
「コーヒーを飲まない方がいい人」とは? 体質・症状別に詳しく解説!
「毎日のコーヒーが欠かせない」という人は多いですよね。コーヒーにはリラックスなどの効果がありますが、体質や体調によっては控えた方がよい場合も。コーヒーを飲まない方がいい人の特徴や症状を解説します。
目次
コーヒーが体に与える影響
コーヒーは、実は私たちの体にさまざまな影響を与えています。香りや味を楽しむだけでなく、成分や作用を知ることで、もっと自分に合った飲み方が見えてくるかもしれません。メリットとデメリットの両方を理解して、自分にとって心地良いコーヒーとの付き合い方を見つけてみませんか?
コーヒーの主な成分

コーヒーには、「カフェイン」をはじめ、「クロロゲン酸」や「タンニン」といった成分が含まれています。
カフェインはよく知られているように、私たちの眠気を覚まし、集中力を高めるのを助けてくれる成分です。
クロロゲン酸やタンニンはポリフェノールの一種で、体の酸化を防ぐ抗酸化作用が期待されており、クロロゲン酸には食後血糖値の上昇を抑える働きも示唆されています。これらの成分が組み合わさることで、コーヒーならではの風味や、体へのさまざまな働きが生まれるのです。
健康への良い影響

コーヒーを習慣的に適量飲むことは、健康に良い影響をもたらす可能性があるとする研究結果があります。たとえば、国立がん研究センターの調査では、コーヒーが肝臓がんや子宮体がんの予防に役立つ可能性が示されています。(※1・2)
また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には、体内の炎症を抑えたり酸化を防いだりする抗酸化作用があると考えられています。さらに、適度なコーヒー摂取は心臓病・脳卒中・糖尿病のリスクを低減する可能性も指摘されています。
加えて、コーヒーの香りをかぐことで脳からα波が増加し、リラックス効果が得られることもわかっています。
※1 コーヒー・緑茶摂取と肝がんとの関連について
※2 コーヒーと子宮体がんの発生率との関係について
健康への悪影響

一方で、コーヒーの飲み過ぎは体に負担をかけることもあります。コーヒーに含まれるカフェインには覚醒作用がありますが、過剰に摂取すると神経が過敏になったり、イライラや不安感を引き起こしたりするケースがあります。
また、胃酸の分泌を促す作用もあるため、胃が敏感な人や空腹時に飲んだ場合は、胃の不快感や胃痛につながることもあります。
さらに、コーヒーに含まれるタンニンは鉄分の吸収を妨げる働きがあるため、貧血気味の人は注意が必要です。体を冷やしやすいという側面もあるため、冷えを感じやすい人は量を調節すると良いでしょう。

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コーヒー摂取を控えるべき人とは
コーヒーは多くの人に楽しまれていますが、体質や体の状態によっては飲むのを控えた方が良い場合があります。自分の体の声に耳を傾けながら、無理のない範囲でコーヒーを取り入れていくことが大切です。
カフェインが体に合わない体質の人

カフェインが体に合わない場合、コーヒーを飲むと、さまざまな不快な症状があらわれることがあります。たとえば、心臓がドキドキするような動悸を感じるほか、吐き気・嘔吐・下痢などの胃腸の不調が起こることがあります。
また、イライラしやすくなる、理由のない不安を感じる、夜なかなか眠れなくなるなど、精神面や睡眠への影響が出ることもあります。中には、手足のしびれを感じる人もいるようです。
これらの症状は、体がカフェインをうまく処理できていないサインかもしれません。思い当たる症状がある場合は、コーヒーの摂取量を減らすか、一時的にやめて様子をみることをおすすめします。
胃腸に不調を抱える人
胃の調子が良くない人、特に胃炎や逆流性食道炎と診断されている人は、コーヒーを飲む際に注意が必要です。コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの成分が胃酸の分泌を促進し、胃の粘膜を刺激することがあるためです。
その結果、胃のむかつきや痛みが悪化する可能性があります。もし、コーヒーを飲んだ後に胃に不快感が出るようであれば、量を減らす、食後に飲む、ミルクを加えて刺激をやわらげるなどの工夫をするとよいでしょう。カフェインレスコーヒーに切り替えるのも、ひとつの選択肢です。
鉄分不足・貧血の傾向がある人

