
冠婚葬祭・外食・お呼ばれでもう迷わない!大人女子のマナー大全
冠婚葬祭やお呼ばれの席での振る舞いに迷ったことはありませんか? 今さら聞けないマナーの常識をマナー講師がお答えします。基本を押さえておけば、自信が持てて、振る舞い美人になれますよ!
マナーの基本は“気遣い”相手を思いやる心が大切

年を重ねるにつれ、かしこまった場ではスマートな対応が求められるもの。でも、“適切な振る舞い”に自信がない人も多いのでは?
「マナーの基本は、相手と良い関係を築くための気遣いや配慮。相手を尊重する心を持ち、それを言動に表すことが何より大切です」と話すのは、マナー講師の明石伸子さん。
価値観やライフスタイルが多様化する現代は、マナーも時代に合わせて変わりつつあるそう。でも、根底にある「気配り」と「思いやり」の大切さは古今東西、変わらないといいます。
これまで受け継がれてきた冠婚葬祭や食事のマナーも、元は相手を思いやる気持ちから生まれたもの。「マナーは、人の行動を縛るルールではありません。『しなければならない』と頑なに考えるより、基本を知っておけば、行動や判断に余裕が生まれます。必要なマナーを身につければ、状況に応じた対応ができる美しい女性になれますよ」
【冠婚葬祭マナー】結婚式編
主役を引き立てつつ、すてきな1日を作り上げるために守りたいマナーを紹介します。
ご祝儀袋の選び方

a.のし
不老長寿の象徴「のしあわび」を簡略化したもの。慶事の祝儀袋には、のしがついています。
b.上包み
おめでたいことが「重なる」ように、紅と白の紙を重ねるのが本来の形です。
c.水引
結婚祝いには、引っ張ると結び目が固くなる「真結び」「あわじ結び」などを。
40代のご祝儀は3~5万円が相場?
ご祝儀の金額は、年齢や新郎新婦との関係性によって異なります。40代では、披露宴に出席する場合は3~5万円、兄弟の結婚式では10万円が相場といわれます。金額に見合った祝儀袋を選びましょう。迷ったら、祝儀袋のパッケージに書かれている金額を参考にして。
祝辞は喜びの場に合わせ、相手を立てる話題選びを

祝辞を頼まれたら、失敗談などのネガティブな話題は、たとえ笑える話であっても、避けたほうが無難です。ウケを狙うのではなく、主役である新郎新婦を引き立てるようなスピーチをしましょう。
親族側で出席するときはほかの身内と情報交換を

もっとも格式高い着物は留袖。黒留袖は親族の既婚女性のみ、色留袖は未婚・既婚問わず着られます。ただし、装いは格をそろえるのが原則。親族同士で事前に情報交換をしておくとよいでしょう。
直前での欠席はあとでご祝儀を渡して
直前に欠席せざるを得なくなった場合、式が済み新郎新婦が落ち着いたころ、渡す予定だったご祝儀を贈ります。さらに会場に祝電を送ると、お祝いの気持ちが伝わります。
身内だけの式ならお祝いを贈ると◎
近年は結婚式の形もさまざま。身内のみの場合や、式を挙げないケースであっても、人生で最大のお祝いごとに変わりはありません。1万円程度のご祝儀やお祝いの品を贈るとよいでしょう。
【冠婚葬祭マナー】葬儀編
悲しみを表す場であることを最大限に配慮して。振る舞い方で印象が大きく変わります。
“黒い服”と喪服は違う! 深い黒で悲しみを表して

一般的に、葬儀に適切なのは「準喪服」と呼ばれるブラックフォーマル。悲しみを表す深い黒が特徴で、単なる黒い服とは違います。大人なら1着持っておいて。
コートも黒が◎ファーはNG
コートの色も黒がベスト。レザーやファーは、フェイクであっても殺生をイメージするので避けます。
ネイルは落とすかレースの手袋を
ジェルネイルなどどうしても落とせない場合は、地味なネイルシールや黒レースの手袋で隠すなど
の対応を。
参列してもよいかは、ご遺族に確認を!
コロナ以降、葬儀は家族葬が主流になっています。そのため、知人・友人の参列の可否についてはご遺族に確認した方が良いでしょう。参列できない場合でも、供花や弔電を送るなど、弔意の表し方もご遺族に相談しましょう。
金額にかかわらずシンプルな不祝儀袋を
不祝儀袋の表書きは宗教によって異なりますが、袋の装飾は金額にかかわらずシンプルなものを選んで。最近は双銀の水引などもありますが、白黒のほうがベター。
仏式では「ご霊前」「御香典」など

「ご霊前」「御香典」「御供」は仏式で使われる表書き。蓮の花があしらわれたものは、仏式のみに使用します。
※浄土真宗では「御佛前」を使います。
キリスト教式では「お花料」

