腰痛改善に効果的なツボ8選!正しい押し方と注意点
本記事では、腰痛改善に効果的なツボの位置と押し方、注意点について詳しく解説します。長時間の座り仕事や立ち仕事などで、腰痛に悩んでいる方はぜひご覧ください。
目次
ツボ押しが腰痛に効く理由

ツボ押しは、長い歴史を持つ東洋医学の考え方を土台にした療法の一つです。全身には多数のツボが存在し、世界保健機関(WHO)が名称と場所を定めているものだけでも361ヵ所あります。そこに含まれないツボまで含めると、その数は400以上になるとも言われています。
東洋医学では、私たちの体の中には、心と体の働きを支えるエネルギーが絶えず巡っていると考えます。そのエネルギーが通る道筋を「経絡(けいらく)」と呼び、その経絡に沿って並ぶ皮膚上のポイントが、ツボです。専門的には「経穴(けいけつ)」という名称が使われます。
ツボである経穴を刺激すると、経絡を流れるエネルギーの巡りが整い、不調の軽減につながると考えられています。実際に、皮膚近くの神経と、体の内部に張り巡らされた神経はつながっているため、ツボを押すことで体の内側にも刺激が伝わり、血行が促されて筋肉のこわばりや張りが和らぐとされています。
なお、すべてのツボが経絡上にあるわけではありません。中には経絡から外れた位置にあるツボもあります。
神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。…
症状別!腰痛に効くツボ8選

一言で腰痛といっても、その原因や症状はさまざまです。ここでは、症状別に効果的なツボを8つご紹介します。自分の症状に合ったツボを見つけて、日々のケアに取り入れてみてください。
ぎっくり腰や慢性腰痛などによる腰痛
急な動作で起こるぎっくり腰や、長年悩まされている慢性的な腰痛には、腰周辺のツボが効果的です。これらのツボは腰部の筋肉の緊張をほぐし、痛みの緩和に役立ちます。
(1)腎兪(じんゆ)

腎兪は、腰痛改善の代表的なツボのひとつです。腎臓の働きを整えるとともに、腰部の筋肉疲労や慢性的な腰痛の緩和に効果があるとされています。
位置:おへその高さで背骨から左右に指幅2本分外側にあります。
押し方:親指で左右同時にゆっくりと押しましょう。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのがおすすめです。冷えからくる腰痛にも効果が期待できます。
(2)志室(ししつ)

志室は、腰痛改善に効果的なツボで、腎兪と合わせて刺激することでより広範囲の腰部をケアできます。腰の深部にある筋肉の緊張を和らげる働きがあるとされ、慢性的な腰痛や腰のだるさの緩和に効果があるとされています。
位置:腎兪からさらに左右に指幅2本分外側に位置し、腎兪とほぼ同じ高さにあります。
押し方:両手の親指を使って、やや強めに押し込むように刺激しましょう。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのがおすすめです。ぎっくり腰の予防にも役立つといわれています。
神経痛の緩和に効くツボ
坐骨神経痛など、神経に沿った痛みには、下半身のツボが効果的です。これらのツボは痛みの伝達を和らげ、しびれの改善にも期待できます。
(3)委中(いちゅう)

委中は、腰痛や坐骨神経痛の改善に効果的なツボのひとつです。腰部と下肢をつなぐ経絡上にあるため、腰から足にかけての痛みや坐骨神経痛の緩和に効果があるとされています。腰の痛みが足まで響く場合に特に有効です。
位置:膝の裏側の中央にあります。膝を曲げたときにできる横じわの真ん中に位置しています。
押し方:座った状態で膝を立て、両手の親指で膝裏を支えるようにして押しましょう。痛気持ちいいくらいの強さで、息を吐きながら3〜5秒押し、息を吸いながら力を抜くという動作を繰り返すのがおすすめです。
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(4)環跳(かんちょう)

