
朝・昼・夜の「育眠フード」で内臓脂肪を燃やせる体に
時間帯で食べ物を意識すれば、睡眠の質が上がります。ぐっすり眠れば脂肪を分解する成長ホルモンがしっかり分泌され、内臓脂肪を燃やせる体に。バナナ、魚介類……etc.“ヤセる眠り”を促す「育眠フード」をご紹介します。
目次
“腹時計”を整えてヤセホルモンをしっかり分泌!

「時間帯で食べ物を意識すれば、睡眠の質が上がります。ぐっすり眠れば脂肪を分解する成長ホルモンがしっかり分泌され、内臓脂肪を燃やせる体に。過度な食欲も抑制されます」と、管理栄養士の清水加奈子さん。
食べ物の消化中は体温が上がります。深部体温が下がらないと人は寝つけないため、特に夕食を消化してから眠ることがヤセ体質を作るカギ。「夕食は軽めにするか、少し早めに食べて消化して。特に暑い季節は深部体温を下げる魚介類がおすすめ」また、軽食でもいいので、朝食は必ず食べて。それにより“腹時計”が動き出して、体内時計のズレを調整。体が目覚めて活動量が増えると、脂肪燃焼力がさらに高まります。
「“ヤセる眠り”を作るには、食材の栄養素にも注目しましょう。睡眠に作用する栄養素を含む食材を、しかるべきタイミングで食べれば、睡眠の質も急上昇。下記でご紹介する『育眠フード』を日々の食事に取り入れることで、寝ている間にヤセ体質が手に入りますよ!」
<朝>トリプトファン
約15時間後に「睡眠ホルモン」に変化
バナナなどに含まれるトリプトファンから、自律神経を整え精神を安定させる「セロトニン」が作られます。摂取してから15時間ほどかけて、眠気を促す「メラトニン」に変化します。朝日を浴びるとさらに◎。
[育眠フード]
バナナ、そば、きなこ、牛乳
ミキサーなしでも作れる「バナナきなこジュース」

【材料】(1人分/184kcal)
バナナ…1本
きなこ…大さじ1
牛乳…100ml
【作り方】
(1)バナナときなこを厚みのあるポリ袋に入れ、もみ込む。
(2)牛乳を少しずつ注いだら空気を入れてポリ袋の口を縛り、よく振り混ぜる。
薬膳ミニコラム
バナナや牛乳には大腸を潤す作用が。腸内環境と同時に自律神経も整います。
<昼>カルシウム
睡眠の長さを調整、ビタミンDと同時摂取を
脳の神経細胞に出入りし、眠りの長さを調整している栄養素。日光を浴びたり、「ビタミンD」や「クエン酸」と同時に摂取したりすることで吸収率が上がります。しらすはカルシウムもビタミンDも豊富な食材です。
[育眠フード]
しらす、小松菜、木綿豆腐
豊かな香りが食欲をそそる「しらすと小松菜のあえ物」

【材料】(1人分/76kcal)
しらす…10g
小松菜…2株
(A)めんつゆ…大さじ1/2
(A)ごま油…小さじ1
(A)白ごま…少々
【作り方】
(1)塩少々(分量外)を入れた熱湯で小松菜を1分ゆで、ざるにあげる。粗熱が取れたら4cm幅に切り、水気を絞る。
(2)ボウルに(A)、小松菜、しらすを入れてあえる。
薬膳ミニコラム
しらすは自律神経に作用する五臓の「肝」を養生する食材。イライラ改善にも効果的です。
<昼>ビタミンB12
体内時計を調整し眠りのリズムを正常化
神経や血液細胞に欠かせない“造血ビタミン”と呼ばれる栄養素。体内時計を調整する働きがあります。しじみやレバー(牛、鶏など)、かきなどに豊富。ビタミンB12は腸内で合成されるので、摂取に加えて腸活も意識して。
[育眠フード]
しじみ、かき、レバー
滋味深い味にホッとする「しじみとキャベツのスープ」

【材料】(1人分/58kcal)
しじみ(殻付き)…50g
キャベツ…1枚(40g)
バター…5g
こしょう…少々
(A)水…200ml
(A)酒…小さじ1
(A)塩…少々
【作り方】
(1)キャベツをざく切りにする。
(2)小鍋にしじみ、キャベツ、(A)を入れて中火にかける。しじみの殻が開くまで3分ほど煮たら、バターとこしょうを加える。
薬膳ミニコラム
キャベツは老化や内分泌に関わる五臓の「腎気」を補います。心身の疲労回復にも最適。
間食

