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荘子先生サムネ

乳がんの女性たちの我慢やつらさを楽にしたい思いで|名医図鑑#11

京都府の「ソウクリニック四条烏丸」は、乳腺外来を中心に幅広い診療科を備えたクリニックです。「病気になっても自分らしさや、やりたいことはあきらめなくていい」と話す院長の荘子万理先生に、目指す医療の形をおうかがいしました。(取材日 2025年9月3日)

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女性を診る診療科に憧れて|荘子万理先生

荘子万理先生
荘子万理先生:帝京大学医学部を卒業後、京都府立医科大学で初期研修・後期研修を行い、京都府立医科大学内分泌乳腺外科に入局。京都駅前婦人乳腺外科まりこクリニック勤務を経て、2023年にソウクリニック四条烏丸を開業。乳がん検診や良性疾患のフォロー、美容診療など、患者さんの悩みに寄り添った医療を提供している。

乳腺外科医を目指したきっかけは?

研修医時代にさまざまな診療科に触れ、「女性を診たい」という思いが強くなりました。そのなかでも乳腺外科は乳がん患者さんの増加に伴って研究が進み、学問的にも非常にやりがいのある分野だと感じたんです。

乳腺外科ではどのような症状を扱うのでしょうか

乳がんをはじめ、乳房に生じる病気を専門的に診る科です。しこりや炎症がある=乳がんというわけではなく、子宮筋腫や子宮内膜症のような良性の疾患が乳腺に現れることも少なくありません。そのため、実際には「心配ありませんよ」とお伝えする場面も多いですね。

卒業後のキャリアは?

乳腺外科の医局に入り、そこからはほぼ乳腺外科1本です。大学病院などには乳腺外科がありますが、地域の中核病院では外科の一部として扱われることも多いんです。そのため、乳腺関連の疾患を診つつ、他の外科疾患も幅広く担当していました。

乳腺外科医として一番大変なことは?

告知は今でも慣れることがありません。特に再発となると「これからずっと治療が続くかもしれない」という現実をお伝えしなければならないので、できるだけ患者さんの気持ちに寄り添えるよう、慎重に言葉を選んでいます。乳がん患者さんは40~60代の方が多く、家庭や社会の中で大きな役割を担っている世代です。そのため家族の前では涙を見せられず、自分を抑えて周りのためにがんばらざるを得ない状況があるように感じます。医師の前では気丈に振る舞われる患者さんも多いので、別室で看護師が付き添い、素直に気持ちを吐き出せるよう工夫しています。

患者さんにとっての「駆け込み寺」に

ソウクリニック

開業のきっかけを教えてください

勤務医としてキャリアを積んでいくつもりだったのですが、起業家の弟からの提案で生まれ育った京都に開業することになりました。理想とする医療を実現できる一方で、経営者としてやるべきことが多すぎて心が折れそうになった時期もありました。けれども3年目に入って「すべてを自分で抱え込まなくていい」と考え方が変わったんです。スタッフに任せることでチーム全体の力が高まり、私は新しい挑戦に時間を使えるようになりました。今は本当にいいチームになってきたと実感しています。

クリニックの特色は?

患者さんにとって「駆け込み寺」のような存在を目指しています。乳腺外科と親和性の高い婦人科をはじめ、内科・外科・泌尿器科・美容皮膚科など幅広い診療科を設け、「何科に行けばいいのか分からない」と迷ったときに、まず相談できる場でありたいと考えています。さらにメンズヘルス科も備えているので、男女を問わず、幅広い方々に利用していただきたいですね。

診察で大切にしていることは?

患者の「一番大きな悩みの解決」を重視しています。特に意識しているのは「大丈夫ですよ」という言葉をできるだけ早くお伝えることです。たとえば乳がん検診でマンモグラフィーの結果を説明するときに、いきなり「右の胸は〜」と説明に入られると、不安が募ってしまいますよね。最初に「大丈夫でした!」と伝えるだけで、患者さんの気持ちはぐっと和らぐと思うんです。

病気になってもあきらめなくていい

荘子万理先生

特に記憶に残っている患者さんは?

勤務医時代に担当した40代の乳がん患者さんです。緩和ケアを受けていた方で、骨転移があって骨がボロボロの状態でしたが「最期にどうしても嵐のコンサートに行きたい」とおっしゃって。そこで、なんとか行かせてあげられるよう私たちチームで作戦を練り、ご家族やご友人のサポートもあって実現することができました。病気になったからといって何もできなくなるわけではありません。治療を続けながらでも、自分らしさを保ち、やりたいことを叶えることはできる。その経験を通して、患者さんの選択肢を少しでも増やせるようにという思いが、より強くなりました。

今後の展望は?

エビデンスに基づいた「真面目な自由診療」の提供に注力していきたいですね。たとえば保険適応外のピルや整腸剤でも、本当に患者さんに必要なものであれば、きちんと精査したうえで提供していきたいと考えています。また、自費の美容皮膚科も行っており、その中でもとくに力を入れているのが「アピアランスケア」です。抗がん剤治療による副作用で髪や眉毛が抜けるなど、外見の変化に対して行うケアのことで、医療アートメイクの資格を持つ看護師が中心となり、患者さんの外見をサポートする取り組みを進めています。

自身のセルフケア法を教えてください

週1回のパーソナルトレーニングやウォーキングなどの運動を取り入れています。また、書く瞑想といわれる「ジャーナリング」で頭の中を整理し、思考をリセットする時間も大切にしています。

ソウクリニック四条烏丸|荘子万理先生

ソウクリニック四条烏丸

ソウクリニック四条烏丸
京都市下京区童侍者町161 丸全ビル2階・3階
アクセス:阪急烏丸駅/地下鉄四条駅より徒歩1分
TEL:050-3642-1031
診察時間:9:30~13:00、13:00~17:00
日祝休、木曜は19:00まで診療
https://sou.clinic/

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