
体のゆがみを整えて頭・首・腰の痛みをやわらげる「ウルトラポーズ」
体のクセが最も表れているのが肩甲骨。その広がりの左右差が、痛みを引き起こす原因になります。自分のクセに合わせて体を伸ばして痛みをやわらげる「ウルトラボーズ」をご紹介します。
目次
体のクセに合わせて伸ばせば、筋肉は一気にゆるむ

「人の体は左右差があるもの。ただし、左右差が広がりすぎると“ゆがみ”になり、痛みや不調を引き起こす原因になります」と柔道整復師の福冨章さん。
体の左右差が特に表れているのは、肩甲骨や骨盤の開き方です。姿勢が悪い人ほど大きなゆがみが生じやすく、肩や腰などの筋肉や神経が不自然に引き伸ばされてしまいがちです。引っ張られた筋肉に力がかかると強い緊張が起こり、痛みの原因に。
これを解決するのが、ゆがみを一瞬だけ強調する「ウルトラポーズ」です。体をゆがませる方向に動かすと、筋肉は反動で正しい位置に戻ります。ゆがみが取れれば、圧迫された神経が解放され、痛みが改善。「“猫背だから”と背すじを伸ばすことばかり意識すると、変な伸び方になったり、反動で猫背が加速したりすることも。自分のクセに合わせたポーズで体を整えれば、効率よく痛みが和らぎます」
「ウルトラポーズ」で痛みが取れる理由
【体のゆがみ・クセを利用して筋肉を元の位置に戻すから】
「ウルトラポーズ」は、体のゆがみを一瞬だけ強調する動き。体をゆがませる動きをすると、脳は危険と認識します。その信号を受けた筋肉が反射で正しい位置に戻れば自然と姿勢が整い、ゆがみも痛みもスッキリ!
自分の体のクセを知る「指付けテスト」
体のクセが最も表れているのが肩甲骨。その広がりの左右差が痛みを引き起こす原因になるので、まずは自分の肩甲骨のクセをチェックして。
(1)中指を胸の前で付ける

両ひじを外へ広げ、胸の前で両手の中指を付ける。指をそろえる必要はなく、“なんとなく”付ければOK。
(2)人差し指の位置を上からチェック
右手が内側に入る→【左開きタイプ】
右の前腕が内にねじれ、右手の人差し指が手前になった人は「左開きタイプ」。左側の肩甲骨の下部が、外側に開いています。骨盤も同じように左側が開きがちです。女性の約7割がこちらのタイプ。
左手が内側に入る→【右開きタイプ】
左の前腕が内にねじれ、左手の人差し指が手前になった人は「右開きタイプ」。右側の肩甲骨の下部が、外側に開いています。骨盤も同じように右側が開きがちです。女性の約3割がこちらのタイプ。
「猫背」と「巻き肩」は似て非なるもの。自分の姿勢を確かめて!
痛みの起こり方も見た目も似ている、猫背と巻き肩。実は、肩甲骨のゆがみ方が違います。猫背の人は、横から見ると耳が肩より前に出ています。巻き肩では、耳より肩が前に。原因によって効きやすいポーズが違うので、まずは自分の姿勢を確かめてみて。
【ウルトラポーズ1】巻き肩を直して、首・肩のゆがみを改善
肩甲骨の開きの差を整え、上半身の痛みを取るポーズ。巻き肩の人におすすめです。
(1)腕を立ててクロスを作る
【左開きタイプ】

左開きタイプは、右腕を前に出し、右ひじを深く曲げる。右ひじの内側の横シワのところに、左手首をしっかりと挟み込む。両手で十字を作るようなイメージ。
【右開きタイプ】

右開きタイプは、左腕を前に出し、左ひじに右手首を挟み込んで十字を作る。
(2)立てた腕を外側にひねる
【左開きタイプ】

左開きタイプは、息を吐きながら右腕を外側にひねり、右脇をしめる。左ひじは右腕に引っ張られないよう、やや外側に動かすイメージ。吐ききったら、息を吸いながら(1)に戻る。(1)・(2)を3回繰り返す。
【右開きタイプ】

