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爪を確認する女性

爪が紫になるのは病気のサイン?考えられる原因と受診の目安

爪の色が紫っぽく変わると、不安に思うこともあるのでは。変色には一時的なものから病気のサインまで、さまざまな原因が考えられます。爪が紫色になる理由や、受診の目安について詳しく解説します。

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爪が紫色や青色に変色するのはなぜ?

健康な爪は透明で、その下を流れる毛細血管の血液の色が透けて見えるため、薄いピンク色に見えます。しかし、手足の爪が紫色や青色に変わる場合は、血液中の酸素不足や血行不良のサインであることが多いです。

こうした色の変化は、一時的なものもあれば、体のどこかに不調が潜んでいる可能性もあります。まずは、なぜ爪が紫色や青色になるのか、主な原因を詳しく見ていきましょう。

外部からの衝撃による内出血(爪下血腫)

爪の内出血のイラスト

手や足の爪が紫色に変色する原因の1つが、指をぶつけたり、爪の根元をドアなどに挟んだりしたときに起こる内出血です。爪の下に血液が溜まっている状態を、「爪下血腫(そうかけっしゅ)」と呼びます。

たとえば、重いものを足の指に落としたり、ドアに強くぶつけたり、サイズの合わない靴で長時間歩いたりすることで、爪に圧力がかかり内出血が生じることがあります。はじめは赤く見える出血が、時間が経つにつれて紫色や茶色、さらにやや黒っぽく変化することも。

多くの場合、ズキンズキンと脈打つような痛みが伴います。安静にしていても痛みが強ければ、爪の下に溜まった血液が圧迫しているのが原因です。ぶつけた覚えがあるなら、通常は自然に血液が吸収されていくため心配はいりません。ただし、出血量が多いと爪が剥がれることもあり、爪の周りなどに強い痛みが続く場合は適切な処置が必要になることもあります。

なお、外傷に心当たりがないのに爪が変色している場合は、別の原因が考えられるため、注意が必要です。

サイズの合わない靴

女性の足元

足の爪が紫色に変色しているなら、サイズの合わない靴を履き続けることが原因になっているかも。特に、つま先部分が狭すぎる靴や、ヒールの高い靴を履いていると、歩くたびに足の指が靴の中で圧迫され、爪に繰り返し強い力が加わります。このような圧迫は、爪の下で小さな内出血を引き起こすことがあり、結果として爪が紫色に変色してしまうのです。

長時間の立ち仕事やウォーキング、スポーツなどで足に負担がかかる場合、サイズの合わない靴はさらに爪へのダメージを増大させる可能性があります。もし、靴を履いた後に爪の色が変化していることに気づいたら、今履いている靴のサイズや形が自身の足に合っているか、一度確認してみてください。足に優しい、ゆったりとした靴を選ぶことが、爪の健康を守る近道となります。

冷え性による血行不良

爪を見る女性

手足の冷え性も爪が紫色になる一般的な原因の1つで、体が冷えると、手足の末端にある血管が収縮し、血流が悪くなります。

特に、寒い季節や冷たい水などに触れた後などに、手足の指先が冷たいと感じると同時に、青白くあるいは紫色に変化する様子が見られることがあります。これは、血行不良により指先の毛細血管への酸素供給が不足しているために起こる現象です。

一時的な冷えが原因であれば、体が温まるにつれて爪の色も元のピンク色に戻ることがほとんどなので、心配はいりません。

しかし、夏場でも爪が紫色がかっている、手足の冷えが慢性的に続いているなどの場合は、全身の血行不良のサインである可能性も考えられます。そのような場合は、一度医師に相談してみるのも良いでしょう。日頃から体を温める工夫をしたり、適度な運動を取り入れたりして、血行を良くすることを心がけて。

レイノー現象

手のイラスト

レイノー現象は、寒さや冷たいものに触れること、あるいは緊張などによる強い精神的ストレスが引き金となって、手足の指の血管が一時的に収縮し、血流が悪くなることで起こる症状です。爪やその周囲の皮膚がまず白くなり、次に酸素不足により青紫色に変色し、血流が回復すると赤くなるという、特徴的な色の変化が現れます。