キリスト教式の表書きは「お花料」。水引はなしで、十字架や百合の花が描かれているものもあります。
神式では「玉串料」

「玉串料」のほか、「御榊料」「御神前」も使われます。水引は双白(白一色)または白黒の結び切り。
宗教によって異なるNGワードに注意!
お悔やみの言葉には、不吉な言葉である「忌み言葉」や、不幸が続くことを連想させる「重ね言葉」などを使わないように注意しましょう。さらに宗教によっても異なるので、キリスト教の場合は「ご愁傷様です」が無難。
NGワードの例
- 忌み言葉(死ぬ、苦しむ、朽ちる、倒れる、果てる、など)
- 重ね言葉(いろいろ、ますます、返す返す、など)
- 大往生(弔問客が言うのはNG)
- 浮かばれない、迷う(仏式の場合はNG)
- ご冥福(キリスト教式の場合はNG)
宗教の確認は会場に問い合わせて
不祝儀袋の種類や忌み言葉などは、宗教や宗派によって異なります。悩んだら、葬儀会場に問い合わせを。葬儀の日時や故人の名前を伝えれば、宗教や形式を教えてくれます。
参列できない場合はお悔やみ状の郵送を
葬儀に参列できない場合、1枚の便せんに悲しみやお悔やみの気持ちをしたためた「お悔やみ状」を送ります。香典を同封するなら現金書留を自宅宛に送りましょう。葬儀が済んだあとに訃報を知った場合も同様です。
食事のやりがちNGマナー
意外と勘違いしがちな食事関連のマナー。間違った習慣を改めれば、振る舞い美人に!
【和食】手皿はNG。小皿を手で持つ

汁けのある料理を食べるときに、手を皿のようにして受けていませんか? これは「手皿」という不作法なしぐさ。汁が垂れそうなら、小皿を持って受けるのがスマートです。
【和食】“逆さ箸”は厳禁。店に取り箸を頼む
大皿料理を取り分けるとき、自分の箸を反対向きにする「逆さ箸」や「返し箸」を見かけますが、手が触れた部分を使うのは不衛生です。店に頼んで、取り分け用の「取り箸」を用意してもらいましょう。
【和食】左利きの人向けには、箸だけ逆に配膳を
左利きの人を会食に迎えるときは、箸置きの位置を変え、箸だけを逆にするのが親切。気を利かせたつもりでご飯やみそ汁の位置まで入れ替えると、仏壇のお供え膳と同じになってしまうので失礼になります。
【洋食】ナイフの刃先は必ず自分に向けて置く

料理を食べ終えたら、ナイフとフォークはそろえて斜め、もしくは縦に置きます。このとき、ナイフの刃は必ず自分側に向けましょう。くれぐれも、相手の方に向けないように。
【洋食】テーブルの上に落ちたパンくずは拾わない
パンは、パン皿の上でちぎってから口に運びます。テーブルに落ちたパンくずは、自分で拾う必要はありません。サービススタッフにまかせましょう。
【中華】中華は取り分け不要! 自分の分だけ取って

中国料理といえば、円卓の回転台の上に置かれる大皿料理が魅力ですが、人の分まで取り分ける必要はなく、主賓や年上者から取ればOK。回転台を回すときは、まわりの状況に配慮して。
【中華】中華の大皿料理は残さず食べて
中国料理では、食べ切れないほどたくさんの料理を出すのが“もてなし”とされてきました。しかしフードロスが重視される現代は、食べられる量を注文するのがベスト。残さずいただきましょう。
贈り物のキホン
相手のことを思って行動すれば、“品物”以上の心のやり取りもできます。
【お見舞い】現金が無難!食べ物などは確認を

病気見舞い・災害見舞いなどは、目上の人であっても現金がベター。特に病気見舞いで品物を贈る場合は、必ず先方に確認を。
【出産祝い】あらかじめ希望の品を相手に確認して

一般的に、生後1カ月を迎えるころまでに出産祝いを贈ります。何が欲しいかを確認して贈ると良いでしょう。ベビー服を贈るなら、少し大きめのものを選んで。
【お返し】相手の好みのものをなるべく早く贈る

お返しをするのが理想的なのは、出産の「内祝い」、病気見舞いの「快気祝い」、新築の「御礼」など。いずれも、いただいたあと、タイミングをみて相手の好みに合わせたものを贈ります。
子どもの成長に伴う親しい親族からのお祝いは、基本的にお返しは不要。手紙や電話、メールなどで、子ども本人からお礼の言葉を伝えましょう。
お呼ばれQ&A

コミュニケーションの価値観や手段の変化に合わせ、気持ちよく、安心できるお付き合いを。
あなたなら、こんなときどうしますか?
Q1.「披露宴は会費制」と言われたけど、ご祝儀も必要?
A1)基本的には受付で会費を払えばOK
披露宴を会費制でする場合は、基本は当日、受付で会費を払えば問題ありません。しかし一般に「会費」は食事代と引き出物代であることが多く、新郎新婦にお祝いを贈りたい場合は、品物やご祝儀を差し上げても良いでしょう。ただし、披露宴会場に持参するのはNG。別日に直接渡します。
Q2.「つまらないもの」とは言わないほうがいいの?
A2)過度な謙遜は不要。おすすめの言葉を添えて
相手を思って選んだ品なら、「つまらないもの」と卑下する必要はありません。「お口に合えば嬉しいのですが……」に加えて、おすすめの言葉も添えて渡しましょう。
Q3.久々の訪問、長居してもいい?
A3)引き留められても早めに失礼して
楽しくて「もっと居たい」と思っても、先方にも都合があるでしょう。久しぶりの再会で盛り上がっても、約束の時間には失礼するのがマナーです。
大人のマナーが学べる検定をご紹介
幅広いマナーが学べる「マナー・プルトコール検定」(文部科学省後援)
社会人に求められる幅広いマナーやプロトコール (国際儀礼)の知識と対応力を認定する文部科学省後援の資格です。公開検定は年2回、全国8会場で実施。
https://mp-kentei.info/
人間関係に必要なスキルが身につく「コミュニケーションマナー検定」
相手と良い交流を育むために必要な知識とスキルを身につけるための一歩が、この「コミュニケーションマナー検定」です。テキストの購入や検定受験がWEBでできます。
https://e-manner.net/
(からだにいいこと2022年12月号を元に一部加筆・修正)
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