「テアニン」を摂取し覚醒と眠気を適正に
緑茶(特に玉露)、紅茶などのうまみ成分「テアニン」は、覚醒と眠気のバランスを適正に調整します。ただし、興奮作用のある「カフェイン」が含まれるため、日中に飲みましょう。
“腸活おやつ”で心も体も安定!
腸と脳は連動しています。心と体を安定させるためにも腸活はマスト。おやつでもお手軽に腸活を。乳酸菌が豊富なヨーグルトに、食物繊維を含むりんごやキウイをプラスしてみて。
<夜>グリシン
体温の低下を促し深い眠りにいざなう
魚介類や肉のゼラチン部分に多く含まれるグリシンは、手足の血流を促進し、皮膚の表面から放熱します。冷えた血液が脳に戻ると脳の温度が下がり、徐々に眠気が強まるように。体に熱がこもりがちな、夏の睡眠には欠かせません。シーフードミックスを使うと便利です。
[育眠フード]
えび、ほたて、いか、かじき、手羽先
ヨーグルトでさっぱり「シーフードサラダ」

【材料】(1人分/122kcal)
シーフードミックス…100g
きゅうり…1/4本
サニーレタス…1枚
酒…少々
(A)マヨネーズ、ヨーグルト、レモン汁…各大さじ1/2
(A)塩、こしょう…各少々
【作り方】
(1)シーフードミックスは解凍し、酒を入れた熱湯でさっとゆで、水気を切る。きゅうりは輪切りにする。
(2)シーフードミックス、きゅうりを(A)とあえる。ちぎったサニーレタスと一緒に盛る。
薬膳ミニコラム
えびやいかは「腎」を補い、イライラや夜間頻尿などを予防。むくみ対策にも役立ちます。
黒ごまとにんにくが香りたつ「かじきのソテー」

【材料】(1人分/269kcal)
かじき…1切れ
パプリカ(赤・黄)…各1/4個
にんにく…1/2かけ
塩、こしょう…各少々
オリーブ油…小さじ1/2
(A)酒…大さじ1
(A)バター…5g
(A)黒すりごま…大さじ1
【作り方】
(1)かじきに塩、こしょうをふる。パプリカは食べやすい大きさに切る。
(2)フライパンにスライスしたにんにく、オリーブ油を中火で熱し、かじきを両面焼く。一緒にパプリカも焼く。
(3)(2)を器に盛る。そのままフライパンに(A)を入れて煮詰め、かじきにかける。
薬膳ミニコラム
ソースの黒ごまは滋養強壮作用があるほか、腎臓を温めます。体力回復にも最適です。
<夜>ギャバ
脳細胞を活性化し興奮を鎮める
脳への酸素供給量を増やし、脳細胞を活性化。脳の興奮を抑え、精神を安定させます。自律神経のバランスも整えて、イライラや不安感をやわらげる効果も。ギャバを多く含むチョコレートやココアは「カフェイン」も含むので、夜はほどほどに。
[育眠フード]
トマト、なす、じゃがいも、発芽玄米
チーズが野菜のうまみを引き立てる「トマトとなすのチーズ焼き」

【材料】(1人分/144kcal)
トマト…1/2個
なす…1/2本
シュレッドチーズ…20g
ブロッコリー…4房
オリーブ油…小さじ1
塩…少々
【作り方】
(1)トマトとなすは5mm幅にスライスする。耐熱皿にトマト、なす、ブロッコリーを並べたらオリーブ油、塩をかけ、電子レンジ(600W)で2分加熱する。
(2)(1)にシュレッドチーズをのせ、オーブントースター(1000W)で焼き色がつくまで加熱する。
薬膳ミニコラム
ブロッコリーは生命力や生殖機能に関わる「腎」の働きを補います。養生食材の代表格!
<夜>硫化アリル
独特な香りが気持ちを落ち着かせる
ねぎ類やニラ、にんにくなどの独特で刺激的な香りの正体は、硫化アリル。神経の鎮静化や催眠効果に加え、血行を促進する効果があります。熱に弱く、水に溶ける性質があるので、生食がおすすめ。少量の刻んだ玉ねぎを寝室に置いても同様の効果が。
[育眠フード]
長ねぎ、ニラ、にんにく、玉ねぎ
シャキシャキ食感がアクセント「玉ねぎ入りもずく酢」

【材料】(1人分/66kcal)
玉ねぎ…1/8個
もずく酢…1パック
小ねぎ…少々(あれば)
ごま油、しょうゆ…各小さじ1/2
【作り方】
(1)玉ねぎを粗みじん切りにし、ごま油としょうゆであえる。
(2)もずく酢に(1)をかけ、小口切りにした小ねぎをのせる。
薬膳ミニコラム
酢は五臓の「肝」に働きかけ、自律神経を整えます。消化を促進するので、寝つきが良くなるのも◎。
撮影/武井メグミ
(からだにいいこと2021年10月号より)