
気力を吸い取る“エナジーバンパイア”とは?特徴・対処法チェック
エナジーバンパイアとは、周りの人の元気やエネルギーを吸い取ってしまう人のこと。接しているといつの間にか心が消耗し、心身の不調につながる場合があります。特徴や、影響から身を守るための方法を紹介します。
目次
エナジーバンパイアってどんな人?

「この人と会うとなんだか疲れる」「気分が落ち込む気がする」と感じることはありませんか? もしかしたら、それは「エナジーバンパイア(エネルギーバンパイア)」と呼ばれる人が近くにいるサインかもしれません。
エナジーバンパイアとは、まるで吸血鬼のように他人の気力やエネルギーを吸い取ってしまう人を意味する言葉。こうした人たちと一緒にいると、心が疲弊したり、感情的に消耗したりすると言われています。
心理学用語や精神医学の診断名ではないため、正式な定義はありません。スピリチュアル用語から派生した俗称として使われており、男女ともに見られます。
ただし、エナジーバンパイアとみなされる人の大半は、意図的にそうしているわけではありません。本人は無自覚のうちに相手を疲れさせているケースが多いものです。彼ら自身もストレスや不安を抱えているため、他者に依存し、エネルギーを吸収するような言動をとることで、自分を満たそうとしていることもあります。
なかには甘え方がわからず、コミュニケーションが苦手だからこそ、周囲の人から距離を取られて孤立しやすくなる人も。すると、ますますバンパイア的な行動が強まってしまうこともあるのです。
そうは言っても、「一緒にいるだけで疲れる」と感じる相手と過ごしているとストレスが溜まるもの。消耗する前に離れるなど、早めに対処することが大切です。
エナジーバンパイアの特徴
エナジーバンパイアとみなされる人には、いくつかの特徴やタイプがあります。まずは、エナジーバンパイアの性質を確認していきましょう。
ネガティブなことを言ってくる

エナジーバンパイアは、常にネガティブな発言を繰り返す傾向があります。何事に対しても「無理だよ」「難しいよ」といった批判的な反応を示しやすいほか、話していると、愚痴や不平不満がたくさん飛び出し、聞いている側は気分が落ち込みやすくなります。「どうせ~」という発言が多いのも特徴の1つと言えるでしょう。
当人は、不安やストレスを周囲に伝えて“心のガス抜き”をしているつもりかもしれません。しかし、こうした発言を聞きすぎると、聞き手側のポジティブな気持ちや行動力が奪われていきます。場合によっては「こちらがサポートしなければ」というプレッシャーにより、精神的な負担がかかることにもつながってしまいます。

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周りの人を見下している

周囲の人を見下して欠点を指摘したり、馬鹿にしたりといった言動もが多いのも、エナジーバンパイアと呼ばれる人の特徴の1つです。1対1で話しているときだけでなく、多くの人がいる場でこうした言動を繰り返すことも珍しくありません。
ささいなことを指摘したり、ダメ出しをしたりすることで、自身の劣等感を隠し、相手よりも自分が優れていることを示そうとする防衛反応の可能性があります。聞かされる側にとっては「エネルギーを吸い取られている」ように感じることでしょう。
わざといやがることをする
エナジーバンパイアとみなされる人は、相手がいやがることを行いがち。本人に悪気がない場合もあれば、意図的に繰り返してしまう場合もあります。相手が困惑する様子を見て、無意識のうちに自身の影響力を確認している可能性があると考えられるでしょう。
例として、大勢の前で誰かをからかったり、プライベートな秘密をわざと暴露したりいった行動が挙げられます。こうした言動は「相手を尊重していない」というサインに感じられることがあり、一緒にいる人を精神的に疲弊させてしまいます。
執着・依存をしてくる

特定の人に対して過剰に執着し、感情的に依存する傾向が見られるのは、エナジーバンパイアの特徴の1つ。しつこいまでに相談を持ちかけてきたり、一方的な要求を繰り返したりといった言動を繰り返すことがあります。そして、相手が距離を取ろうとすると「私はあなたしか頼れないのに」と感情的な支えを求め、罪悪感で相手を縛り付けようとするケースも見られます。
自己肯定感の低さのほか、幼少期の愛情不足、自己愛や承認欲求によるものなど、さまざまな心理的要因が関連していることも。しかし、一度でも過度な要求に答えてしまうと、「この人なら何をしても良い」と思われ、エスカレートさせることにつながりかねません。次第に自由やプライバシーが侵害され、精神的な負担がつのることもあるのです。
被害者意識が強い
エナジーバンパイアは、強い被害者意識を持っている傾向が見られます。何か問題が起きたときや、うまくいかない状況に直面したときに、自分の非を認めず、周囲の人や環境に責任を押し付けようとする傾向があります。
エナジーバンパイアにとって、自分は基本的に「かわいそうな存在」。悲劇のヒロインを演じることで、周りからの同情や関心を集めようとすることがあります。
たとえば、「私がこんな目に遭うのは、あの人のせいだ」「誰も私を理解してくれない」といった言葉を繰り返し、周りの人に気を遣わせたり、助けを求めたりします。繰り返していると、助けようとした側は精神的に消耗し、疲れてしまうのです。
他人から同情や関心を引くことで、一時的に自分を満たそうとする心理が働いていると考えられます。
支配しようとする

