女性は7の倍数、男性は8の倍数。「節目年齢」で起こる体の変化とは|田中友也さん 季節の養生法
神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は、「年齢とともに起こる体の変化」がテーマ。決まった周期で訪れる男女の節目年齢と今日からできる養生を解説します。
目次
女性は7年周期、男性は8年周期で体調が変わる
東洋医学では、女性は「7の倍数」、男性は「8の倍数」の年齢で、体の変化が起こるとされています。30~50代女性なら、7の倍数の35歳・42歳・49歳で、体調の変化を感じやすくなります。
7年周期、8年周期という“節目年齢”で起こる体の変化には、五臓六腑のうち「腎」が大きく関係しています。腎は、成長、発育、生殖能力、ホルモン分泌、老化などを司り、生きていくための源になるもの。
腎には、この世に生まれた際に両親からもらった“生命力”が貯蔵され、これを「腎精(じんせい)」と言います。例えるなら、「腎」は生きるためのおおもととなるバッテリー、「精」は電気エネルギーのようなもの。
腎精が増えるとともに人は成長、成熟していき、腎精が減っていくとともに老化していきます。そして、腎精が尽きたときに、人としての幕を閉じる、というのが東洋医学の考え方です。
あまり難しく考えず、女性も男性も節目年齢になったとき、自分自身の体により一層、目を向けてほしいと思います。それでは、節目年齢でどんな変化があるのか、紹介していきます。
女性は7年周期。28歳をピークに肌老化、心身不調などが起こる

7歳:歯が生え変わり、髪がしっかりしてくる。
14歳:初潮を迎える。体が成熟し始め、妊娠が可能になる。
21歳:腎精が充実して女性の体ができあがる。背丈が伸びる。
28歳:女性として体がもっとも充実し、成熟度はピークを迎える。
35歳:エイジングサインが見え始める。シミやシワが目立ち始め、髪が抜けやすくなる。
42歳:心身ともに不調が起こり、更年期症状があらわれはじめる。白髪が目立つようになる。
49歳:生理が止まって閉経を迎え、子どもを授かることが難しくなる。
56歳:五臓六腑のうち、肝(かん)の気が衰えて、自律神経が乱れる。イライラするなど、メンタル不調が起こりやすくなる。
63歳:心(しん)の気が衰えて、息切れ、動悸、睡眠トラブル、疲労が起こりやすくなる。
70歳:脾(ひ=胃腸)の気が衰えて、食欲低下、胃腸の不調、便秘、下痢、疲労が起こりやすくなる。
77歳:70歳と同様に、食欲低下、胃腸の不調、便秘、下痢、疲労が起こりやすくなる。
84歳:肺の気が衰えて、風邪をひきやすくなり、呼吸が浅くなる。咳が増えて、免疫低下、皮膚の乾燥が起こりやすくなる。
91歳:腎の気が減り、老衰へ向かう。ホルモン分泌や免疫が落ち、泌尿器トラブルが増える。耳や骨が衰える。
男性は8年周期。40歳以降は抜け毛や疲労、性欲低下などが起こる