環跳は、坐骨神経痛や腰痛改善に効果的なツボのひとつです。深部の筋肉まで刺激が届くため、坐骨神経痛や腰から臀部にかけての痛み、慢性的な腰痛やお尻の痛みの緩和に効果があるとされています。
位置:お尻の外側、股関節の近くにあります。お尻に力を入れたときにできるくぼみの中央付近に位置しています。
押し方:横向きに寝た状態で、上になった側のツボを拳やテニスボールなどでゆっくり押しましょう。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのがおすすめです。体重をかけて圧をかける方法も効果的です。
内臓不調からくる腰痛
胃腸の不調や便秘など、内臓の状態が原因で起こる腰痛には、内臓機能を整えるツボが有効です。体の内側から腰痛にアプローチできます。
(5)大腸兪(だいちょうゆ)

大腸兪は、腰痛改善と腸の働きを整えるツボのひとつです。大腸の働きを整える効果があるとされ、便秘が原因の腰痛に特に効果的です。腸の動きが悪くなると腰部に負担がかかることがあるため、このツボを刺激することで腰痛と便秘の両方の緩和に効果があるとされています。
位置:腰の下の方、ベルトを巻く位置、腰に手を当てた高さで背骨から左右に指幅2本分ほど、外側に位置しています。
押し方:仰向けに寝て、両手を腰の下に入れて拳を作り、体重をかけるようにして刺激しましょう。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのがおすすめです。
(6)胃兪(いゆ)

胃兪は、胃の機能を整え、腰痛改善にも効果的なツボのひとつです。胃の機能を整える働きがあり、胃の不調からくる背中や腰の痛み、消化不良や食欲不振を伴う腰痛の緩和に効果があるとされています。
位置:背骨の両側、肘の高さの背骨(脊椎)からだいたい指3本分上、体の側面で肋骨の触れる一番下の高さにあります。背骨から左右に指幅2本分程度、外側に位置しています。
押し方:自分で押すのが難しい位置にあるため、家族に押してもらうか、壁にテニスボールを当てて刺激する方法がおすすめです。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのが良いでしょう。
冷えが原因の腰痛
体の冷えは血行不良を招き、腰痛の原因となることがあります。冷え対策のツボを刺激することで、体を温めながら腰痛を改善できるでしょう。
(7)三陰交(さんいんこう)

三陰交は、冷えからくる腰痛改善に効果的なツボのひとつです。婦人科系の不調や冷え性に効果的とされ、「女性の万能ツボ」とも呼ばれています。下半身の血行を促進する働きがあるため、冷えからくる腰痛や生理痛を伴う腰痛の緩和に効果があるとされています。
位置:内くるぶしの頂点から指幅4本分上に位置しています。すねの骨の後ろ側にあります。
押し方:座った状態で、親指で骨の後ろを押し上げるようにゆっくり刺激しましょう。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのがおすすめです。
(8)次髎(じりょう)

次髎は、冷えや生理に伴う腰痛改善に効果的なツボのひとつです。骨盤内の血行を改善し、下半身の冷えや生理に伴う腰痛の緩和に効果があるとされています。仙骨周辺を温める働きもあるため、慢性的な冷えに悩む方におすすめです。
位置:仙骨(お尻の割れ目の上にある平らな骨)にある8つの穴のうち、上から2番目の穴に位置しています。
押し方:仰向けに寝て、両手をお尻の下に入れ、拳やゴルフボールなどで優しく刺激しましょう。息を吐きながら5秒程度押し、息を吸いながら力を抜くという動作を3〜5回繰り返すのがおすすめです。お灸との相性も良いツボです。
腰痛改善のための効果的なツボの押し方
ツボ押しの効果を引き出すには、正しい方法で刺激することが大切です。ここでは、基本的な押し方と、自分では押しにくい背中のツボを押すコツをご紹介します。
基本の押し方
ツボを押すときは、親指の腹を使ってゆっくりと垂直に圧をかけるのが基本です。息を吐きながら3〜5秒かけて押し、息を吸いながらゆっくり力を抜きましょう。
押す強さは「痛気持ちいい」と感じる程度が目安です。強すぎる刺激は筋肉を緊張させてしまい、逆効果になる場合があります。
一つのツボにつき3〜5回程度繰り返し、左右対称のツボは両側を刺激することが効果的です。また、リラックスした状態で行うことが大切なので、呼吸を止めずに自然な呼吸を心がけましょう。
背中のツボを自分で押すコツ