エナジーバンパイアの中には、他人を思い通りに支配しようとする特徴を持つ人もいます。相手をコントロールして振り回すことで、自分自身の満足感や優位性を得ようとすることから、こうした行動をとると考えられます。
自分の考えや行動が「絶対に正しい」と強く信じている傾向があるため、他人の話を無視し、一方的に価値観を押し付けてくることも。こうした支配的な態度は、相手に精神的なプレッシャーを与え、最終的には心身を疲弊させてしまいます。
自分の非を認めず正当化する
エナジーバンパイアはプライドが高く、何事においても自分の非を認めない特徴があります。たとえ自分が明らかに間違っていたとしても、「私は悪くない」として、あらゆる手段で自分の意見や行動を押し通そうするのです。
自分の過ちを認めることは、自己肯定感を揺るがすおそれがあるため、なんとかしてそれを避けようとしていると考えられます。
こうした態度は周囲に不満や不快感を与え、消耗させることにつながります。
あなたは大丈夫? 「エナジーバンパイア」チェック

もしかしたら、あなたの周りにも「エナジーバンパイア」がいるかもしれません。あるいは、自身が意図せず他人のエネルギーを奪ってしまっている可能性もゼロではありません。
以下のチェックリストで、周りの人や、自身の言動を振り返ってみましょう。もし当てはまる項目が多いと感じたら、要注意です。
- 会った後、いつもどっと疲れを感じる
- 自分の話ばかりしてきて、こちらの話には興味を示さない
- 愚痴や不満、ネガティブな話題が多い
- ダメ出しや否定をしてることが多く、自信を失いがち
- 間違いを認めず、常に自分を正当化しようとしている
- 強く執着・依存されていると感じる
- “不幸アピール”が強く、同情を引こうとしている
- 関係を断ちたいのに、罪悪感があってなかなかできない
このチェックリストは、あくまで参考の1つとして活用してください。もし多くの項目に当てはまる場合、その相手との付き合い方を見直したり、自身の行動を振り返ったりするきっかけにすると◎。自分自身の心を最優先にすることが、何よりも重要です。
エナジーバンパイアへの対処法
エナジーバンパイアから自分の心と体を守るためには、具体的な対処法を知っておくことが大切。彼らとの関わり方を見直すことで、エネルギーの消耗を最小限に抑え、心地よい人間関係を築くための第1歩となるでしょう。
ここでは、効果的な“撃退法”をいくつかご紹介します。
共感せずに聞き流す

エナジーバンパイアから心を守るための最適解の1つは、相手の言葉に過度に共感せず、聞き流すことです。
エナジーバンパイアは、相手の同情や関心を引き出すことで、自身の感情を満たそうとします。一方、ネガティブな発言を真剣に受け止めすぎたり、感情移入しすぎたりすると、聞き手は反対にどんどん消耗していくものです。
相手の話をすべて真に受ける必要はありません。また、話の内容に同意できないときも、わざわざ否定せずOK。表面的に「そうなんですね」と軽い相槌を打つ程度にとどめ、深入りしないように心がけましょう。
自分自身に向けて、心の中で「私は影響を受けません」と宣言するのもおすすめ。ネガティブな感情は伝播しやすいので、適度な距離感を保つことが大切です。

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「線引き」をして距離を置く
執着・依存してくるエナジーバンパイアに対しては、物理的・精神的な「線引き」をすることも重要。
まずは必要以上の連絡を控える、会う頻度を減らすなど、物理的な距離を作るよう努めましょう。職場の同僚や家族など、関係を断ち切ることが難しい場合は、必要な会話だけにとどめ、プライベートな話や雑談は控えるなど、精神的に離れることが有効です。
頻繁にやり取りをしていた相手と距離を置くことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、そうしたコミュニケーションに疲弊しているのであれば、自分の心を守ることを最優先に考えてOK。「私は私」という境界線を明確にすれば、精神的な余裕が生まれ、ストレスも軽減されるでしょう。
いやなことにははっきり「NO」と言う