8歳:歯が生え変わり、髪がしっかりしてくる。
16歳:精通を迎える。
24歳:腎精が充実して男性の体ができあがる。
32歳:男性として体がもっとも充実し、成熟度はピークを迎える。筋肉も発達する。
40歳:衰えが見え始める。抜け毛や歯のトラブル、疲労感、性欲低下が起こりやすくなる。
48歳:白髪が映え始め、体が弱ってくる。疲れが抜けにくくなる。
56歳:五臓六腑のうち肝(かん)の気が衰え、生殖能力が低下。筋肉の衰え、目の疲れ、イライラなどが起こる。男性更年期症状も起こりやすくなる。
64歳:心(しん)の気が衰えて、息切れ、動悸、睡眠トラブル、疲労が起こりやすくなる。歯や髪が抜けやすくなる。
72歳:脾(ひ=胃腸)の気が衰えて、食欲低下、胃腸の不調、便秘、下痢、疲労が起こりやすくなる。
80歳:肺の気が衰えて、風邪をひきやすくなり、呼吸が浅くなる。咳が増えて、免疫低下、皮膚の乾燥が起こりやすくなる。
88歳:80歳と同様に、風邪をひきやすくなり、呼吸が浅くなる。咳が増えて、免疫低下、皮膚の乾燥が起こりやすくなる。
96歳:腎の気が減り、老衰へ向かう。ホルモン分泌や免疫が落ち、泌尿器トラブルが増える。耳や骨が衰える。
腎を補う養生で老化スピードをゆるやかに
男性も女性も、基本的な変化の流れは同じです。体の衰えは、誰にでも起こる、ごく自然なこと。ですが、老化速度が速まるか遅くなるかは、日頃の生活習慣がカギを握ります。
ポイントは、腎を補う生活を送ること。これを「補腎(ほじん)」と言います。次から紹介する補腎のポイントを生活に取り入れて、健康で過ごしていきましょう。
【補腎テク1】無理は禁物! ストレスをためない生活を
腎は、無理をし過ぎるとどんどん消耗。腎はバッテリーのようなものとお伝えしました。いくら容量の大きなバッテリーを持って生まれたとしても、使いすぎれば早く古くなります。
生まれ持ったバッテリー、いわば“生命力”を無駄遣いしないためにも、体に負担となるような生活をしないことが大事。
例えば、夜遅くまで仕事をする、睡眠時間を削って家事をするなど、ちょっとした無理が積み重なる生活はおすすめしません。時々がんばるのはすばらしいことですが、それが毎日続かないように自分をいたわりましょう。
また、腎はストレスに弱いのも特徴。職場や家庭での負担や不満、人付き合いで起こるモヤモヤなど、日常のストレスは挙げればきりがありません。ストレスを発散できる方法をいくつか持ちましょう。
【補腎テク2】睡眠で腎精を回復させる
腎精の「精」は電気エネルギーのようなもの。エネルギーは、消耗したらその分、充電が必要になります。私たちの体も同じように、日中活動したら、夜は休んでエネルギーを満タンにしなくてはなりません。
そのために重要なのが、質と量、両方がともなった睡眠です。忙しいと、睡眠時間を削ってしまいがちですが、補腎のためにはもっとも優先してほしい時間。しっかり確保して、消耗した腎精をチャージしましょう。
無理をしない生活は基本ですが、ダラダラ過ごしすぎるのも良くありません。ある程度、日中は活動することで、夜ぐっすり眠れる、という良いサイクルが生まれます。
【補腎テク3】“4首”を冷やさない生活を心がける
腎は冷えに弱いため、夏でも冬でも体を冷やさないこと。特に、太い血管のある首や手首、足首、お腹(くびれ)の“4首”は、服装を工夫して温めましょう。
マフラーやレッグ&アームウォーマー、腹巻きなどを活用して冷え対策を。特にお腹部分には、胃や腸、子宮や卵巣など、多くの内臓が集中。お腹を温めると血流もアップします。
【補腎テク4】補腎食材を食事に取り入れる
黒い食べ物や、薬膳で体を温めるとされる食べ物は、腎を補う働きがあります。補腎におすすめの食材を紹介しますので、食事にプラスしていきましょう。
補腎食材・調味料…黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、牡蠣、ナマコ、クルミ、松の実、アーモンド、クコの実、山芋、えび、ニラ、ラム肉、豚肉、キャベツ、ブルーベリー、プルーン、オイスターソースなど
【補腎テク5】腎の働きを高めるツボ「湧泉(ゆうせん)」
足の裏にある「湧泉」は、腎を助ける代表的なツボ。体には、経絡(けいらく)と呼ばれるエネルギーの通り道がありますが、湧泉は腎の経絡のスタート地点。その名の通り、気や血が“泉のように湧く”ツボです。

湧泉(ゆうせん):足の指をグッと丸めて、シワが寄ってくぼみができるところ。
押し方:両手の親指をツボに重ね、「5秒押して離す」を5回繰り返します。やや強めに押してもOK。左右の足で同様に押します。
今月の養生ポイント:ワクワクすることを見つけて長い人生を楽しむ
人と関わりながら生きていく以上、ストレスを避けて生活するのは難しいもの。ですが、いつまでも腎が衰えない人は、「自分自身がよろこぶ方法」を知っています。
シニア世代になると、どうしても体は衰えてきます。まだ体が元気な40代、50代のうちに、好きな趣味ややりがいを感じる仕事など、ワクワクできることをぜひ見つけてください。
東洋医学では、気(エネルギー)・血・水が充実し、体を滞りなく巡っていることが健康とされています。好きなことをすると、ストレスから解放されるだけでなく、気・血・水がスムーズに巡ります。そして、肝や心といった腎以外の五臓も元気になります。
人生、先はまだまだ長い道のりです。腎精が尽きるその日まで、ストレスケアを含めた補腎テクで、長持ちさせていきましょう。
取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ
