レイノー現象が起こっている間は、痛みや冷たさ、しびれを感じることも少なくありません。多くの場合、人差し指、中指、薬指に見られる症状です。

この現象には、原因が特定できない「レイノー病」と、膠原病(こうげんびょう)をはじめとする病気が原因で起こる「レイノー症候群」の2種類があります。特に、レイノー症候群の場合は、基礎疾患の治療が重要になります。

もしレイノー現象が疑われる場合は、冷たい刺激を避けたり、手袋を着用したりするなどの対策とともに、一度医療機関を受診して、原因を特定してもらうことが大切です。

チアノーゼ

チアノーゼとは、血液中の酸素が不足することで、皮膚や粘膜、特に唇や爪が青色や青紫色に変色する状態です。酸素が十分に含まれる血液は鮮やかな赤色ですが、酸素が少ないと青みがかって見え、皮膚や爪を通すことで紫がかった色に見えることがあります。

チアノーゼには2つのタイプがあります。 1つは「中枢性チアノーゼ」で、心臓や肺の機能に問題があり、体全体に酸素が行き渡らないことで起こります。

もう1つは「末梢性チアノーゼ」で、手足の血流が悪くなり、特定の部位だけが青紫色に変わるものです。こちらは冷えや血管の収縮が原因になることが多いとされます。 

爪や唇、顔色に普段と違う青紫色の変化が見られた場合、特に息苦しさや胸の痛みを伴うときは、すみやかに医療機関を受診してください。

爪の紫色・青色が示す可能性のある病気

紫色に変色した爪

爪が紫に変わったり、青みがかったりする変色は、時に体の奥に隠れた病気のサインである場合があります。特に、一時的な冷えや外傷以外の原因で爪の変色が続く場合は、適切な治療を受けることが必要です。どのような病気が考えられるのか、具体的に見ていきましょう。

肺の疾患

咳き込む女性

肺の病気によって酸素の取り込みが不十分になると、血液中の酸素が不足し、その一症状として、爪が紫や青に変色することがあります。

特に、肺がん、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などでは、慢性的な呼吸機能の低下がみられ、血中酸素濃度も下がりやすくなります。また、新型コロナウイルス感染症の重症例によって同様の現象が起こることも。

息切れ、咳、呼吸のしづらさなどの症状を伴って爪の変色が見られる場合は、すぐに医療機関での診察を受けることが重要です。

閉塞性動脈硬化症

足を押さえる女性

爪が紫色に変色する原因の1つに、閉塞性動脈硬化症が考えられます。この病気は、足の動脈が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりすることで、足先への血行が悪くなる状態を指します。血流が滞ると、酸素や栄養が爪の末端まで十分に届かなくなり、その結果、爪の色が紫色や青みがかった色に変わってしまうのです。

閉塞性動脈硬化症は、特に高齢者や糖尿病を患っている人に多く見られる病気です。爪の変色だけでなく、足の冷たさ、しびれ、歩行時に足が痛いなどの症状を伴う際は、早めに循環器内科や血管外科を受診して詳しい検査を受けましょう。

糖尿病

糖尿病も、爪が紫色に変色する原因となり得ます。糖尿病によって高血糖の状態が長く続くと、全身の血管や神経に悪影響が及ぶことが知られています。

特に、体の末端にある足の血管が損傷し、血流が悪くなると、爪に十分な酸素や栄養が行き届かなくなります。その結果、爪の成長に異常が生じ、爪の色が黄色っぽく濁ったり、白くなったりするだけでなく、紫色に変色するケースも見られます。

また、糖尿病性神経障害によって足の感覚が鈍くなると、爪の変色や小さな傷に気づきにくくなることも。爪の変色だけでなく、足の冷たさ、しびれ、傷の治りが遅いといった症状がある場合は、糖尿病の可能性を考慮し、内科を受診して血糖値の管理について相談することが非常に重要です。

心不全や先天性心疾患などの心臓の病気

不調な女性

爪が紫色になる原因として、心不全や先天性心疾患といった心臓病が関係している可能性もあります。

心臓の機能が低下すると、全身に十分な血液を送り出せなくなり、体の末端である爪に酸素が届きにくくなります。その結果、紫色の変化が見られることも。 特に先天性心疾患では、生まれつき心臓や血管に異常があるため、同様の変色が起こるケースがあります。