いやなことや理不尽な要求に対して「NO」と伝える勇気も、エナジーバンパイアへの対策として必要なことです。
エナジーバンパイアは、相手がいやがると分かっていながら、意図的または無意識にその行動を繰り返してしまうもの。あいまいな態度を取ったり、我慢して受け入れたりすると、彼らは「この人なら何を言っても大丈夫」と判断し、エスカレートするおそれもあります。
感情的にならず、冷静に意思表示をすることが有効。「それはできません」など、シンプルな言葉で構いません。遠回しに伝えようとしたり、断る理由を詳しく説明しすぎたりすると、かえって付け入る隙を与えかねないので、簡潔に伝えるのがポイントです。
一度はっきり「いやだ」と伝えることで、相手はあなたの境界線を理解し、それ以上踏み込まなくなることがあります。健全な人間関係を築くためにも、いやなことにはしっかりと意思表示をするよう心がけてみて。
周囲のエナジーバンパイアとどう付き合う?
エナジーバンパイアが身近にいると、日々の生活に大きなストレスを感じがち。特に、職場や家族など、縁を切ることが難しい場合は、どのように向き合えば良いのでしょうか。
影響を最小限に抑え、自分の心を守りながら付き合うためのコツを解説します。
職場の場合

職場では、エナジーバンパイアから離れるのは難しい場合があります。こうした状況では、自分の身を守るための工夫がさらに重要になります。
まず、業務上必要な会話だけに限定し、雑談は極力控えること。エナジーバンパイアは、噂話やプライベートな話が好きな傾向があります。しかし、気を許して私的な話をしてしまうと、どんどん踏み込まれてしまう一方です。あくまで「職場の同僚」として、必要以上に関わらないよう意識しましょう。
また、ネガティブなことを言われたときには、感情を動かさずに聞き流すことが大切です。「そうなんですね」「大変ですね」といった軽い相槌にとどめ、共感しすぎないように注意してください。
心の中での線引きをしっかり行うことが、エネルギーを奪われないための鍵となります。もし可能なら、上司や信頼できる同僚に相談して状況を共有するのも一手です。環境を変えることが難しい場合でも、自分の意識と行動を変えれば、消耗せずにすむ方法を探ることができます。
友人や家族への対処
友人や家族、恋人などにエナジーバンパイアがいる場合も、慎重な対処が必要になります。
特に母親や配偶者など、相手が密接な関係の場合、気づかないうちにあなたの方から“エネルギーを差し出している”ケースも少なくありません。
まず大切なのは、相手の感情や言動に引きずられないこと。過度に同情したり、感情移入したりしないよう意識し、いやなことには「NO」を伝えましょう。共感せずに聞き流す姿勢は、友達や家族に対しても有効です。
家族の場合、完全に避けるのは難しいものの、意識的に自分だけの空間や時間を持つことが心身をいたわることに直結します。自室にこもる時間を作る、趣味の時間を充実させるなど、リラックスできるタイミングを見つけてみて。
どうしても一緒にいるだけで消耗してしまうなら、身近な人であっても、付き合い方や距離感を見直すことを視野に入れて良いかもしれません。
もし「自分はエナジーバンパイアかも?」と思ったら

ここまで紹介してきた特徴や対処法を見て、もしかしたら、「私もエナジーバンパイアの要素があるのかも?」と感じた人がいるもしれません。
実は、エナジーバンパイアとされる人の多くは、自身が他者に悪影響を及ぼしているとは気付いていないもの。「そうかもしれない」と自覚するのは決して悪いことではなく、より良い人間関係を築くための第一歩となります。
自身の心に目を向ける
もし自分の言動に当てはまる部分があると感じたなら、まずは心の状態に目を向けてみて。「満たされていない」と感じる原因は何でしょうか。ストレスや不安を抱えていないか、自分のエネルギーが不足していないか、立ち止まって考える機会を設けてみましょう。
親しい友人に状況を話してみるなど、信頼できる人に相談して客観的な意見をもらうことも、自身の状態を把握する助けとなります。
リラックスする時間を持つ

ストレスの原因を探るのと同時に、自分の心を満たし、ポジティブな状態を作り出すことを意識してみましょう。ゆっくりお風呂につかって体を温めたり、好きな音楽を聴いたり、前向きな気持ちになれる本や映画に触れてみたりするのも良い方法です。 アロマをたいてリラックスできる空間を作るのも、心の安定に役立ちます。
人の性格は、意識次第で変えられるもの。あなた自身がご機嫌で満たされた状態になれれば、周囲との関係もより穏やかで良好なものへと変化していくはずです。
エナジーバンパイアに負けず、“自分”をしっかり持って

エナジーバンパイアとは、他者の気力やエネルギーを無意識のうちに吸い取り、周囲を精神的に疲れさせてしまう人を指す言葉。こうした人たちと接していると、知らず知らずのうちに心身が消耗し、心身の不調につながることも考えられます。
もし、あなたの周りにエナジーバンパイアがいると感じたら、共感せずに聞き流す、物理的・精神的な線引きをして距離を置く、そしていやなことにははっきりと「NO」と伝えることが大切。職場や家族など、関係を完全に断ち切ることが難しい場合も、工夫次第で自身の心身を穏やかに保つことができます。
加えて、もし「私もそうかも?」と感じたならば、ストレスや不安の原因を探り、自分自身の心を満たす行動を意識することが大切です。
心と体を守り、心地よい人間関係を築くために、ぜひこの記事で紹介した対処法を参考にしてみてください。
[ 監修者 ]