貧血気味の人、特に女性に多い鉄欠乏性貧血の人は、コーヒーの摂取に注意が必要です。これは、コーヒーに含まれるタンニンが、特に植物性食品に含まれる非ヘム鉄の吸収を妨げる可能性があるためです。
せっかく意識して鉄分を摂っても、コーヒーと一緒に飲むことでその吸収効果が半減してしまう可能性があります。
貧血の症状がある人は、コーヒーを食前・食後すぐに飲まないようにする、カフェインレスコーヒーに切り替えるなど、飲み方を変えることで影響をやわらげることができます。
睡眠に悩んでいる人

夜になかなか眠れない、眠りが浅いなど、睡眠の質に悩んでいる人は、コーヒーに含まれるカフェインが影響している可能性があります。カフェインには脳を覚醒させる働きがあるため、特に夕方以降に飲むと寝つきが悪くなることがあります。
カフェインの効果には個人差がありますが、体内での半減期は3〜7時間程度と言われています。毎日たくさんコーヒーを飲む習慣がある人や、寝る前にコーヒーを飲むことが習慣になっている人は、量を減らしたり飲む時間を調整したりすることで、睡眠の質が改善されるでしょう。
慢性的な頭痛持ちの人

慢性的に頭痛で悩んでいる人も、コーヒーの摂り方に注意が必要です。
カフェインには血管を収縮させる作用があり、これによって急性期の片頭痛では一時的に痛みがやわらぐことがあります。しかし、過剰に摂ると逆に片頭痛を悪化させたり、慢性化の原因になったりするケースも。また、長く飲み続けたあとに急にやめると「カフェイン離脱性頭痛」と呼ばれる一時的な頭痛が起こる場合もあります。
さらに、緊張型頭痛や、片頭痛と緊張型頭痛が合わさった混合型頭痛の人も、コーヒーの摂取に注意が必要です。緊張型頭痛は、首や肩の筋肉のこりや血行不良によって起こるため、血管を収縮させるカフェインが逆効果になる可能性があります。
また、混合型頭痛は両方の要素を含むため、カフェインによって症状が改善する場合もあれば、悪化することもあります。こうしたタイプの頭痛を持つ人は、自分の体調や頭痛の傾向を観察しながら、コーヒーの摂取量を調整することが大切です。
自分の頭痛タイプを理解し、カフェインの量とタイミングを調整しましょう。
体調が優れないとき

風邪を引いているときや生理前など、体調がいつもと違うと感じるときには、コーヒーの摂取を控えるのが無難です。
体が弱っている状態では、コーヒーに含まれるカフェインや酸によって、胃の不快感や吐き気を感じやすくなることがあります。また、カフェインには利尿作用があるため、体調不良時には脱水傾向となり、結果として冷えを感じやすくなる場合があります。
冷えによる不調が出やすい生理前や風邪の初期には、症状を悪化させてしまう可能性も。
体調が優れないときは、カフェインのない温かい飲み物や白湯を選んで、体を内側から優しく温めてあげることが大切です。
妊娠中または授乳中の人
カフェインは胎盤を通じて、お腹のなかの赤ちゃんに移行する可能性があるため、妊娠中は1日200mg以下のカフェイン摂取に抑えることが推奨されています(コーヒー1〜2杯程度が目安)。また、母乳を通じて授乳中の赤ちゃんにも影響することがあります。
赤ちゃんはカフェインを代謝する能力がまだ低いため、影響を受けやすいと考えられています。個人差も大きいため、気になる場合はかかりつけの医師や助産師に相談することをおすすめします。
授乳直後にカフェインを摂取し、次の授乳まで時間をあけるなど、タイミングを工夫することも有効です。カフェインレスコーヒーなどの利用も検討してみると良いでしょう。
コーヒーをやめたらどうなる?

