外とされていました(厳密にはココナツ、ハチミツで造られたアルコール飲料もOK)。

一般家庭での造り方はいたって簡単。まず、熟したバナナをていねいに手ですり潰し、プラスチックのバケツに放り込み放置します。すると2~3時間で糖分が炭酸ガスとアルコールに分解され、自然に発酵が進みます。その後、鍋に移し、弱火で数時間煮込み、どろどろになったバナナを布で絞ります。これに布を被せ、さらに2~3日発酵させれば、微発砲のバナナ・ビールの出来上がり。

商用に低温殺菌され、瓶詰めされたものも売られていますが、小さな村ではプラスチックのポリタンクに入ったバナナ・ビールをコップ売りしてもいました。

死体も腐らない!? バナナの葉の効用

実だけでなく、葉も利用価値が高く、ウガンダでは食用バナナを包み、蒸しているのをよく見かけました。インドやスリランカでは、バナナの葉に食べ物を盛り付け、食器として使う正餐もあります。

バナナの葉には殺菌効果があるからなのでしょう。ケニアの海岸地方で会った、民間医療を行うウィッチ・ドクターはバナナの葉を使って患者の傷口を消毒していました。

バナナの葉を食器に
バナナの葉は殺菌効果抜群。インドやスリランカでは食器として使われます。

いちばん驚いたのはケニアの小さな村で、亡くなった人をバナナの葉でくるんでいたこと。身内の人が出稼ぎに行っていてすぐに帰れないことから、数日間、家族親族が集まるのを待っていました。

なんでもバナナの葉にくるんでおくと、死体は腐らないのだそう。亡くなったときの状態を保つことができるのだと言います。恐るべきその効能! バナナはまさにアフリカの人々をいろんなシーンで助けてくれる、救世主的存在と言えるでしょう。

興味深いウィッチ・ドクターや葬式の話は、また別の機会に。

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