浅い眠り、中途覚醒などの不眠対策|気象病ドクター久手堅司先生の連載
気象病ドクター・久手堅司先生による連載。寒さと乾燥で眠りが浅く、夜中に目が覚めやすい冬の時期。睡眠の質を底上げするコツを紹介します。薬に頼らず自然に熟睡できるようになりますよ!
目次
寒さと空気の乾燥が、睡眠トラブルの引き金に

冬は気圧の変動が少なく、比較的安定した天候が続きます。しかし、気温の低下と空気の乾燥が進むことで、眠りのトラブルを招くことがあります。睡眠の質が悪くなると、疲れがとれにくく、だるさなどの不調を引き起こすことも。
手足や体が冷え、自律神経による体温調節がうまく働かず、深い眠りに入りにくく、中途覚醒が起こりやすくなります。また、寝ている間に空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が乾き、鼻詰まりや口呼吸が起こりやすくなるため、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠中の口内の乾燥や風邪、のどの炎症にもつながります。
気象病による睡眠の乱れは「不眠」や「過眠」になることも
気温や湿度に敏感で体調が変わりやすい人は、気象病になりやすい傾向があります。そして、気象病で自律神経のバランスが乱れていると、眠りのリズムも影響を受けます。
人によっては寝つきが悪くなり、夜中に目が覚めやすくなる「不眠」のパターンになることもあれば、逆に低血圧などで体のスイッチが入りにくいと、朝起きられず、日中も眠気が抜けない「過眠」のパターンになることもあります。
眠れない人はスマホの使用にも注意

近年は、寝る前のスマホの使用で、覚醒を促す交感神経が活発になり、眠りにつけない人も増えています。気象病は、気圧や気温、湿度などの天気の変化が体に影響を与えて起こる症状の一部なので、スマホを使っているかどうかにかかわらず、気象病で不眠や体調不良を起こす人もいます。
一方で、スマホの使用も自律神経と睡眠のバランスを乱す要因になります。スマホは目や首、肩に負担をかけるだけでなく、ブルーライトの刺激やSNSでの承認欲求などが絡み、心と脳が休まりにくく、睡眠の質に影響を与えることがあります。
スマホの使用と運動不足により冷えと不眠が常習化
寒さや乾燥、スマホの使用などで自律神経が乱れることで、体の冷えが慢性化しやすくなります。さらに、運動量の減少による血行不良が重なると、寝つきの悪さが続くケースも少なくありません。

【実録】生活習慣と睡眠リズムを整えて、眠れる体に
冬の時期に睡眠トラブルで受診した40代の女性。強い冷えに加え、寝つけない日が続くことで悩んでいました。原因は精神的ストレスではなく、スマホの長時間使用や運動不足、リモートワークで日光を浴びる時間が少ないといった、生活習慣の乱れにありました。
対策として、まずは寝る2時間前からのスマホ使用を控えること、午前中にしっかり光を浴びてセロトニンを増やし、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を促すことを実践、そして、バランスのよい食事を心がけるなど、生活習慣を見直した結果、徐々に寝つきが改善していきました。
朝までぐっすり!3つの快眠ポイント
心身の回復を促す睡眠は体調管理のためにとっても大事。日頃から以下のポイントを意識することで、自分の睡眠パターンや体調の変化に気づきやすくなり、より快適な眠りを目指せます。

(1)眠りはじめの90分の質を大切に
眠りについてからの90分は睡眠のゴールデンタイムとされ、この90分でいかに深く眠るかが、睡眠の質を高めるために大切。しかし、交感神経が優位な状態で入眠すると、せっかくのゴールデンタイムが浅い眠りになってしまいます。寝る前はスマホの使用を控え、寝室の温度・湿度、明るさ、寝具、パジャマなど、寝る環境を整えて睡眠を妨げるもの見直しましょう。
(2)睡眠時間の目安は6時間ほどで十分
睡眠の質が低下すると、いくら寝ても疲れがとれない…と感じることがあります。一般的に言われている7~8時間にこだわらず、6時間ほど眠れて朝に不調がなければ、十分に睡眠がとれていると考えて問題ありません。大切なのは「何時間寝ないといけない」と、あまりハードルを高く設定しすぎないこと。質のよい眠りを目指すことがポイントです。
(3)「疲れはとれているか」起床時の体調をチェック
朝起きたときには、「昨日の疲れはとれているか」「しっかり寝た実感があるか」「日中に眠気やだるさを感じていないか」の3つをチェックしてみましょう。たとえば、疲れが残っている場合は、睡眠の質が低下しているサイン。起床時の体調を確認するとこで睡眠の状態を把握しやすくなり、自然と睡眠習慣を見直す意識も高まります。
薬に頼りすぎず、根本から整える睡眠ケアが大切

睡眠障害があると、つい薬に頼りたくなりますが、自己判断での使用は避け、どうしても眠れない日が続く場合は医療機関に相談しましょう。依存性の少ない薬や治療法を選択し、日々の生活習慣を見直して良く眠れるようになれば、自律神経も安定し、気象病に負けない体も手に入りますよ。
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