背中や腰のツボは手が届きにくく、十分な力を込めにくい場所です。そんなときは、道具を活用すると効果的に刺激できます。
テニスボールやゴルフボールを使う方法がおすすめです。仰向けに寝て、ツボの位置にボールを置き、体重をかけるようにして刺激しましょう。硬さの異なるボールを使い分けることで、刺激の強さを調整できます。
そして、壁とボールを使う方法もあります。壁にボールを当て、体重をかけながら上下左右に動かすことで、ツボ周辺を広くほぐせるでしょう。
市販のツボ押し棒を使うのも良い方法です。家族やパートナーに協力してもらえる場合は、直接押してもらうとより効果的です。
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腰痛改善のツボ押しをするときの注意点
ツボ押しは手軽で効果的なセルフケアですが、誤った方法で行うと逆効果になることもあります。ここでは、安全に効果を得るための注意点をご紹介します。
ツボを長時間刺激しない
ツボへの刺激は適度な時間で行うことが大切です。一つのツボを長時間刺激し続けると、筋肉や組織に負担がかかり、かえって痛みが増す場合があります。
1回のツボ押しは、一つのツボにつき3〜5回程度、時間にして1〜2分以内に留めましょう。「たくさん押せば効果が高まる」というわけではありません。むしろ、適度な刺激を継続的に行うことが、腰痛改善への近道です。
また、同じツボを1日に何度も刺激するのも避けた方が良いでしょう。朝と夜の2回程度、または痛みを感じたときに行う程度が適切です。
痛くなるまで押さない

「強く押すほど効く」という考えは誤りです。痛みを我慢するほどの強い刺激は、筋肉を緊張させてしまい、腰痛を悪化させる原因になります。
ツボ押しの適切な強さは「痛気持ちいい」と感じる程度がおすすめです。押したときに心地よさを感じ、離したあとにスッキリ感があるくらいが理想的です。
痛みを感じる場合は力を弱めるか、刺激する角度を変えてみてください。ツボの周りの皮膚や筋肉の状態を確認しながら、優しく丁寧に刺激することを心がけましょう。
食後や入浴後のタイミングは避ける
ツボ押しは、思いついたときにいつ行ってもよいわけではありません。ツボ刺激は内臓の働きにも影響するため、体の状態が落ち着いているタイミングを選ぶことが大切です。
まず避けたいのが、食後すぐのツボ押しです。食後30分以内は消化のために胃腸が活発に働いている時間帯で、このタイミングで強い刺激を与えると、負担になるおそれがあります。同様に、お酒を飲んでいるときや酔いが残っているときも、血流や神経の働きが普段と異なっているため、ツボ押しは控えましょう。
また、入浴直後も注意が必要です。お風呂上がりは全身の血行が一気に良くなっている状態のため、さらにツボで刺激を重ねると、のぼせやめまいにつながる場合があります。入浴後にツボ押しをしたいときは、少し休憩をとり、体が落ち着いてから行うようにしてください。
極端に空腹なときや、明らかに体調が悪いとき、ツボの周囲に打撲や炎症がある場合も無理は禁物です。ツボ押しは、体調が安定しているときに行うのが安心です。
腰痛改善に効果的な8つのツボを痛気持ちいい刺激でケアして

この記事では、腰痛改善に効果的な8つのツボと、正しい押し方、注意点について詳しく解説しました。腰痛の原因や症状に合わせて適切なツボを選び、「痛気持ちいい」程度の強さで継続的に刺激することが大切です。ただし、強く押しすぎたり、長時間刺激したりすることは避け、食後や入浴直後のタイミングも控えましょう。ツボ押しを続けても症状が改善しない場合や、痛みが強くなる場合は、無理をせず整形外科や鍼灸院などの専門家に相談することをおすすめします。
[ 監修者 ]

















