
8月に最も多い!夏不調の原因「胃バテ」を防ぐ生活習慣
酷暑にやられて、すでに夏バテ気味の人も多いのでは。その夏バテが、実は胃の不調により引き起こされているという専門家の指摘があります。夏を快適に過ごすための、胃とのつきあい方をご紹介します。
目次
夏バテとは「胃バテ」のことだった!?

体も気持ちもだるい、食べるのがめんどう、お腹がゆるくなる、頭が痛い……夏の暑い時期に起こるこんな夏バテの症状、実感していませんか。この夏バテに、暑さによって引き起こされる胃の不調、いわば「胃バテ」が大きく影響しているようです。
胃に関する調査で、1年のうち「最も胃の負担を感じる」という回答でいちばん多かったのは8月。忘年会やお正月で、食べすぎ飲み過ぎが増える12月や1月よりも、8月の方が胃の不調を感じているという結果だったのです。

ちなみに胃バテになると、こんなサインが現れます。あなたはいかがですか?

1つ以上チェックがついたら、胃バテのリスクが高いと考えられます。
夏に「胃バテ」を引き起こすのはどうして?
実際、胃バテを引き起こす原因を見ていくと、夏バテの原因と重なっているのです。
胃バテの原因
- 冷たい飲食物を摂りすぎて、胃の働きが悪くなる
- エアコンの効いた部屋と暑い屋外との温度差や、睡眠不足、高温多湿のストレスなどによる、自律神経の乱れ
- 水分を多く摂るため、血液中のナトリウム濃度が下がってしまうこと
暑いときは、かき氷や冷えた飲み物、ビールがおいしく感じられます。また、冷たい麺類などを選びがち。

しかし、こうした食べ物は、消化力の低下を招くことに。食べ物を分解するための「消化酵素」は、37℃前後で最も活発に働きます。冷たい飲食物を摂ると、体内の温度が下がり、消化酵素が十分に働かなくなるのです。
しかも、冷たい刺激は血管を収縮させて血行を悪くするため、消化不良で下痢を引き起こすことにも。
また、かつての夏バテといえば、暑さで体が疲弊するのが原因でしたが、いまは多くの人がエアコンの効いた室内で過ごしています。仕事場などの状況によっては、過剰に冷えすぎている場合もありますよね。

その一方、屋外にでると猛暑。人の体は、体温を一定に保つシステムなので、気温差を感じる度に、自律神経が体温調整を行います。暑い屋外と寒い室内の出入りで、1日に何度も温度調整をさせられるため、自律神経は過労となり、働きが乱れやすくなります。さらに睡眠不足や、ストレスも、自律神経の乱れに拍車をかけるのです。
自律神経が乱れると、胃腸の動きが悪くなったり、消化酵素が十分に働かず、消化不良につながります。
また、汗を大量にかいた上、水分を多く摂ることで血液中のナトリウムの濃度が低下すると、食欲不振を引き起こしたり、胃の不調につながっていきます。
このようにして胃バテが起こるのですが、これらは夏バテの原因として専門家が指摘することと重なっているのです。
女性の方がなりやすい! 特に40代以降は要注意

女性は男性に比べて、胃バテを起こしやすい傾向があります。筋肉量が少ないため体が冷えやすく、冷えは自律神経の乱れの大きな原因となるためです。
また、自律神経は年齢とともに衰えがちなので、40代以降は胃バテを起こしやすくなります。
胃バテを克服し夏を快適に過ごすための、自分でできる“胃活”をご紹介します
胃バテを解消するセルフケアのポイント
1)食習慣を改善する
自律神経の乱れを引き起こしたり、胃腸に負担をかける食べ物、食べ方は控えましょう。
- 冷たい物、脂っぽい物を控える。
- 野菜の浅漬けやヨーグルトなど、胃に負担をかけにくい食べ物を摂る。野菜は、きゅうりやナスなどの夏野菜がおすすめ。
- よく噛んで食べて、消化を良くする。
- 食後すぐ横になると消化の妨げになるので、食後30分は横にならない。
2)胃の温活をする
冷たい物を摂るのを控えるだけでなく、お腹を冷やさないよう心がけて。冷房の室内で長時間過ごす人は、夏でも薄手の腹巻などでお腹が冷えない工夫を。寝るときも、お腹には上掛けをのせましょう。
また、食事でも、火の通った温かい物を選ぶ方が、胃がよく働いて調子がよくなります。
3)深呼吸で横隔膜を動かす
内臓を自分で動かすことはできませんが、アプローチする方法として呼吸があります。深呼吸で肺を大きく動かすと、肺とお腹の間にある「横隔膜」が上下します。すると、胃をマッサージするような効果が得られて、胃の不調改善が期待できるのです。

やり方は、まず鼻から息を大きく吸い、胸をふくらませます。このとき、横隔膜は下がった状態になります。続いて、息をゆっくりと吐きましょう。すると肺が縮み、横隔膜が上がります。これを自分のペースで数回繰り返して。胃の不快感がやわらいでいきます。
4)寝姿勢で胃の不調を楽にする
寝る時は、胃の調子によって寝姿勢を変えましょう。
●逆流性食道炎の場合
左側を下にして寝ると、食道より胃の位置が低くなるため、逆流が起こりづらくなります。
●逆流がない胃もたれの場合
胃の出口が下になるよう、右側を下にして寝ると消化を促進させます。
●逆流性食道炎と消化不良、両方がある場合
上向きで寝ましょう。枕の高さは約15cm、高さにして10〜20cmが理想とされます。うつ伏せで寝るのは避けて。

5)ヨーグルトで胃の負担をやわらげる
注目なのが、ヨーグルトの“胃活”効果です。特定の乳酸菌は、自律神経を整える働きから、胃の不快症状を予防してくれるのです。
実際「胃の不調が起きたときの対処法で効果を実感したもの」というアンケート(※)では、「胃薬を飲む」「横になって休む」に続く第3位が「ヨーグルトを食べる・飲む」でした。「お腹を温める」「胃の周りをマッサージする」「漢方薬を飲む」といったことより、効果を実感したという回答が多かったのです。
※ヒューマン・データ・ラボラトリ「胃の不調に関する調査」(2025年)

胃活の効果を高めるポイントとしては、毎日続けて摂ること。ヨーグルトは夏の暑い時期でも食べやすいので、朝食としていただくのがオススメです。乳酸菌が摂れるだけでなく、タンパク質が豊富で栄養バランスも整って一石二鳥です。
体に良いものや習慣を日々の生活に取り入れて、夏の胃バテを防いでいきましょう。
[ 監修者 ]