右開きタイプは、息を吐きながら左腕を外側にひねる。右ひじは引っ張られないよう、やや外側に動かす。吐ききったら、息を吸いながら(1)に戻る。
【ウルトラポーズ2】猫背を改善!上半身の痛みが一気にスッキリ
肩甲骨の前後の傾きを整え、猫背を改善。手を伸ばした瞬間、頭が後ろに移動し爽快感を味わえます。
(1)両手を頭の後ろで組みひじを上げ下げする
【左開きタイプ】

左開きタイプは、立った状態で、後頭部のやりやすい位置で手を組む。左開きタイプは右ひじを前に下げ、左ひじを後ろに上げる。
【右開きタイプ】

右開きタイプは、左ひじを下げ、右ひじを上げる。
(2)両腕を勢いよく前に振り下ろす
共通【右開きタイプ】【左開きタイプ】

息を吸いながら(1)の位置から両ひじを伸ばし、手が水平よりも少し上の位置で止まるように腕を振り下ろす。できるだけ勢いよく両手を前に出すのがコツ。(1)・(2)を3回繰り返す。
【ウルトラポーズ3】座りっぱなしでゆがんだ骨盤を整える
ゆがんだ姿勢で座っていると、骨盤が前後左右に傾く原因に。骨盤のゆがみを整えれば、腰や背中の痛みが軽くなります。
(1)腰に手を当てて骨盤をひねる
【左開きタイプ】

左開きタイプは、両手を骨盤に当てる。左手は親指以外の指を、右手は親指を体の前面に置く。息を吐きながら、左手は前に、右手は後ろにねじる。息を吸いながら元の姿勢に戻る。呼吸に合わせて3回行う。
【右開きタイプ】

右開きタイプは、左手は親指が、右手はそれ以外の指が体の前面に来るようにして、骨盤に両手を当てる。息を吐きながら、右手は前に、左手は後ろにねじる。息を吸いながら元の姿勢に戻る。呼吸に合わせて3回行う。
【ウルトラポーズ4】料理や立ち仕事の合間に、サクッと腰痛対策
腰痛持ちには、立ち仕事はキツいもの。作業の合間にできるポーズは、腰痛や坐骨神経痛にも効果アリ。痛みが楽になる人気のポーズです。
(1)足の親指を持ち上げる
【左開きタイプ】

左開きタイプは、右手を壁に付けて立ち、左足の親指、または足首を左手で下から持つ。息を吐き、左足首をお尻に近づけるように引き上げる。息を吸いながら元に戻す。呼吸に合わせて3回行う。
【右開きタイプ】

右開きタイプは、左手を壁に付け、右足の親指、または足首を右手で持つ。ほかは左開きタイプと同様に行う。
【ウルトラポーズ5】ゴロゴロしながら腰の負担をリセット
寝ながら腰の痛みをリセット。骨盤を立たせると、お尻も引き締まります!
(1)ひざを両手で引き寄せる
【左開きタイプ】

左開きタイプは、仰向けになり、右のひざを曲げる。ひざ裏で両手を組み、息を吐きながら、右ひざを右胸へと引き寄せる。息を吸いながら右の足の裏を床にストンと着地させる。呼吸に合わせて3回行う。
【右開きタイプ】

右開きタイプは、左ひざを曲げて、息を吐きながら、左胸へと引き寄せる。息を吸いながら左の足の裏を床にストンと着地させる。呼吸に合わせて3回行う。
姿勢のよもやま話
姿勢にまつわる豆知識をご紹介。一見ゆがみを引き起こしそうなクセに、実は疲労回復の働きが!?
脚を組むクセにはメリットも!
脚を組むと、疲れた筋肉がリセットされます。バランスを取ろうとしてやりにくいほうで組むと、かえって体がゆがむ原因に。たまに組みやすい側で足を組んで筋肉を休めて。
「横向き寝」で体の痛み予防
横向きで寝ると呼吸がスムーズになり、肩や首、腰の痛みを予防できます。自分がラクだと感じるほうを下にすればOK。さらに、寝返りを打つことで筋肉がこり固まるのを防ぎ、体のゆがみを改善。実は、寝相が悪い人ほど痛みを予防できているのです。
撮影/福島章公 モデル/中田奈沙
(からだにいいこと2021年6月号を元に一部加筆・修正)
[ 監修者 ]