
猛暑の今、リスク急増中!年齢問わず「夏フレイル」に気をつけて
夏の暑さは、年齢問わず体に大きな負担となります。夏バテや熱中症だけでなく、「夏フレイル」にも注意が必要。 室内でできる筋トレやいつもの食事を見直して、イキイキとした毎日を過ごしましょう!
目次
暑さが引き起こす「夏フレイル」とは?

加齢に伴い、筋力や活力が低下して心と体が弱っている状態をフレイルといいます。日常生活に支障をきたし、介護が必要となる一歩手前の状態で、高齢者にとって注意すべき症状ですが、実は、高齢者だけの問題ではありません。
毎日30℃を超える暑さで外出の機会が減ることで、あらゆる世代で「夏フレイル」になるリスクが高まっています。
夏に体がだるい、疲れやすい、ペットボトルのふたがうまく開けられないなど、夏バテかな…と思っていたら実は、夏フレイルかもしれません。
環境要因と社会的要因が、夏フレイルを引き起こす

誰にでも起こる夏フレイルは身近で危険な状態。近年の夏フレイルが増えている原因は、主に2つです。
1.環境要因:夏の高温化・長期化が進むことで、体力がある人でも体に負担がかかってしまいます。「暑さにより外出が減る→食欲が出ない→低栄養→筋力低下→やる気が出ない・活動したくない→弱る」という悪循環に陥り、心身の機能がどんどん衰えていくのです。
さらに、外出しないことによるコミュニケーションの不足も要因。
2.社会的要因:新型コロナを経て生活様式が変わりました。外出頻度の減少や活動量の低下により、特に若い世代で体力・筋力が落ちている人が多くみられます。小さな子供でも筋力が落ちて疲れやすく、歩きたがらないということも増えています。
暑さで体力を消耗し、部屋に引きこもりがちになったり、食欲が低下して食事量が減ったりなど、夏バテ状態が続いてしまうと、フレイルを引き起こしやすくなります。
そもそもフレイルとは?
フレイルは「身体的フレイル」「社会的フレイル」「心理的フレイル」の3つの要素に分けられます。
身体的フレイル
筋力低下、歩行速度の低下、体重減少
社会的フレイル
引きこもり、コミュニケーション不足
心理的フレイル
意欲の低下、判断力や認知機能の低下、不安感
3つのフレイルは相関性があり、1つのフレイルの悪化が連鎖していくので、早めの気づきと対策が大切。また、適切なケアを行うことで、負のスパイルを断ち切り、フレイルの状態から健康な状態に回復することも可能です。
あなたは大丈夫?夏フレイルをチェック
夏フレイルの症状は、身体的フレイルにあたります。下記のチェックリストで1~2つ当てはまる場合は「プレフレイル」、3つ以上が「フレイル」とされています。また、「歩き方」もフレイルかどうかを確認する方法の一つ。該当している場合は要注意です。
夏フレイルのサインに早めに気づき、適切な対策を行いましょう。
フレイル診断基準
「身体的フレイル」チェックリスト

□体重の減少
(6カ月で2kg以上の減少)
□疲労感
(わけもなく疲れた感じがする、体がだるい)
□活動量の減少
(「軽い運動や体操」「定期的な運動」いずれも週に1回もしていない)
□身体機能の減弱
(信号が青の間に横断歩道を渡れない)
□筋力の低下
(ペットボトルのふたがあけられない)
歩き方でフレイルチェック

「歩き方フレイル」チェックリスト
□体の左右のふらつきが大きい
□歩行速度が遅い
□手の振りが少ない
□足が上がらずすり足
□歩幅が狭い
夏フレイルを防ぐためには、筋肉を減らさないことが大切。筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行う「レジスタンス運動」は、下半身の筋力維持に効果的です。
室内で簡単にできる筋トレなので、体調に合わせて取り入れてみて。継続することでフレイル予防につながります。
椅子スクワット

椅子に座り、足は肩幅に開く。椅子からゆっくりと立ち上がり、ゆっくりと腰を下ろす動作を繰り返す。大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や大臀筋(だいでんきん)を強化できます。
もも上げ

椅子に座り、背もたれから背中を離し、両手を片方の太ももの裏に当て、お腹に力を入ながら太ももを上げる。座面から太ももの裏が離れたら下に下げる。これを左右交互に行うことで、腹筋や腸腰筋(ちょうようきん)を鍛えることができます。
手軽な魚肉ソーセージーで体力復活!

そうめんや冷やし中華など、炭水化物中心の栄養のバランスが偏った食生活を続けると栄養不足に陥り、夏フレイルのリスクが高まります。
特に、エネルギー源であるたんぱく質が不足すると、筋力や基礎代謝の低下につながり、活動量の減少を招きます。
おすすめは、筋トレ食材としてSNSでも話題を呼んでいる「魚肉ソーセージ」。魚を主材料としているため、たんぱく質が摂れる上に、カルシウムやDHAなども含まれています。調理せず、そのまま食べられる手軽さも魅力。
ただ、脂質や塩分も比較的に多く含まれるため、食べ過ぎには注意しましょう。
他にも、夏が旬の枝豆や納豆、卵などでたんぱく質を意識的意識的に取り入れることが、体力アップや健康維持につながります。
人とのつながりを保つことも大切

暑さのために室内で過ごす時間が長くなると、人との交流も減り、孤立しやすくなります。社会的・心理的フレイルの予防もために、離れて暮らす高齢の親がいる場合は、積極的に連絡を取るように心がけましょう。直接会わなくても、定期的なコミュニケーションがフレイル予防に効果があるとされています。
若い世代でも同様に効果があるので、熱中症に注意しつつ、定期的な外出や好きな趣味を楽しみながら、夏を元気に乗り切りましょう!
[ 監修者 ]