
免疫力UP、肌荒れや肥満対策にも。腸内環境は「美と健康」の要!
腸は、消化・吸収・排泄の他にも、美容や健康に欠かせないさまざまな役割を担っています。また、免疫力を高めたり、心の健康にも影響を及ぼします。腸が担うさまざまな働きをご紹介します。
目次
腸の影響は全身に及ぶ!免疫力も美肌も腸次第
腸の機能といわれてまず思い浮かぶのは消化・吸収・排泄。でも、それ以外にも腸は、全身の健康や美容に欠かせないさまざまな役割を持っています。
「腸には食べ物だけでなく、ウイルスや細菌も侵入。それらから身を守るために、腸は強力な免疫機能を備えています。腸内環境を整えれば免疫力が高まり、感染症などにかかりにくくなります」と、消化器内科医の工藤あきさん。
「また、腸は脳と密接につながっています。腸の状態が悪ければ脳が不安を感じやすくなり、うつ病など心の病気を引き起こすリスクも。さらに、腸内細菌は全身を巡り、肌にも影響を与えます。肌がきれいな人は“腸美人”ともいえるのです」
(腸の働き その1)脳の健康

腸には「腸管神経」と呼ばれる神経細胞が数多く存在。腸管神経は脳とつながり、密接にコミュニケーションを取っています。そのため、腸は「第2の脳」と言われることも。
“幸せホルモン”の元は腸で作られる
リラックスや安心感などをもたらし“幸せホルモン”と呼ばれる「セロトニン」。セロトニンの元となる物質の約90%は腸で作られ、脳に届いてセロトニンになります。「幸せは腸が作る」といっても過言ではありません。
腸内環境が整えば不安やイライラもやわらぐ
腸内環境が良いとセロトニンが増え、精神状態が安定に向かいます。逆に、腸内環境が乱れるとセロトニンが不足して、イライラや不安感の原因に。うつやパニック障害など心の病気にもつながります。心の安定のためにも腸活を。
(腸の働き その2)美肌

「腸と肌?」と不思議に思うことなかれ。腸は消化・吸収・排泄器官。肌に必要な栄養をきちんと届け、不要なものをデトックスするためにも、腸内環境を整えることが大切です。
善玉菌を増やせば肌荒れ・むくみが改善
悪玉菌が増えると、腸内に腐敗物質が多く発生。それらが腸管から吸収され、血流にのって肌に届くと、乾燥やくすみといった肌トラブルの原因になります。善玉菌を増やすことで肌細胞に必要な栄養が届き、内側から輝く肌に。
(腸の働き その3)免疫力の向上

腸にはウイルスや細菌が入ってくるリスクも。外敵を退治するための“前線基地”として、全身の約7割もの免疫細胞が存在。加えて、より強い細胞を育てるための訓練も行います。
腸が行う“特殊訓練”が免疫細胞を強化する
小腸の「パイエル板」という組織の内側には、大量の免疫細胞が存在します。免疫細胞はパイエル板から取り込まれたウイルスや細菌に触れることで、有害な敵について学習。全身を巡り外敵を攻撃する“戦士”に成長します。
アレルギーなどの“免疫のエラー”に関係
腸にガスがたまると腸粘膜が劣化し、未消化の食べ物や有害物質が漏れ出る“腸漏れ”に。すると免疫システムが誤作動し、アレルギーや自己免疫疾患を発症する原因になります。青魚や緑黄色野菜を摂って食品添加物を避ければ、腸管が健康に!
(腸の働き その4)生活習慣病の予防

最近の研究で、腸内環境が肥満や糖尿病といった生活習慣病に影響を及ぼすことが明らかに。病気を予防・改善するポイントは、腸内細菌の数と多様性にあります。
肥満や糖尿病になりにくい腸内細菌バランスがある
2型糖尿病患者の腸内環境は乱れがちでインスリンが効きにくく、血糖コントロールが正常な人の腸には善玉菌が多いそう。また、肥満の人とヤセ形の人とでは腸内細菌の種類やバランスが異なるという報告も。
全身のすべての不調はまず腸を疑え!?

腸は胃や肝臓、膵臓など多くの臓器と結びついています。肩コリやまぶたのけいれん、のどのつかえといった不調に意外と腸が関係している可能性が。腸をケアすれば不調が改善し、不調をケアすれば腸内環境が整います。「ゆる腸活」で美と健康を一度に手に入れませんか?
(からだにいいこと2021年6月号より)
[ 監修者 ]