もし「自分にはコーヒーが合わないかも」と感じてコーヒーを飲むのをやめてみたり、量を減らしてみたりした場合、体にどのような変化が起こるのでしょうか。いくつかの可能性が考えられます。
睡眠の質の向上
コーヒーをやめることで、睡眠の質が改善される可能性があります。カフェインには覚醒作用があるため、特に夕方以降に飲んでいた人は、カフェインの影響がなくなり、寝つきが良くなったり、より深く眠れるようになったりすることが期待できます。
毎日何杯もコーヒーを飲んでいた人ほど、その変化を感じやすいかもしれません。ぐっすり眠れるようになると、日中の目覚めもスッキリ感じられるでしょう。
口のケアへの良い影響

コーヒーには歯の表面に着色しやすい成分が含まれているため、日常的に飲んでいると歯の黄ばみの原因になることがあります。 そのため、飲むのをやめることで歯の黄ばみがつきにくくなり、口の中がスッキリすると感じる人もいるでしょう。
また、コーヒーには利尿作用があるため、飲み過ぎると体内の水分が不足し、口の中が乾きやすくなることがあります。コーヒーの量を減らして水や白湯など別の水分をしっかり摂るようにすると、お口の乾燥がやわらぎ、口内環境の改善につながる可能性があります。
摂取カロリーの抑制
ブラックコーヒー自体はほとんどカロリーがありませんが、砂糖やミルク、ホイップクリームを加えて飲む習慣がある人は、知らず知らずのうちに多くのカロリーを摂っている可能性があります。
特に1日に何杯も飲む人は、飲み物だけで意外と高カロリーになっていることも。
そのため、コーヒーをやめたり、飲み方を見直したりすることで、自然と摂取カロリーを減らすことができる場合があります。

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コーヒーの代替となる飲み物
コーヒーを控えることにした場合でも、ホッと一息つきたいときや、おいしい飲み物を楽しみたい瞬間はありますよね。コーヒーの代わりにカフェインを含まない、体に優しい飲み物を選んでみて。
カフェインを含まないコーヒー

「コーヒーの味や香りは好きだけど、カフェインを控えたい」という人には、カフェインレスコーヒー(デカフェ)や代替コーヒーがおすすめです。
カフェインレスコーヒーは、コーヒー豆からカフェインを90%以上除去して作られており、豆や粉、ドリップ、インスタントなどさまざまな種類があります。製法によって風味が異なるため、自分に合ったものを選べます。
代替コーヒーとは、たんぽぽやチコリ、麦などを焙煎して作られた、カフェインを含まないコーヒー風味の飲み物を指します。健康志向の人や妊娠中・授乳中、夜にカフェインを避けたい人に適しています。
ノンカフェインのお茶類

カフェインを全く含まない「ノンカフェイン」のお茶も種類が豊富です。代表的なものに麦茶、ルイボスティー、コーン茶、黒豆茶などがあります。
麦茶はミネラルを含み、香ばしい味わいで子どもでも飲みやすいのが特徴です。ルイボスティーにはポリフェノールが含まれ、リラックス効果も期待できます。コーン茶や黒豆茶は自然な甘みがあり、飲みやすいと感じる人も多いでしょう。
温かいお茶には体を温める効果もあるため、体調が優れないときやリラックスしたいときにもおすすめです。
無糖の炭酸飲料
気分をリフレッシュしたいときには、無糖の炭酸飲料も良い選択肢です。糖分が含まれていないため、カロリーを気にせず楽しめます。さまざまなフレーバーがあり、選ぶ楽しみもあります。
ただし、冷たい飲み物をずっと飲んでいると、体は知らず知らずのうちに冷えてきます。飲み過ぎにならないように注意して。
レモン水など

シンプルに水分補給をしたいときは、レモン水や白湯がおすすめです。レモン水はビタミンCを補給でき、爽やかな風味で気分転換にもなります。
白湯は体を内側から温めるため、リラックス効果が期待できます。これらはカフェインを含まないため、時間帯を気にせずいつでも飲めます。
体調や体質に合わせてコーヒーを楽しもう

コーヒーは多くの人に親しまれている飲み物ですが、体質によっては合わない場合もあります。カフェインへの感受性や胃腸の状態、貧血の傾向、睡眠の質など、自分の体の状態に合わせてコーヒーとの付き合い方を考えることが大切です。
もしコーヒーを飲んで体調が悪くなる場合は、無理をせずに量を減らしたり、紹介したカフェインを含まない飲み物を試したりするのも良い方法です。自分の体の声を聞きながら、心地よく過ごせる飲み物を見つけてくださいね。
[ 監修者 ]

- 天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック
- https://www.tennoji-naishikyo.com/