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これって病気?知っておきたい産婦人科系の病気のこと|教えて! 菜実先生

女性特有の病気や医療に関する悩みに医師が答える連載。回答者は、優しく丁寧なカウンセリングで人気の産婦人科専門医、山村菜実さんです。今回のテーマは女性がかかりやすい病気について。

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月経痛がひどくなってきているようです

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生理痛はいつものことだから…と、市販の鎮痛剤を飲んでしのいでいたけれど、痛みは毎月ひどくなっているように感じます。というお悩みが届きました。

我慢強い人はなかなか判断が難しい受診のタイミング。菜実先生に聞いてみましょう。

薬をのむほどの痛みがあれば一度受診してみて

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産婦人科にいらっしゃる患者さんは、主に月経痛や月経不順、かゆみのお悩みをかかえている方が多いです。月経痛や月経不順の中には、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が原因で起こることもあります。月経痛があるのに一度も受診したことがなければ、子宮の状態を把握するためにも受診をしてください。

月経痛や月経不順で受診される患者さんに多い病気を3つ説明しますね。

子宮内膜症とは?

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子宮の内膜組織が何らかの原因で、子宮の内腔以外の場所(腹膜、卵巣、卵管など)にできてしまう病気です。20~30代の女性で発症することが多く、そのピークは30~40歳ともいわれています。子宮内膜症は、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で、月経がくるたびに悪化します。主な症状は痛みと不妊です。痛みの症状の中でも月経痛は、子宮内膜症患者さんの9割にみられます。

子宮内膜症の治療法

薬によるホルモン治療と手術があります。病気の症状、年齢、妊娠の希望などによって最適な治療法を選択します。

子宮筋腫とは?

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子宮にできる良性の腫瘍で、がんではありません。30歳以上の女性の3割ほどに子宮筋腫があるといわれています。子宮筋腫は卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で大きくなります。大きくなると、月経の出血量が多くなったり、貧血、お腹の痛みなどの症状がでます。

子宮筋腫の治療法

薬によるホルモン治療と手術があります。子宮筋腫の場所や症状の強さ、腫瘍のサイズによって治療法を選択します。お薬のみで驚くほど小さくなるケースもあります。

卵巣腫瘍とは?

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卵巣にできる腫瘍の一種。卵巣はもともと2~3cmほどの大きさで、子宮の左右に1つずつあります。卵巣腫瘍は腫瘍細胞の悪性度によって、良性・境界悪性・悪性(がん)の3つに分けられます。初期の卵巣腫瘍は自覚症状が少なく、卵巣腫瘍が大きくなると突然捻転といって卵巣が回ってしまうことで急激な痛みが起こることもあります。

卵巣腫瘍の治療法

内服薬(ピル)やホルモン薬剤の他、腫瘍が大きくて痛みが強い場合は破裂する恐れがあるので手術をします。ひと昔前までの卵巣嚢腫の手術は、再発しないようにしっかり治療をすることで卵巣機能が落ちてしまうことが多くありました。けど今は、卵巣機能を温存する手術方法に切り替わってきているので安心して治療を受けて欲しいです。

かゆみの症状がある場合

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かゆみで受診される方は、主に2つの原因があります。

1つは乾燥からくるかゆみです。年齢の高い方に多いのですが、エストロゲンが下がってくると乾燥してかゆみが出てしまいます。いい常在菌が減って膣炎になってしまうことも。免疫が下がってしまうとカンジタという感染症にもなりやすくなってしまいます。膣炎の場合は、膣内の洗浄や膣錠を投与するといった方法で治療をします。

もう1つは、反対に若い方に多い、蒸れてかゆいケースです。蒸れて赤くなってしまいにおいも出ることもあります。病気ではなく、ただの蒸れの場合も多いです。蒸れが原因の場合、おりものシートを外して通気性のいい下着にしてもらったり、長時間の使用を避けたりと、清潔な状態を維持することで治っていくこともあります。

時々、耳にするのは、ナプキン代を節約するためにあまり変えないという人もいます。それは、膣環境が不衛生になるので、後々、治療代などにコストがかかることにもなりかねないのでやめましょう。

生理前後のPMS(月経前症候群)の可能性も

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PMSという言葉を聞いたことはありますか? 月経の前にあらわれる心と体の不調のことです。月経前の3~10日間ほど続き、月経がはじまると自然に軽減・消失していきます。はっきりとした原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動が影響していると考えられています。症状としては、心の症状と体の症状があります。

心の症状は、情緒が不安定になる、イライラする、不安になったり、集中力が低下するなど。
体の症状は、のぼせ、偏食や過食、めまい、倦怠感、お腹・頭・腰の痛みなど。

PMSの治療法は、低用量ピルでホルモンバランスを整えたり、漢方薬の処方、また、海外で主流になりつつある脳内のセロトニンを増やす治療もあります。

3ヵ月に1回は受診して体の変化を診てもらいましょう

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今は昔とは違って、上記で説明したPMSのような言葉が市民権を得てきて、女性の月経の大変さが世の中に認知されてきています。恥ずかしいことだと思わず、痛みやかゆみ、違和感があれば遠慮なく受診してください。

同じ腹痛でも毎月のように月経前に症状が出るものと、月経中に出るものとで、病気の診断は変わってきます。もし、「こんなことで受診したの?」というような医師にあたってしまったら、他の病院に変えましょう。健康に寄り添ってくれる、かかりつけ医を探して欲しいです。

近年、オンライン処方が手軽で注目されていて、ピルの処方もできるところがあります。しかし、3ヵ月に1回は産婦人科に行って診察を受けてください。体の変化を診てもらい自ら知ることは大切なことです。長年付き合っていく大事な体ですから。

山村菜実先生への質問を募集中!

この連載では、産婦人科専門医で美容クリニック理事長でもある山村菜実先生への質問を受け付けます。ご応募いただいた質問の中から選ばせていただき、連載の中で山村先生からお答えします。

産婦人科や美容医療に関するお悩みや質問をぜひお寄せください!

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