息切れ・動悸・むくみ・疲れやすさなど、心臓に関連する症状を伴う場合は、循環器内科を受診し、早めに検査を受けることが大切です。

爪にできる悪性黒色腫(メラノーマ)

メラノーマ

爪の変色の中でも、特に注意が必要なのが、皮膚がんの1種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」です。これは、爪の下にできるがんで、初期症状として爪に黒い線が入ることが多く、内出血と間違えられやすい特徴があります。日本人では頻度の低い希少ながんですが、見逃すと進行してしまうおそれがあります。

悪性黒色腫による黒い線は、時間とともに線の幅が広がったり、色が茶色や紫色っぽくなったりすることがあります。また、爪が変形したり、もろくなったり、一部が崩れ落ちたりするケースも。

もし、思い当たる外傷がないのに爪に黒い線が現れたり、その線が徐々に太くなったり、色や形に変化が見られたりする場合は、速やかに皮膚科を受診することをおすすめします。

多血症など血液の異常

爪の色の変化が、多血症などの血液の異常によって起こることもあります。多血症は、血液中の赤血球が異常に増える病気で、血液がドロドロになり、血流が滞りやすくなっている状態。その結果、体の末端にある爪に十分な酸素が届きにくくなり、爪が紫がかった色に見えたりします。

一方、貧血の場合は血液中の酸素を運ぶ力が弱まるため、爪が青白くなることがあります。

さらに、爪の変色に加えて頭痛やめまい、慢性的な疲労感などがある場合は、血液の異常が隠れている可能性も。気になる症状が続くときは、早めに内科を受診し、血液検査などで詳しく調べてもらいましょう。

病院へ行くべき? 爪の異常の受診の目安

医師に相談

爪が紫に変色している場合、一時的な原因によるものか、それとも病気のサインなのか、見極めることが大切です。ぶつけたり、寒い場所にいたりしたために爪が紫色になっている場合は、時間の経過とともに元の色に戻ることが多いので、あまり心配はいらないでしょう。

しかし、次のような症状が見られる場合は、なんらかの病気が隠れている可能性も考えられるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

●爪の紫色や青みがかった変色が治らない

一時的な原因でなく、数日経っても色が変わらない、あるいは悪化している場合は、専門医の診察を受けるべきサインです。

●痛みがある

特に、ズキズキとした強い痛みが続く、安静にしていても痛む、爪の下に血液が溜まっているといった感覚があるときは、爪下血腫の処置が必要なこともあります。

●他の症状が同時に現れている

熱がある、指先や爪の周囲にしびれがある、または爪の形が変形しているなど、他の気になる症状が同時に現れている場合は、重篤な病気が原因である可能性も考えられます。このような症状が見られる場合は、皮膚科や内科などを受診しましょう。

爪の形状や色の変化 で気をつけたいこと

親指の爪

爪の色が紫色に変わるほかにも、横線や白い点、表面の凸凹など、爪の表面にさまざまな変化が見られることがあります。 健康な爪はピンク色でなめらかですが、こうした変化は体調の乱れや栄養不足、ストレス、場合によっては病気のサインかもしれません。

縦線が入ることは加齢や乾燥が原因の場合が多い一方で、横線や小さな凹みが現れるときは、強いストレスや体調不良が影響していることがあります。表面が波打つような凸凹も皮膚疾患の可能性があるため注意が必要です。

また、マニキュアやジェルネイルをしていると、爪の色や形の変化に気づきにくいことも。特に、爪の間に菌が入り、緑色に変色する「グリーンネイル」は、放置すると悪化するため注意しましょう。

原因がはっきりしない爪の変化が続く場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

爪の変化を見逃さないで

爪をチェックする女性

爪は私たちの体の健康状態を映し出す大切なバロメーター。普段何気なく見ている爪の色や形、表面の変化は、ときに体の不調や病気のサインとなっていることがあります。

爪が紫色に変色している場合は一時的な原因で心配のないケースもありますが、なかには血行不良や心臓、肺、血液の病気など早めの対処が必要な病気が隠れている可能性も考えられます。

日頃から自身の爪をじっくりと観察する習慣を持つことは健康管理の第一歩。

早期に異変に気づき、適切な診断と治療を受けることが、健やかな毎日を送るための大切な鍵となります。

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